【セミナーレポート】 デジタルで自治体の業務は効率化できる!! ~定時退庁と住民サービス向上の両立を実現~Day2
働き方改革をテーマにした注目の2Daysセミナー。2日目は戸田市、川崎市の担当職員に登壇いただき、デジタルをフル活用したそれぞれの取り組みについて紹介してもらいました。
さらに、スマートロック、AI議事録、入札・調達と業種の異なる事業者が、それぞれの業務効率化ソリューションについて事例を交えて情報を提供。全5部にわたって業務改革のヒントが共有されました。
Day1のレポートはこちら
[概要]
□タイトル:デジタルで自治体の業務は効率化できる!! ~定時退庁と住民サービス向上の両立を実現~
□実施日:2024年3月15日(金)
□参加対象:自治体職員
□開催形式:オンライン(Zoom)
□申込者数:192人
□プログラム:
第1部:デジタルで自治体の業務は効率化できる!!~定時退庁と住民サービス向上を実現する事例集~
第2部:持続可能な行財政基盤の構築に向けた働き方・仕事の進め方改革
第3部:電子錠で勤務時間の削減とサービス向上へ
第4部:【400自治体導入】AI議事録+生成AIで作業時間を半分以下にする~「ログミーツ」の紹介~
第5部:調達情報の収集と業務効率化
デジタルで自治体の業務は効率化できる!!~定時退庁と住民サービス向上を実現する事例集~
新しいテクノロジーの導入に、積極的に取り組んできた戸田市。コロナ禍での突発的な事業で全国の自治体が混乱する中でも、デジタル活用で冷静に対応できたという。そうした同市の取り組みを担当職員が紹介してくれた。
<講師>
大山 水帆 氏
一般社団法人デジタル広域推進機構 代表理事(戸田市デジタル戦略室長)
プロフィール
1965年生まれ。1987年川口市役所に入庁。2017年川口市役所を退職し戸田市役所に入庁。総務省地域情報化アドバイザー、総務省経営・財務マネジメント強化アドバイザー。23年4月、一般社団法人デジタル広域推進機構(DWPI)を設立し、代表理事に就任。
庁内・市民向けを問わずAIを活用し、月500時間の業務効率化を達成。
戸田市における、定時退庁に向けた事例を紹介します。まず、生成AIの取り組みによる文章生成時間の削減です。
昨年から生成AIが話題になっていますが、当市では「AI、RPA導入等の徹底的なDXによる改革とデータ駆動行政の推進」という市長公約があり、「戸田市デジタル宣言」というものも出してDXを強力に推進しています。
市民サービスにおいても、例えばAI総合案内サービスを全国にさきがけて導入。また、固定資産税に係る業務でも、AIを使って航空写真の経年比較をし、建物の変化を自動判定することで効率化を図るシステムも導入しています。令和5年にはChatGPTに関する調査研究事業を立ち上げ、「自治体におけるChatGPT等の生成AI活用ガイド」を公表。全国の自治体に参考にしていただく取り組みも行っています。7月には河野大臣がChatGPTの調査研究会を視察、「かなり生成AIの取り組みが進んでいる」とコメントをいただきました。
令和5年10月からは都城市と共同開発したLGWAN-ASPのサービス「自治体AI zevo」を使い、職員の通常業務端末でChatGPTが利用できる環境を整備しています。利用状況については、昨年の11月の実績で月間約300万文字の生成となっており、時間に換算すると月に約500時間削減、金額にすると年間で2,700万円相当です。サービス料は年間132万円なので費用対効果は高いといえます。
給付金事業からテレワークまで庁内の環境整備を強力に推進する。
次に、定額給付金のデジタル化による担当者の定時退庁について。近年、様々な給付金事業が行われていますが、定額給付金の際に全自治体が混乱し、三交代で休まず処理しなければならなくなった自治体もあると聞いています。
そうした中、当市では申請から振り込みまで、全てデジタル処理できます。また、電子証明書のシリアル番号を元に自動で確実な本人特定ができる仕組みを構築したことで、非常に効率的な処理ができ、職員は定時退社できる状況でした。
また、在宅勤務の働き方改革にも取り組んでいます。コロナ禍でテレワークシステムを導入、週に2回程度のテレワークが可能になっていて、私たちデジタル戦略室の職員も在宅勤務を定常的に行っています。
当市ではBYODも許可しているため、様々な規定を整備した上で、セキュリティ対策を施しました。例えばふるまい検知の強化、EDR導入、ワンタイムパスワードの採用などです。
