学童におけるキャッシュレス決済サービス
働く保護者を支えるため、放課後児童クラブ(以下、学童)のICT化を進める東海市。これまで金融機関の窓口や学童などで支払ってもらっていた各種料金を、令和5年度からキャッシュレス決済に移行。利便性の向上に努めているという。
※下記はジチタイワークスVol.32(2024年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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金融機関の窓口での振り込みが働く保護者にとって高いハードルに。
同市は、市内12の公立小学校に学童を設置。利用状況は日によって異なるが、平均して1日800人以上が利用している。3年生以下は保険料のみだが、4年生以上には保険料に加えて利用料がかかり、保護者への請求業務は社会教育課が担っている。これまで利用料は金融機関で振り込んでもらい、保険料は同課もしくは利用している学童まで現金で支払いに来てもらっていたという。
「利用料を支払うには、平日9時~15時に金融機関に行く必要があります。働く保護者のための学童なのにと矛盾を感じていました。利用料の支払いは毎月あるため、保護者からも改善を求められていたのです」と山口さん。同課にも、月に200通ほどの請求書を発行・郵送する手間があったという。
一方の保険料は、毎年4月に1年分を集金する。学童で現金を取り扱うリスクが発生する上、集めたお金を入金するため金融機関に足を運ぶ必要もある。未納世帯には催促の声かけをしなければならないという精神的ストレスもあり、年に一度とはいえ、学童の負担は大きかったそうだ。
学童での支払いに活用
社会教育課がシステムを導入し、東海市内にある公立の学童12施設の集金業務に活用している。
スマホで支払いが完結する上、決済方法によってはポイントも。
そこで、集金業務のデジタル化に取り組んだ同市。「当初は口座振替を検討していましたが、会計課から“保護者が決済方法を選べた方がいいのでは”とアドバイスをもらい、システムの導入に切り替えました。キャッシュレス決済でポイントが付けば、保護者も喜んでくれるでしょう。さらに集金の負担がなくなれば、学童も助かるだろうと考えたのです」。
公募の結果「エンペイ」が採用され、令和5年8月から運用を開始することに。もともと集金に関する業務は同課が行っていたため、学童でシステムを利用することはない。しかし、導入が年度の途中だったためポスターを貼ったり、通知文書を郵送したり、保護者への周知には気を配ったという。
保護者にはLINEで支払い依頼が届き、そこから各種キャッシュレス決済を選択。「スマホで支払えるだけでなく、LINEを使っていない場合はコンビニ払いを案内できるのも、同サービスのメリットですね」と浅井さん。LINE登録のない保護者にはシステム上でコンビニでも支払える請求書が発行され、それを同課が郵送しているそうだ。郵送業務は残っているが、保護者のLINE登録が進んだ現在では、月20件程度にまで減少している。
「保護者からは“金融機関に行く必要がなくなり、便利になった”という声が寄せられています。導入の効果が出て、私たちもうれしいですね。保護者の利便性を向上させるという当初目的は達成できたと考えています」。
集金業務のキャッシュレス化でサービス向上と業務改善を両立。
システム移行の過渡期には、これまでなかった業務が一時的に発生することもあり、いきなり全てがラクになるわけではない。「当課としては、これから周辺業務を整え、より使い勝手のいい環境を構築していく必要があります。しかし、学童の職員からは、“4月の一斉集金がなくなっただけで本当に幸せ”という声が届いています」と山口さんは笑う。
また、同社のサポートにも満足しているという。「当初、LINEの登録状況をCSVファイルで出力できなかったのですが、要望するとすぐに対応してくれました。迅速に動いてくれるので助かります」。
取り組みがスムーズに進んだ背景には、適切な庁内コミュニケーションもあったという。「公金収入に関することは会計課に、システムに関することはデジタル推進課に、それぞれ相談しながら進めてきました。情報を共有すれば、専門部署からアドバイスをもらえますから」と浅井さん。児童の入退室が保護者に通知されるなど、学童のICT化は進んでいる。利用予約のICT管理も視野に入れ、今後も忙しい保護者の支援に尽力していくという。
東海市
教育委員会 社会教育課
統括主任 浅井 貴史(あさい たかし)さん
前・教育委員会 社会教育課
(現・企画部 広報課)
主任 山口 弘晃(やまぐち ひろあき)さん
キャッシュレス決済の導入で東海市が感じた3つのメリット
1.集金業務に関する事務負担が軽減
導入前は請求書の発行や郵送の準備が毎月必要だった。今はLINE登録していない保護者にだけ、コンビニ払いできる請求書を郵送。
2.金融機関などに足を運ぶ必要がない
平日の昼間は働いている保護者も多い。スマホやコンビニで支払えるようになり、保護者の利便性が向上した。
3.決済サービスによってはポイントが付く
保護者が選ぶキャッシュレス決済の種類によっては、ポイントが付くこともある。保護者にとってはうれしいサービスだといえるだろう。
選べるキャッシュレス決済
●電子マネー決済
PayPay LINE Pay au PAY
●クレジットカード決済
●コンビニ決済
活用できる交付金
自治体として取り組む場合は、内閣府の交付金を活用できる。
デジタル田園都市国家構想交付金
補助率 50~75%
保育施設が申請する場合は、こども家庭庁の「保育所等におけるICT化推進等事業補助金」や、経済産業省の「IT導入補助金」を使えるケースも。詳しくは問い合わせを。
お問い合わせ
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