住民向けサービス(東京都墨田区)
窓口に足を運べない住民などが、各種証明書を遠隔で取り寄せる郵送請求。通常、手数料の支払いには定額小為替を利用するが・・・
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企業向けサービス(東京都町田市)
第三者請求では特定の企業が大量に申請を行うケースが多く、紙ベースでの手続きでは自治体・企業ともに負担が・・・
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※下記はジチタイワークスINFO.(2024年7月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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郵送請求キャッシュレスサービス
窓口に足を運べない住民などが、各種証明書を遠隔で取り寄せる郵送請求。通常、手数料の支払いには定額小為替を利用するが、これが自治体や申請者の大きな負担に。そこで墨田区では、手数料をクレジットカードで支払えるようにしたという。
郵送請求業務を効率化するため、定額小為替での支払いを見直す。
同区には、令和4年度だけで約4万8,000件もの郵送請求があったという。職員は膨大な件数を迅速に処理しなければならないが、従来の郵送請求業務には課題が山積していると菅原さん。「毎日、送られてきた定額小為替の額面を1枚ずつチェックして、それらを集計。さらに、指定の金融機関に持って行く必要があります。また申請者も、定額小為替を購入するため郵便局に行かなければならず、不便だろうと感じていました」。
令和4年度には、定額小為替の発行手数料が100円から200円に値上げされたこともあり、郵送請求を利用することが多い司法書士や行政書士などから“支払いをキャッシュレス決済にできないか”という要望が寄せられていたそうだ。同区も、手続きのオンライン化を推進したいと考えており、当時、「法人請求オンラインサービス(町田市事例参照)」の開発を進めていた「富士フイルムシステムサービス」に相談をもちかけた。
「同社が開発していたのは、郵送請求を大量に行う企業向けのサービス。しかし、住民や士業からの郵送請求も効率化すべきだという点で、考えが一致していました。そこで司法書士会などにも声をかけ、実証実験を行うことに。自治体と申請者という双方の視点から、利便性を追求することにしたのです」。
対象となる証明書
キャッシュレス決済サービスでは、自治体が郵送請求の対象とする証明書は基本的に全て対象となる。
●住民票の写し ●戸籍証明書 ●戸籍の附票の写し ●税証明書(一部対象外あり)など
利用者視点で便利な機能を考え、使いやすいサービスを共創する。
令和4年10月にスタートした実証実験では、参加者が利用者視点で様々な提案を行った。「申請そのものをオンライン化するのはハードルが高いため、住民・士業向けでは支払いだけをオンライン化することにしました。定額小為替が不要になればと考えたのです」。こうして生まれたプラットフォーム型サービスでは、まずは申請者がメールアドレスなどを入力してアカウントを作成。請求書類は郵送するが、プラットフォーム上でクレジットカード決済ができるようになる。
職員がストレスを抱えていた点についても、便利な機能による解消を試みた。「提出された書類に不備などがあると、申請者に電話で連絡をする必要があります。しかし、日中はつながりにくく、そのために残業することも」。そこで実装したのが、コメント機能だ。時間などにとらわれず、双方向のやりとりを可能にする。また、申請者からの問い合わせを減らすため、管理画面から自分で進捗を把握できるようにしたという。さらに、これまでは手数料が足りず、定額小為替を追加で送ってもらうこともあったが、自治体が請求内容を確定した後で申請者が決済するよう変更し、手数料の過不足自体を防いでいる。
自治体共通の手続きを改善して、社会の効率化へとつなげていく。
「実証実験では、司法書士会など申請者サイドの意見を聞くことができました。当区が感じていた課題が、申請者にとっても不便だったことを実感しましたね。今まで現場の職員が頑張って対応してきましたが、その結果、申請者も非効率になっていた。これは社会的な課題だといえるでしょう」。実験後のアンケートでは、参加者の9割から“実証実験で終わらせずに導入してほしい”と、好意的な意見が寄せられたそうだ。こうして様々な提案やアイデアが盛り込まれ、システムが完成。同区では令和5年10月から稼働しており、職員からも好評だという。
郵送請求は、全国の自治体で行われている。そこで生じていた“非効率”な手続きに対し、司法書士会などを巻き込んで、同社と協力体制を組んだ同区。着実に課題の解消へと向かっているが、申請者の中には“郵送請求の手数料=定額小為替”という考えがまだ残っているそうだ。これに対して菅原さんは「全国の自治体がともに取り組みを進めることで、これまでの常識をくつがえしていきたい」と展望を語ってくれた。
東京都墨田区
区民部
参事(窓口課長事務取扱)
菅原 幸弘(すがわら ゆきひろ)さん
導入自治体数
令和5年10月のサービス開始から約半年で全国16自治体が導入している。
※令和6年3月時点 同社調べ
CHECK!