テレワークを行う場合は、人事部門との調整が重要。様々な規定の整備や、テレワークでの業務実績の取り扱いなどを調整し、デジタル戦略室はセキュリティポリシーをBYOD対応に改正したり、リモートデスクトップPCの運用手順・運用ルールなどを整備したりして進めました。コロナ禍においては全職員が週半数以上テレワークをすることを目標にしましたが、5類移行後も週に2回テレワークが可能な状態です。
独自のビジョンをもとに、デジタルを幅広く適用して住民サービスを向上。
次に、住民サービス向上のための事例です。まず、市民向け応答サービスの実証実験を紹介します。
これは、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットと、OpenAIの音声認識を組み合わせたものです。LINE電話で問い合わせをいただくと、音声をテキスト化し、質問を分類して回答を作成します。これを音声合成して、テキストと音声で相手に返す、という実証実験です。
回答は市の公式ホームページから作成するため、AIのハルシネーションはかなり抑止でき、チャットボットのようにQAを職員がメンテナンスする手間も不要。現在は外国語での応答に関する実証も進めています。
最後は、行政手続きのデジタル化の事例です。上記は当市におけるデジタル化の推進ビジョンで、具体的に取り組むことをまとめています。
例えば「スマートフォンで完結する行政手続き」としては、住民票、印鑑証明などをスマホから申請でき、手数料や郵送料もスマホ支払が可能なシステムになっており、来庁なしで完結できます。公共施設の予約や、粗大ごみの受付も同様です。
「利便性の高い窓口サービス」については、例えば、手続きが複数の部署にわたる“おくやみコーナー”で、どのような手続きが必要か判定するナビゲーションシステムを導入し、住民の手間を軽減しています。いわゆる“書かない窓口”です。
「キャッシュレス化」の取り組みでは、庁内の収納をはじめ、ほぼ全ての公共機関でキャッシュレス支払ができます。例えば税の納付では、納付書についているバーコードをスマホ決済アプリで読みこむだけで支払が完了。一般的な手数料の支払いについても同様で、メジャーな電子決済サービスは使えるようになっています。
以上が戸田市の事例です。ほかにも様々な取り組みがあるのですが、今回は代表的なものを抜粋して紹介しました。
持続可能な行財政基盤の構築に向けた働き方・仕事の進め方改革
市政100周年を迎える川崎市。この人口150万を超える政令都市でも、地域特有の課題や将来に向けての危機感は大きいという。それをどう突破しようとしているのか。現場で働き方改革をリードする職員が語る。
<講師>
伊藤 英介氏
川崎市総務企画局デジタル化施策推進室 担当課長
プロフィール
2000年入庁。環境局において地球温暖化対策、総務企画局において人事、職員定数管理などを担当し、2022年4月より現職。本庁舎整備を契機としたワークスタイル変革やデジタル技術を活用した業務効率化などに取り組んでいる。
人口が増えているから安心ではない。首都圏の都市ならではの課題。
川崎市は人口がまだ増えている状況で、高齢化のインパクトはこれからやってきます。今から経営資源を確保しておかないと、行政が立ち行かなくなるということを危機感として持っています。
特に人材確保は喫緊の課題です。「川崎市は人口が増えているなら大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、“川崎都民”という言葉がある通り東京に勤める住民が多く、職員の確保は簡単ではありません。今後の高齢化で行政需要は増えていくので、旧態依然では必要な人材確保がますます難しくなります。長時間勤務を是正し、働き方を変えていかなければならないのです。
この取組の背景には、“市民サービスの安定的な提供”が軸にあり、それと合わせて職員のワーク・ライフ・バランスの確保、多様な働き方を認めていくこと、ICTの有効活用、そして新本庁舎の完成を見据えたオフィス改革も視野に置いて進めています。以下がそのビジョンを図示したものです。
このビジョンに沿って、川崎市の行財政改革第3期プログラムに位置付けている働き方・仕事の進め方改革関連の課題を整理しています。この中から「デジタル技術を活用した業務効率化」と、「新本庁舎整備を契機としたワークスタイル変革」についてお伝えします。
ノンコア業務の負担を減らすためデジタル化・業務の分散を実施。
デジタル技術を活用した業務効率化についてですが、その前段として全庁業務量調査を実施し、各職場の業務プロセスや業務の性質、業務量を可視化しました。その結果、ノンコアのものが約4割あった。中でも専門性不要・定型的な作業は、担い手を見直すか、ICTの活用で自動化できるのでは、という気づきが得られました。
