【セミナーレポート】企業版ふるさと納税を活用した“財源確保” ~寄附額最大化に向けた取組を徹底解説~
自主財源を生み出す手段として、基礎自治体の9割以上が「企業版ふるさと納税」を導入しています。ただ、国からの認定を受ける自治体が増加する一方で、民間企業に対する寄附の呼びかけや、対象となる事業に課題を感じている自治体も少なくはないようです。
そこで本セミナーでは、企業版ふるさと納税を総括する内閣府地方創生推進事務局の平尾氏より、同納税制度に関する基礎と活用メリットを紹介頂きました。また、豊後大野市の赤嶺氏からは、寄附の受け入れ状況を一転させた取組事例や、庁内の調整プロセスを紹介。併せてジチタイアド 松本氏から、自治体側の負担無しで始められる「成果報酬型」の企業版ふるさと納税支援サービスについて解説しています。財源確保に向けて試行錯誤中の皆さまの、ヒントとアイデアになれば幸いです。
概要
■テーマ:企業版ふるさと納税を活用した“財源確保” ~寄附額最大化に向けた取組を徹底解説~
■実施日:2023年2月7日(水)
■参加対象:自治体職員
■申込者数:327人
■プログラム
<Program1>企業版ふるさと納税について
<Program2>ビジネス思考を導入し、新たなサービスを活用
<Program3>企業版ふるさと納税活用のススメ
<Program1>企業版ふるさと納税について
【講師】
内閣府 地方創生推進事務局
参事官補佐 平尾 悠樹 氏
プロフィール
鳥取県鳥取市出身、平成29年総務省入省。愛知県市町村課、総務省自治行政局行政経営支援室、同公務員部公務員課、同選挙部管理課、自治大学校准教授等を経て、令和5年7月より現職。
新たな民間資金の流れを巻き起こし、地方創生を深化させることを目的に、平成28年度に創設された「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」。制度の概要や活用実績、活用にあたってのメリット、活用事例などを、平尾氏が紹介する。
企業版ふるさと納税を活用する意義
近年、人口減少や少子高齢化などの影響で、地域が抱える社会課題を地方公共団体だけで解決することが難しくなってきています。
一方、SDGsへの関心の高まり等を背景に、こうした地域の社会課題の解決に積極的に取り組む企業や人材が増えてきていることから、官民連携により地方創生を進めていくことが重要になってきています。
そこで2016年に始まったのが、地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対し、企業から寄附をしていただいた場合に、法人関係税を控除する「企業版ふるさと納税」です。単なる資金面での支援にとどまらず、企業のアイデアやノウハウ、人材を活用した新たな地方創生の取り組みが全国各地で生まれています。
<制度のポイント>
①企業が寄附しやすいよう、
・損金算入による軽減効果に、税額控除による軽減効果を上乗せ
・寄附額の下限は10万円と低めに設定
(3の右上を横並びに)
②寄附企業への経済的な見返り(返礼品等)は禁止
③寄附額は事業費の範囲内とすることが必要
<人材派遣型>
本制度には「人材派遣型」もあります。お金を寄附する場合と枠組みはほぼ同じですが、寄附する事業費に派遣される人材の人件費も含めて、お金と人をセットで寄附・派遣していただくものです。
企業版ふるさと納税の活用事例
○リコージャパン(奈良県葛城市/DX推進事業)
奈良県葛城市にシステムエンジニアを派遣し、住民サービスの改革や庁内の業務改革アプリの開発を推進。住民サービスの向上や庁内業務プロセスの効率化に取り組むことができました。公務員だけでDXを行うことには限界があり、民間のSEやデジタル関係の企業者に協力してもらった事例です。
○宮崎太陽銀行(奥霧島地域商社ツナガルたかはる株式会社/官民連携産業創出事業)
高原町と宮崎太陽銀行、宮崎太陽キャピタル、奥霧島地域商社ツナガルたかはるの4者が連携協定を締結し、人材派遣型を活用した官民連携プロジェクトを実施。企業戦略マネージャーとして地域商社に派遣された人材が、専門的知識やノウハウを活かし、運営支援(経理、総務などの会社基盤構築等)や地域資源を活かした新商品開発、観光資源を活かした収益モデル構築等の業務に従事。地域商社の安定的な運営や発展に結び付いています。
