毎月、高齢の行方不明者を捜索している鎌倉市。平成31(2019)年3月に「みまもりあいプロジェクト」のアプリを導入し、住民主体で地域を見守る取り組みをスタートした。鎌倉市の安心して暮らせるまちづくりについて松尾崇市長にインタビュー。
※下記はジチタイワークスVol.5(2019年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]社団法人セーフティネットリンケージ
鎌倉市では月に1回は防災無線を使い、主に認知症と思われる高齢の行方不明者を捜していた。「実際はそれ以上の方が行方不明になっていると考えられます。だからこそ、地域で解決できる方法を探していました」と松尾崇市長。そんななか、社団法人セーフティネットリンケージの「みまもりあいプロジェクト」を知る。
このプロジェクトが提供しているアプリが画期的だった。家族が行方不明になった場合、警察や市役所などに相談する手間を省き、アプリの利用者に捜索依頼を発信できるのだ。アプリの利用者が行方不明者を発見したら、捜索している家族に直接連絡がとれる。「個人情報を守りつつ、行方不明者を捜索できる仕組みはとても素晴らしい」と松尾市長は話す。
隣人同士の助け合いをアプリで実現する
住民たちが地域の子どもや高齢者を温かく見守る――隣近所との付き合いが希薄化しつつある今、鎌倉市ではそんな昔ながらの風景をアプリで実現しようとしている。目指すのは災害が起きた時も助け合える、信頼関係が出来上がっている地域だ。「“お互い様”を大切にする地域でありたい。住民のみなさんが自然と、互いに意識しあう。それが安心して暮らせるまちですから」(松尾市長)。
鎌倉市と協定を結んだ社団法人セーフティネットリンケージ。
(左)社団法人セーフティネットリンケージ高原代表(右)鎌倉市松尾市長
【みまもりあいプロジェクト実績】
1、平成28(2016)年厚生労働省介護、ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業受託
2、全国20の自治体が活用
3、全国40万人以上がアプリダウンロード
4、全国70ヵ所で見守り訓練実施、1万人参加(東京商店会グランプリ優秀賞受賞)
5、東京海上日動火災保険株式会社と「認知症保険」を共同開発
6、2017年度アーバンデータチャレンジアプリ部門金賞受賞
7、グッドデザイン賞受賞
「鎌倉市×みまもりあいプロジェクト」~導入コスト無料対応~
社団法人セーフティネットリンケージ 代表理事高原達也
「みまもりあいプロジェクト」とは地域が持つ助け合いの心「互助」を「ICT技術」がサポートする発想で生まれました。迷子や行方不明など外出時の万一の事態に、「捜索支援アプリと緊急連絡ステッカー」を活用。地域で助け合える協力者を増やし、見守り合えるまちを育てる活動です。
子どもから認知症の高齢者まで多世代で見守り合い、震災時には助け合える支援ツールを追加で開発していきます。行政への導入コストは基本無料です(企業などの寄付で運用)。