業務量を業務分類で比較すると、庁内での照会・回答といった内部系の共通事務が約1割。こうした業務を省力化していくことが重要だという結論に至りました。この調査を受けて、大量の財務系の伝票などをマクロや自動化プログラムで省力化する、あるいは業務の一部を切り出して、障害者就業員に担ってもらい雇用の機会を創出する、といった改善を行っています。
また、単純かつ大量の定型業務にAIやRPAを活用する、ということをDX推進プランの中に位置づけています。現在、RPAは活用が進んでおり、デジタル化施策推進室でも導入を支援。活用例としては、職員情報システムでの児童手当の現況届申請に対し、認定などを一定程度自動化するものや、次年度予算の要求値と財政課の査定値を予算編成システムに入力する作業を自動化するものなどがあります。
AIについてもいくつかの事例があり、例えば健康福祉局では、未納者に対する電話の催告業務において、滞納・未納になっている住民の情報からAIが電話で応答しやすい時間を判別した上で架電し、応答率が上がりました。
新本庁舎への移転を機会に働き方改革をスピードアップする。
ここからはトピックス的な話ですが、新本庁舎の整備を契機としたワークスタイル変革についてお話しします。
川崎市では、旧本庁舎の老朽化に伴い新本庁舎の整備を進め、令和5年10月から移転を開始しました。この庁舎整備はワークスタイルを変えるチャンスでもあったため、取組を並行して進めました。
まずはペーパーレス化の徹底。令和4年度末までに、令和2年度比で5割減を目標に進めました。真に紙でないといけないものは除き、電子化を推進。スキャンしてのデータ保存やげた版処理の見直し、手続きのオンライン化も進め、2,600以上の手続きがオンライン申請できるようになっています。
庁内に対してはペーパーレス促進ガイドラインを示しつつ、コーチング活動も実施し、文書量が多い部署には我々が出向いて直接指導しています。
ペーパーレスが進んでくると、テレワークもできるようになります。令和5年4月にテレワーク用の端末を増やし、本庁周辺部署では週1回を目安に在宅勤務を推進中です。令和5年度は内線外線可能なスマートフォンを本庁職場に導入、環境整備を進めています。
さらに、新本庁舎では無線LANを導入し、PCも軽量で持ち運びやすいものにして、外部モニターも導入。執務環境も固定席をやめてグループアドレスを導入。仕事の内容に応じて場所を選んで働くことを目指しています。
障害者雇用という点では、総務事務センター内に「ワークステーション」をつくり、消耗品の補充作業や紙文書のスキャンなどを障害者就業員が担っています。多様な働き方に向けた取り組みです。
以上、川崎市の「働き方・仕事の進め方改革」の紹介でした。
電子錠で勤務時間の削減とサービス向上へ
普段何気なく使っている、施設などの“鍵”。ここにデジタルソリューションを適用することで業務を合理化することができ、自治体の負担も減らせる可能性があるという。民間ですでに始まっているスマートロックの導入効果を、専門事業者がレクチャーする。
<講師>
柄澤 博人氏
KEYes株式会社 取締役 経営管理担当
プロフィール
2018年 KEYes株式会社設立。屋外で使えるスマートロックサービスの提供を開始。電力会社、ガス会社、鉄道会社、大規模工場、大手企業研究施設などから多数導入を得て、2024年には自治体向けの新サービスをリリース予定。
物理的な鍵の管理という負担と様々なリスクから職員を解放する。
当社では、物理的な“鍵”をアプリに変えるサービスを提供しています。鍵は、誰かが開錠しなければいけないし、他者とやりとりしなければなりません。管理施設が多くなれば鍵の数も多くなり、リスクも人の手間も増え、勤務時間にも影響します。これをデジタルで改善しようというのが「キーズロックサービス(以下、キーズ)」です。
物理鍵に伴うリスクは、紛失や、それによる鍵全体の交換、貸出帳の書き忘れや記入ミスで鍵が行方不明になることや、悪意のある人によるコピーの作成など様々です。さらに、鍵本体や台帳を管理する人の労力が生じ、受け渡し・返却を行う際には管理する側も借りる側も時間的な制約を受けます。
これに対し当社は“誰かが頑張って何とか解決する”のをやめましょう、という視点でキーズを提供しています。能力や資質を問わない業務はデジタルに置き換えていこう、という取り組みです。
