ジチタイワークス

鳥取県

視覚障害者の“見えない”不便を、デジタル×人の力で解消する。

スマホで視覚障害者を遠隔サポート

令和4年に、障害者による情報取得や意思疎通の施策を推進する法律が制定された。鳥取県では、その環境を整えるため、視覚障害者を支援するサービス「アイコサポート」の運用を開始。県全域で無料提供する自治体は全国初だという。

※下記はジチタイワークスVol.33(2024年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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鳥取県
福祉保健部 ささえあい福祉局
障がい福祉課 社会参加推進室
課長補佐 米澤 章(よねざわ あきら)さん

県民との距離が近い県だからこそ、全国に先駆けて障害者支援を行う。

「デジタルデバイスの発展により、情報があふれる時代になりました。しかし、障害のある人たちには届きにくい現状があります。障害の有無にかかわらず、同じタイミングで情報を受け取れるよう、円滑な意思疎通をサポートし、生活しやすい社会にしていかなければいけません」と語るのは、障がい福祉課の米澤さんだ。同県はこれまでも、他県に先んじて様々な策を実践してきた。その一つが平成21年に始まった「あいサポート運動」だ。障害への理解を深める研修に参加した県民が“あいサポーター”として活動し、障害者に対して日常のちょっとした配慮や手助けを行っている。開始から15年の間に、この運動に賛同した8県16市6町と協定を結び、全国で活動が広がっている。

「当県は人口も少なくコンパクトなこともあり、県民との距離がとても近く、気軽に相談の電話がかかってくることも珍しくありません。私自身も障害者の団体などと普段から交流をしています。そのような関係ができているので、彼らをサポートするアプリやサービスが発表されると、“話を聞きたい”“試してみたい”などの相談をもらいます。それに応えて、県主導で説明会や体験会なども開催してきました。今回導入した『プライムアシスタンス』のアイコサポートも、そうした経緯で導入に至ったサービスです」。

同行援護の不足

視覚障害者が利用する“同行援護”という移動支援の福祉サービスがあるが、平成25年に行われた実態調査※によると、全国的に提供者が不足しているという。外出に介助を必要とする視覚障害者が、利用しにくいという課題があるようだ。

※厚生労働省「平成25年度障害者総合福祉推進事業 同行援護に関する実態把握と課題について」より

県全域が無料対象のエリアで、1カ月に4時間まで利用可能。

同サービスは、遠隔地にいるオペレーターが利用者のスマホ越しに得た視覚情報を声で伝え、視覚障害者の日常生活をサポートするもの。特別な機器は要らず、利用者はスマホに専用アプリをダウンロードするだけで使える。「例えば、外出時に目的地付近までは到着できても、店の入口が分からない、家の中で物を落としたなど、そんな日常の困り事を解消してくれます。これまでも同様のサービスはありましたが、屋外では利用できなかったり、専用の機器が必要だったりと、利用が限られていました」。

中でも一番の違いは“人が対応すること”だという。「障害を理解したオペレーターが丁寧に誘導してくれ、とても安心感がありました」。利用者からの評判もよく、使いたいという声がある一方で、月額料金や利用時間に制限があることがハードルとなっていた。「視覚から得られる情報ってとても大きいんです。見えないことで行動や情報が制限される状態は、なるべく改善していくべきだと思います」。そのような考えのもと、同県では「フリーエリアプラン」を契約。事前登録をした県内在住の視覚障害者が、県全域で1カ月に4時間まで無料で利用できるようにした。

全ての人が平等に情報を得られる環境を整えるのは行政の役割。

「今回の導入は“県が責任をもって環境を整備する”という思いで進めました。個人で契約をしてもらい補助する方が県の負担は軽いです。しかし、環境の整備は行政の役目と考え、県全域で無料提供することや十分な利用時間を確保することにこだわりました」。個人契約では2時間が基本プランで、同サービスの平均的な利用時間は1時間程度だそう。しかし、同県の交通環境は都市部ほどは発達しておらず、自分の足で移動する場面が多いことを考慮したという。「視覚障害者がこれまで諦めていたことができるようになったり、新しいチャレンジにつながったり、暮らしに変化があるとうれしいですね」。

同県では、今後もさらに障害者の環境改善に力を入れていくそうだ。「今回のように当事者の意見を反映した取り組みは、庁内や議会などでも受け入れてもらいやすいと感じています。これからも当事者との関係を大切にし、現場の声を拾いながら、県だからこそできる環境改善に取り組んでいきたいです」と米澤さんは語ってくれた。

アイコサポート体験会で当事者ニーズを確認

鳥取県では、視覚障害者や自治体職員を対象に、実際に遠隔サポートを受けてもらう体験会を行った。オンラインでもリアルでも開催可能なため、サービス導入前に当事者のニーズ確認ができる。

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社プライムアシスタンス

TEL:050-3821-0836
Email:eyecosupport@prime-as.co.jp
東京都中野区本町1-32-2
ハーモニータワー21F

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