ジチタイワークス

埼玉県草加市

【先輩と後輩の絆】若き広報マン2人がまわりを巻き込み、“読みたくなる広報紙”へとリニューアル!

ジチタイワークス増刊号「感謝劇場」とは?
行政マガジン編集室が、事例紹介を中心とした通常号とは趣の異なる「増刊号」をつくりました。
「感謝・ありがとう」をコンセプトにした、その名も「感謝劇場」。略して、カンゲキ号です!
公務員の誰もが主人公になり得る、様々な視点での「ありがとうのドラマ」を取材し、紹介しています。

※下記はジチタイワークス 感謝劇場号(2024年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

書店に並べても違和感のない表紙。令和5年8月20日に発行された「広報そうか」は、それまでとは明らかに趣が異なっていた。その舞台裏には「目指すは、内閣総理大臣賞!」と、目標高く広報紙のリニューアルに挑んだ、先輩(安高さん)・後輩(西田さん)の出会いのストーリーがあった。

市長室 広報課
左:安高 昌輝(やすたか まさき)さん
右:西田 翼(にしだ つばさ)さん

自ら掲げた高い目標に向かって、妥協せずに動くことができる。

――お互いを簡潔に紹介すると?

安高 西田さんは、真っすぐで負けず嫌い。諦めないし、勢いのある人です。

西田 まわりを巻き込んで組織を変えられる、実行力のある人。周囲を説得できる安高さんは本当にすごいです。

――2人の出会いを教えてください。

西田 令和5年に安高さんが広報課に異動してきたのが始まりです。私は前年に配属されたばかりで、最初はお互いにどんな人か様子見していました。縁が深まったのは、2人で事務局を務めた、6月の「職員向け研修」。過去最高の参加者数を集めようと盛り上がり、通常は20〜30人しか集まらないのに、第1弾の目標を50人に設定しました。

安高 それが達成できたら、「第2弾は100人を目標にする」と西田さんが言い出した(笑)。「それなら職員一人ひとりに直接働きかけないと無理だと思う。私は〇〇課と△△課に行くけど西田さんは?」と聞くと「じゃあ僕は……」と言って、実際に各課をまわって参加を呼びかけてくれた。その姿を見て、自ら掲げた高い目標を達成するため、妥協せずに動ける人だと思いました。

思いを伝えて理解者を増やし、組織の風向きを変える。

――一緒に取り組んだ広報紙リニューアルへの挑戦。そのきっかけは?

西田 先ほどの職員向け研修で、広報コンクールの内閣総理大臣賞受賞者を講師として招いたのですが、その人の前で「次の賞は草加が取ります!」と高らかに宣言してしまったんです(笑)。

安高 その翌日、「本気?ここから数カ月は帰りが終電になるよ」と覚悟を確かめたら、「何でもやります」と返ってきた。そこで広報紙のリニューアルを目指し、まずは8月20日号を「見本号」にしようと動きはじめたのです。

西田 やるなら私たちだけではなく、広報課全員で取り組みたい。それぞれ長所があるので、みんなに協力してもらおうと考えました。これをきっかけに、課員の意識や、広報課という組織が変わればとも思ったのです。

安高 そうなると、誰にどうアプローチするかという戦略が重要です。まずは広報課に長く在籍している職員に協力を要請し、口説き落とすことに成功。次は特集を制作する予定だった産業振興課の課長に、「絶対にいいものをつくるから広報課に制作させてほしい。本気でやるので、特集の予算を私と西田さんにください」と思いを伝えて、理解を得ました。そして最後に、広報課の課長と課長補佐に相談。「そこまで話をつけているなら、やってみろ」と了承をもらいました。

西田 このとき、安高さんのまわりを巻き込む力と実行力を感じました。思いを伝えて理解者を増やし、組織の風向きを変えていくんです。

出来上がった見本号は市長と一緒に駅前で市民に配った。

―― 市民や職員に、見本号のアンケート調査を行われたそうですね。

西田 発行の翌日から4日間、市内4駅を順番にまわって市民の声を聞きました。その結果、80%以上の市民が「前よりよくなった」と。実は、「いいものができたから一緒に配りたい」と、市長も駅まで来てくれたんですよ。

安高 市宛てのメールにも、見本号のペルソナに設定していた30代の女性から「読みやすくておしゃれ。センスがいい」という声が寄せられました。60代の男性からは、「通勤のため住んでいるが、30年以上も草加には何もないと思っていた。しかし、住みたいまちは自分たちでつくることが大事だと教えられた。退職後は引っ越す予定だったが、まずは掲載されている店を訪れたい」という声も。
職員へのアンケートでも、約90%が見本号を選んでくれました。急激に変えたので反対意見もありましたが、そういう人には思いを直接伝え、理解してもらえるよう努めました。

私と同じ熱量で一緒に走ってくれる相棒のような存在です。

――2人にとってお互いの存在とは?

西田 実は去年、広報のあり方を変えたいと思って様々な提案をしましたが、結局は変えられず……。仕事がつまらないと感じていました。そんなとき、まわりを巻き込んで変えていく安高さんの姿を見て、つまらない環境は「自分がつくり出していた」ことに気づきました。自分もこうなりたいと思って頑張った結果、今がとても充実しています。安高さんがいるから、今の自分があると思っています。

安高 今までも協力してくれる人・理解してくれる人はいましたが、西田さんのように私と同じ熱量で行動しようとする人はいませんでした。西田さんが「こういうことをやりたい!」と言って、私がその実現に向けて戦略を練る。2人とも本気で草加のことを思っているからこそ、時にはぶつかることもあります。そういうところも含めて、一緒に走ってくれる「相棒」だと思っています。
 

本誌掲載用に2人の絆が伝わる撮影を……とお願いしたところ届けられた、ユニークな写真の数々!相棒をテーマにした、ゼ●シィ風写真と刑事風写真には、ジチワク編集室も脱帽。
 

◆県の広報コンクールで2位を受賞!

2人が渾身の力を込めて制作した見本号は、「全国広報コンクール埼玉県審査」の広報紙部門で、見事2位に輝いた。令和6年1月号からは、広報紙の本格リニューアルがスタート!

「賞」の獲得宣言がきっかけとはなったが、「本来の目的は多くの市民に読んでもらうこと。そのきっかけをつくれた」と西田さん。2人の若き広報マンの挑戦は始まったばかりだ。

◆制作秘話

1.32歳の女性をペルソナに設定したため、2人で30代向け女性誌を研究。
2.表紙を撮影したのは、なんと広報課の課長補佐。「表紙は補佐にしか撮れません!」と、2人でお願いしたそうだ。

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