このサービスの内容は非常にシンプルで、スマートキーの錠前を設置することで物理的な鍵が必要なくなり、スマホで開錠できるようになるというものです。権限が設定されたスマホを持っている人だけが開錠でき、「どこで・どの鍵が・誰により・いつ開錠されたか」という履歴も残ります。鍵そのものの紛失は起こり得ませんし、何かトラブルが起きた場合には、履歴を見れば最後に誰が開錠したのかがすぐに分かります。
ちなみに、権限の設定については、鍵1つだけを開けられる人から、全ての鍵を開けられる人まで、様々な設定が可能です。例えば公民館での利用シーンでは、単発で利用する人、毎週定期的に利用する人、といった権限のコントロールができます。以下、キーズの導入事例を紹介します。
大手各社での導入も多数!キーズが課題解決に貢献した事例集。
まずは「日本製鉄」です。同社は巨大な工場を全国に11カ所抱えています。その中には、コークスの精製などで温度が800度に達する危険なエリアもあり、入ってはいけない時間帯も設定されています。しかし、従業員の一部は鍵を持っているため、事故のリスクがありました。ここにキーズを導入することで、強制的に誰も入れない時間帯をつくることができ、事故防止策となっています。
次は「JR九州」、「JR東日本」の事例です。無人駅でインシデントがあった場合、管理部門に連絡が入りますが、鍵の管理をしている部署は別の場所にあるのでそこに駆けつけ、借りた鍵を持って目的の無人駅に走る。この過程だけで片道90分といった時間がかかっていました。この分だけ住民サービスが遅延するため、対応の迅速化に向けて導入されています。
もう一つ、「九州電力」では管理施設などの定期的な巡回で活用されています。施設を巡回する場合、1日に十数カ所を巡らなければなりませんが、まず全施設の鍵を借りるために鍵を管理している施設に行き、それから巡回を始めます。場合によっては終わるのが夜になり、鍵を戻すのは翌日になってしまう。ここにキーズを導入、直行直帰が可能になり業務が単日で終わるようになりました。人的コストも大幅に節約できたと聞いています。
ここまで説明したものは民間の事例ですが、自治体での導入で代表的なものは公民館です。また、市営グラウンドなどの運動施設でも導入いただいています。物理鍵のやりとりが無くなるのはもちろん、それに係る業務が一切なくなるということで喜ばれています。
スマートキーをフル活用すれば非常時などに現場へ行く手間も不要に。
もう一つ紹介したいサービスがあります。令和6年夏にリリース予定の、「モバイル通信(遠隔)開錠サービス」です。端的にいうと、鍵を開けに行く必要がなくなるというもの。通信で錠前に命令を下すことができ、誰かが現場へ行かなくても開錠できるようになります。
このサービスが生まれたきっかけは、2年前に自治体公共ウィークに出展した際、自治体の皆さんから多くいただいた質問でした。その内容は、「防災倉庫や避難所、公民館の開錠を遠隔でできないか」というものです。質問の根底にあったのは、災害発生時、鍵は誰が管理し誰が開錠するのかという課題でした。
自治体によっては、町内会などに避難所や防災倉庫の鍵を委ねて、防災対策協議会などを開き、緊急時の対策などをレクチャーしているところもあると思いますが、実際に災害が発生した場合の運用については不安も残ります。これに対し、当社の新しいサービスでは遠隔開錠が可能になります。平時に公民館などでも活用でき、災害発生時には避難場所や防災倉庫における利用で安全とスピードの確保が期待できます。
以上、当社が提供する「鍵の管理が無くなる」というサービス、そして「遠隔で開けられる」というサービス、この2つのツールで自治体DXに貢献できればと思っています。
【400自治体導入】AI議事録+生成AIで作業時間を半分以下にする ~「ログミーツ」の紹介~
自治体のあらゆる部署で発生する“議事録作成”の業務。地味で根気のいる作業だからこそ、この部分を改善することで得られるインパクトも大きい。400超の自治体に文字起こしソリューションを提供する事業者が、サービスの導入メリットを解説する。
<講師>
橋本 善久氏
株式会社時空テクノロジーズ 代表取締役CEO
プロフィール
愛知県出身。東京大学工学部卒。AI議事録サービス「ログミーツ」の開発/販売/運営や、法人向け生成AIのコンサル/研修を推進。東大工学部にて生成AIの講師も担当。元スクウェア・エニックスCTOで、XRやアバターなども得意。
対面・オンラインを問わずボタン一つで文字起こしを開始。
このパートでは、AIを使った文字起こし、いわゆる“AI議事録”と呼ばれるサービスについて、当社が提供しているAI議事録「ログミーツ」の紹介を通してお伝えします。