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法人請求オンラインサービス
第三者請求では特定の企業が大量に申請を行うケースが多く、紙ベースでの手続きでは自治体・企業ともに負担が大きい。町田市はこの課題に向けた官民共創事業に参加し、今後の労働力不足も見据えて、互いの業務効率化に取り組んでいる。
対象となる証明書
法人請求オンラインサービスでは、生命保険会社や信販会社などから請求されることが多い、住民票の写しを対象としている。
●住民票の写し(除票・不在住証明書を含む)
自治体と企業が意見を交換して、ムダのない請求手続きを模索する。
同市では、企業などによる住民票の請求が年間約7,300件もあるという。「封筒の開封や書類の仕分け、定額小為替の管理などに時間を取られています。さらに、企業ごとに申請書の様式が違うため確認箇所が分かりにくく、審査が非効率なのです」と瓜田さん。大量の請求を上げる企業にとっても、紙ベースでの申請は負担が大きいそうだ。
そんな中、「富士フイルムシステムサービス」から“法人請求の効率化”について意見交換を行う、ワーキンググループ(以下、検討WG)への参加を打診されたという。同社が開発を目指す「法人請求オンラインサービス」は、申請の手続きから交付・不交付の判断までをオンライン上で行うもの。このサービス内容に注目したと沖さんは語る。「これなら当市の課題を解決できるのではと考えました。また、複数の自治体や企業が参加するため、現状の手続きを見直すきっかけにもなる。業務改善に向けた意見交換ができると期待したのです」。
令和4年12月、全国から10の自治体と企業7社による検討WGがスタート。自治体と企業というシステムを利用する両サイドの声を聞きながら、サービス開発が始まった。
住民票郵送請求の内訳
町田市に寄せられる住民票の郵送請求のうち、30%弱が企業による。
約2万7,000件のうち、約7,300件が法人請求
作業時間を40%以上短縮できて、企業からも喜ばれるシステムに。
同サービスは2025年10月リリース予定だが、多くの自治体の意見を聞くため、今年の3月には無償のトライアルをスタート。流れとしては、企業がプラットフォーム上で申請した内容を職員が確認し、問題がなければ住民票を交付する。「当市も企業もトライアル中ですが、難しい操作などはなく、慣れたらすぐに使えます」。市民課の職員が運用しているが、操作研修などは行っていないそうだ。
効果については、同市の経営改革室とともに検証。導入前は1件あたりの作業に約45分も要していたのに対し、導入後は約26分と、40%以上も業務時間を短縮できたという。沖さんは「手続きの入り口をオンライン化しただけで、その後は既存のやり方にうまく合流できています。業務フローをがらりと変える必要がないので、職員の負担感も少ないですね」と評価する。「もちろん、企業の手間を減らすのも大切なポイントです。以前に参加した同社のセミナーで、企業から“この仕組みはありがたい、メリットしかない”という声を聞いたことがあります。申請者もラクになると確信することができました」。
トライアル中のため、システムを活用する企業はまだ少ないものの、今後、活用企業や申請件数が増えるのに比例して、業務全体の効率化も進んでいくと考えている。
今後の人手不足を見据えて社会全体の効率化を目指す。
検討WGへの参加から始まった、同社との二人三脚。機器やネットワーク構築の支援をはじめ、セキュリティや法令の解釈に関する情報提供など、様々なサポートを受けてきたそうだ。「手数料の徴収に関しては、互いにアイデアを出し合いました。同社は顧問弁護士に、当市は法務部門や会計部門に相談して、それをもち寄る作業を繰り返した。よりよいサービスを実現したいという強い思いを感じましたね」と沖さん。リリース後の本導入に向けて、今も同社との協働は続いている。
「自治体DXでは市民向けサービスに意識が向かい、企業は後まわしにされがちです。しかし、社会全体でみると、企業の人的リソースをムダにしないことも大切です」。少子化が進み、企業の人手不足は深刻な状況にある。そんな中、全国の自治体に共通する手続きを見直すことで、社会の効率化につなげたいと考えているそうだ。「法令面や技術面でのハードルは高いですが、士業による戸籍の請求や、自治体や警察による公用請求にまで踏み込みたい。様々な制約を解決して、適用範囲を広げていければと考えています」。
左から
東京都町田市 市民部 市民課
係長 沖 陽平(おき ようへい)さん
主事 瓜田 円(うりた まどか)さん
官民共創でサービスを開発
自治体・企業・富士フイルムシステムサービスの三者が検討WGを経て、利用者視点でサービスを開発した。
お得なトライアルを受付中
リリース後の本導入を前提として、初期費用が無料になるトライアルを受付中。詳細はお問い合わせを。
※予告なく変更する可能性あり
お問い合わせ
サービス提供元企業:富士フイルムシステムサービス株式会社
公共事業本部
ソリューション推進部 DX企画グループ
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