携帯電話の通信ネットワークの仕組みを利用して人々の動態を“見える化”するサービスを株式会社NTTドコモが展開している。その活用方法やメリットを法人営業部の岩㟢隆司さん、松坂信さん、森俊史さんにインタビューした。
※下記はジチタイワークスVol.4(2019年1月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社NTTドコモ
インバウンド促進や、IターンUターンの移住PRにはターゲットの情報が欠かせない。地域振興と地方創生のため、平成27(2015)年4月から経済産業省と内閣官房が、地域経済分析システム「RESAS:リーサス」の提供を開始した。このサービスでは人口の推移や地域経済の循環、産業構造などのさまざまなデータを誰でも無償で確認できる。たとえば、1カ月あたりの訪日外国人の人数、またクレジットカード決済から消費動向などだ。
サービスの利用者は、主に自治体職員や、地域の活性化に関心を持つ民間企業の担当者だ。効果的な施策の立案・実行・検証に役立っている。このリーサスでは提供されていない、さらに細分化された人口統計情報をお客様のニーズに合わせてサポートするサービスがNTTドコモの「モバイル空間統計」である。
より詳細な人口統計を用いて次の戦略を導き出す
モバイル空間統計はリーサスに情報提供するNTTドコモが平成25(2013)年10月に開始したサービスだ。自社の携帯電話ネットワークの仕組みを利用して、リーサスをより細分化した行動分析を実現する。日本全国の1時間ごとの人口分布を、24時間365日把握。ドコモならではの最大の利点は、国内では約7600万台(2018年3月)という圧倒的なサンプル数だ。性別・年齢層別・居住エリア別に人口を推計することができる。
また、訪日外国人のサンプル数は、約750万台(平成29年実績)で、国・地域別の人口も推計可能だ。対象エリアは、都心の場合、一部の主要駅周辺では、125m四方から計測でき数日間の限定イベントや数時間の時間指定といったニーズにも柔軟に対応している。従来は、勘や経験に頼っていたこれらのデータが「モバイル空間統計」で数値化され、根拠ある資料として施策に生かせる。観光や移住以外にもまちづくりや防災など、あらゆる分野で活躍できる可能性を秘めているのだ。NTTドコモの岩㟢さんは「モバイル空間統計というリソースを使ってより具体的な地方創生の活動につなげてほしい」と話す。
知りたいエリアや時間を指定し、15~89歳(2018年10月より)までの男女から細かな属性を決めて動態調査ができる「モバイル空間統計」。サンプル数も多く、その統計精度の高さは国土交通省・観光庁に評価されている。
「モバイル空間統計」の活用でインバウンドの増加を実現(玉名市の事例)
熊本県玉名市では、訪日外国人の観光誘致に「モバイル空間統計」を活用している。玉名市を訪れる訪日外国人を、国・地域別に調査、旅行消費単価が高い、台湾と香港をターゲット国に選定。ターゲット国に対して、観光に最適な拠点として現地の旅行会社にアピールした。2年後、台湾や香港からのインバウンド増加を実現している。
(資料:玉名市ふるさとセールス課)
高精度の分析データで地方創生をサポート
ドコモの基地局情報を元に推計される新しい人口統計「モバイル空間統計」。自治体のさまざまな課題に合わせた調査ができ、地方創生を力強くサポートする、そのメリットや強みを紹介する。
モバイル空間統計で課題を解決!
多くの自治体が利用しているモバイル空間統計。過去5年間での事例の一部を紹介する。
1.まちづくり
来訪者の属性に合わせた交通整備や都市開発ができる(交通弱者向けのバス路線整備など)
2.観光
観光名所やイベントの来訪者情報のデータからターゲットを決めることで有効なPRができる
3.移住
盆や正月時期の帰省者の居住エリア(発地)を分析し、IターンUターンを狙ったPR施策などに活用
4.防災計画
来訪者の居住エリア情報から、帰宅困難者数を予測。一時滞在施設や、食料・飲料水の必要数が検討できる
モバイル空間統計3つの強み
1.125m四方(都内一部主要駅)内から都道府県内といった広範囲までニーズに合わせてデータを把握できる
2.24時間365日どの日のデータでも調査可能(※平成25〈2013〉年10月以降)(※国内人口分布統計の場合)
3.国内約7600万台、訪日外国人約750万台の圧倒的なサンプル数
情報付加サービスでさらに細かく!
dポイントクラブアンケートの基本属性を活用することで、より詳細な属性を付加することや、行動分析も可能。
・詳細属性分析
年収・子ども有率・勤労者率など100以上の定型属性を把握
・位置連動アンケート
対象エリア、対象時間に滞在した事前許諾者へ向けてアンケートを実施できる
・カスタマイズ分析
位置情報を活用し、来訪頻度、行動分析ができる
担当者から
「モバイル空間統計」を用いて、自治体のさまざまな施策のお手伝いをさせていただきたいと思っています。「もっとこう使うと面白そう」などの声は大歓迎です。ぜひお近くの支店の窓口からご相談ください。お悩み、ご要望、ご予算を一緒に検討させていただきます。
左から株式会社NTTドコモ 松坂さん、岩㟢さん、森さん