ログミーツには、対面会議・オンライン会議を問わず、音声をきれいに録音するための「レコーダー」が2種類あります。物理的なモバイル端末と、Windowsのアプリケーションです。このレコーダーで録音した音声がサーバーで文字起こしされ、それをWebブラウザで閲覧・検索・編集したり、同僚と共有したりできるのが「エディタ」。さらに、録音では音質が大事なので、様々な「拡張マイク」も取り扱っています。この3カテゴリーで構成されているサービスです。
ログミーツのレコーダーは、使い方が簡単です。ボタンを押すだけで話が文字起こしされていきます。端末の中にはアンドロイドOSが入っており、実質的にはスマホです。ここにSIMカードが入っていて、携帯電話回線につながっています。音声が端末で録音されると、サーバーにアップロードされて文字起こしされ、すぐにテキストが戻ってきます。データは国内サーバーに保存される仕組みです。
1テーブルの会議であれば端末を置いておくだけで十分で、“ロの字”や“コの字”テーブルの会議ではマイクを拡張すれば遠くの声も拾えます。この手軽さが好評いただいています。
文字起こしされた内容には、メモを入れる、スクリーンショットを貼り付けるといった会議の情報反映や、重要な箇所のブックマーク、タイトル付け替えなどが可能です。特に便利なのが検索機能で、例えば「Windows」と検索すれば、話者がWindowsと発言したシーンが見つかり、キーワードでブロックを絞り込んだり、メモをした箇所だけを見つけたりすることも容易にできます。
生成AIの機能も活かして業務時間を大幅に削減する。
これらの機能の中でも注目されているのが“AIアクション”です。箇条書きや要約といったボタンがあり、押すだけで録音内容の要約や、見出しを付けた箇条書きを出力します。機能の裏側はChatGPTとつながっており、システム自体はMicrosoft AzureのOpenAIサービスに接続しているのでセキュリティ面も安心です。
このログミーツの導入で、作業時間が大幅に削減されます。お客さまからいただいた情報によると、初心者が活用したケースで約4割の作業時間が削減された、というのが大多数の感想です。機能に慣れた後は5~6割、活用シーンによっては7~9割といった削減が達成できていることもあり、費用対効果には自信があります。
同時に、自治体においては残業時間を減らすとか、同じ時間を別の作業に充当するといった点が重要かと思います。当社の調査では、1時間の会議に対してトータルで4~5倍くらいの時間をかけていることが多く、2時間の会議だと8~10時間くらいです。それが一気に減ります。
あとは“齟齬”の防止です。よくある「言った・言わない」を防ぐ目的でも効果が発揮されます。録音結果を検索して会話内容を探せるので、例えば事業者との打ち合わせなどで「おかしいな」というときがあれば、文字を読んで音を聞いて、実際の会話内容を簡単に確認できます。
また、会議中にメモがいらない、というのもメリットです。会議に集中すればメモができないし、メモに集中すると会議に身が入らない。そのジレンマから解放されます。ほかにも、1日に何度も面接をした際などに、ログミーツで一人ひとりの特性を振り返って、適切に面接結果を決められる。そうした場面でも便利です。
ログミーツで強調しておきたいのは、モバイル端末がある点。これは録音をうまく進めたいからです。ICレコーダーでの文字起こしはうまくいかないケースもありますが、これは録音の音質によるものが大半。AIの文字起こしはAIと録音との掛け算で決まります。そのためのモバイル端末です。さらに高品質で録音したい場合は、ハンドマイクの活用も勧めており、これなら99%近い精度を出すことが確認できています。
このように、AIの文字起こしや要約の機能、生成AIとAI文字起こしを組み合わせることで異次元の生産性が訪れています。セキュリティ面も安心で、令和6年3月の実績では400以上の自治体が正式導入、トライアルを含めるとさらに多くなります。
端末は購入もしくはレンタルで、Windowsアプリは無料で利用可能、と非常にシンプルです。興味のある方はぜひお問い合わせください。
調達情報の収集と業務効率化
近年、コロナ禍をはじめとした社会情勢の変化に伴い、新しい調達をする機会が増えているようだ。担当職員にとって負担が大きいこうした業務を、データで支援する「うるる」の担当者がそのサービス概要を共有してくれた。
<講師>
安蘇 透氏
株式会社うるる NJSS事業部 調達インフォ担当 責任者
プロフィール
20代は、営業、経理財務、人事、子会社役員など経験。30代は、コンサルとして商社や銀行等の戦略やBPRを経験。その後ベンチャーで上場準備やM&Aを経験し、40代、うるるで新規担当、調達インフォ立ち上げ。
15年間の入札情報をほぼ網羅し正確・迅速・簡単な情報収集を支援。
当社は元々BPO業務からスタートして、クラウドソーシングなどを手がけています。15年ほど前から入札調達情報のデータベース化を始め、蓄積された入札情報をデータベース化。ここ数年は自治体から相談を受ける機会が増加し、当社でも窓口を別にして「調達インフォ」というサービスを立ち上げました。
自治体では、多くの情報を収集して、効率的な調達をしなければならないと思います。そうした際に、効率的な収集、正確な情報、最新の情報などを提供するサービスです。
まず自治体の共通課題から整理します。新しい調達で、何かと苦労したという経験がある方も多いかと思います。私はそうした相談をいただく立場にあり、ここ3~4年くらいで約1000件に対応。その内容を大きく分類すると上図の通りです。このような課題や苦労に対して、解決に向けたポイントをまとめると以下のつに分けられます。
①正確な情報
②スピーディー
③手間が少ない
①の正確な情報について、現場では、生成AIでの検索や、旧知の企業へのヒアリングなどをしているかと思います。これらは有効な手法ですが、時に偏りにつながります。また、都道府県で電子調達システムを持っているケースもありますが、全国規模の情報がないという話も聞きます。そうなると、やはり偏りが生じがちです。
②は迅速性です。自治体には、災害対応などの非常時や、平時でも議会期間中など忙しい時期があります。しかし民間からはこうした背景が見えづらく、そこでギャップを生まないために手続きなどをスピーディに進めていかなければならない。特に情報収集などの諸作業は素早く進めたいところです。これは業務効率化にも関連します。
③は手間が少ない、という点です。実際に自治体職員から聞いた話ですが、従来の調達業務では各事業者に落札実績の書類を提出してもらい、その全てについて真実性をチェックしていた。ここがデータベース化されて実績が分かれば、内容を見るだけで済み、各社に書類を提出してもらう必要もなくなります。
こうした課題に対応するのが調達インフォです。画面では、例えば「AI」とか「多言語」などの言葉で検索すると、調達・公示中の案件でそれを含むものが出てきます。約15年前から現在まで、98%ほどの機関が公示している情報から抽出したものです。同様に、落札結果で検索すれば過去の落札結果・応札結果を全て表示。検索できるのは基本的に公開された情報なので、正確性は担保できていると考えています。
また、“仕様書あり”の案件だけを抽出することが可能で、これによって業務のスピード化に貢献します。企業名や発注機関での検索もでき、例えば指名候補にする企業の実績を調べたりする場合に役立ちます。
これらの機能を活用することで業務効率化につながり、原課から相談を受けた場合も「こういう参考情報がある」とすぐに答えることができるようになります。
調達のスピードアップとともに仕様書の精度も上げる強力ツール。
ここで改めて調達インフォの導入メリットをまとめると、「情報量・サービス品質・安心感」の3つに集約されます。
情報量について、調達インフォの情報は15年ほど前から蓄積され続け、日々200~300人くらいの体制でデータベース化しており、最近は霞が関方面からの相談も多いです。また、PDFやExcel、過去の建築系の図面など、公開されている情報の細かいところまでデータベース化して検索できるようにしており、サービス品質にも自信があります。
そして、安心感。当サービスは提供開始から2年ほどは無料で提供していました。その期間で主なブラッシュアップを済ませています。また、総務省統計局とも協業し、統計元データという形で当社から情報を提供して、公的機関における情報として活用されています。そうした部分も含めて安心感のあるサービスだと考えています。
では、当サービスで業務時間をどのくらい削減できるのか。調達や仕様書に係る業務では、案件も様々なので1件あたり何時間と算出するのは難しいのですが、ユーザーからの声としては、半日~1日要していた作業が、30分~1時間くらいに短縮された、といったものが多くありました。また、事業者にとっては仕様書の質が非常に大事で、ここが改善されることは中長期的な調達業務全体の改善につながるため、こうした点も喜ばれていると感じます。
自治体職員からのコメントも裏づけとなり、企画部門、契約部門、財政部門ほか幅広い部署の方に役立つサービスだと自負しています。この調達インフォでは、無料トライアルを用意しているので、気軽に登録して実際の画面でお試しください。