このように、職員だけで解決できないところは外の人材に来てもらう。こうした人材派遣型の企業版ふるさと納税の活用も、ぜひ検討してみてください。
令和4年度は昨年度と比べ、寄附額は1.5倍の341億円超、件数は1.7倍の8,300件超です。寄附をした企業数も1.5倍の4,600社超。この制度が創設されて7年経ちますが、一度でも寄附を受け取ったことがある自治体の数は1,361団体となりました。令和4年度単体では1,276団体になります。以下は、令和5年度に大臣表彰を受賞した、地方公共団体の事例です。
○北海道南幌町(寄附実績:20,300千円)
地方創生の交付金と企業版ふるさと納税を組み合わせ、子ども室内遊戯施設「はれっぱ」を整備。令和5年5月に開業し、同年12月末日現在で15万人以上が来場。当初計画していた来場者数よりも多く、町の交流人口の増加や知名度向上に寄与しています。
○岩手県紫波町(寄附実績:42,150千円)
町内に全国初のバレーボール専用体育館があることから、バレーボールを集客コンテンツとして町おこしに活用。バレーボールに携わりたい人が町内に就職し、人材の環流にも役立っています。
○山梨県都留市(寄附実績:30,300千円)
市内に都留文科大学があることを生かし、子どもたちの好奇心をかき立て、学びを加速させる「探究型」の教育プログラムを事業化。これによって都留文科大学の卒業生の雇用の場も創出されています。
企業版ふるさと納税の活用とポイント
地方公共団体が寄附受け入れに至る流れは、下記の通りです。
1.庁内の体制づくり
2.企業のリストアップ
3.企業へのアプローチ
4.企業からの寄附
5.寄附受け入れ後のフォロー
2. のリストアップはやみくもに行うのではなく、自治体とつながりがある企業の方が声をかけやすいと思います。
3. は、首長や幹部職員がアプローチをかけることで企業経営者との面談が実現し、寄附につながったケースがあります。
5. の寄附受け入れ後のフォローは非常に重要です。寄附をしてもらうことが成功した場合、企業名をホームページや広報紙等で積極的に発信します。我々が思っている以上に、企業が喜んでくれる場合が多く、次年度以降も継続的な寄附につながりやすいと聞いています。
地域課題を、企業と一緒に解決していく仕組みが、企業版ふるさと納税であると考えています。一度寄附してもらって終わりではなく、寄附活用事業の進捗や成果の報告なども含め、きめ細かなフォローが大切です。
企業版ふるさと納税の一層の活用を図ることを目的として、令和3年10月には「内閣府企業版ふるさと納税マッチング・アドバイザー」制度を創設しました。アドバイザーによる助言を受けることができるマッチング会もありますので、ぜひ参加をお願いします。
さらに、研修会を開催する地方公共団体等へマッチング・アドバイザーを派遣しています。これらの制度を、ぜひ活用してみてください。
[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]
Q:企業版ふるさと納税を集める、対象事業の特徴についてご教示ください。
A:地域再生計画自体が、かなり幅広いものになっています。その中でも、例えば子育て関係で新しい保育園を整備するとか、子どものための教育で新しい取り組みを行うなど、「今」の関心事に合わせたものが多いようです。また、脱炭素への取り組みで寄附を集めようとしている自治体も多いようです。
Q:企業版ふるさと納税の最大メリットとして、寄附額の最大9割相当の税制優遇を受けられる点が、企業側にとって最大のメリットと思いますが、実際の企業会計において、それほどの利益が出ている企業がどの程度あるのか、その規模感とニーズの相場観を知りたいです。
A:課税所得に対して寄附額が大きくなりすぎると、9割の軽減は受けられなくなります。私がデータで見ている限りでは、9割軽減になるところでコントロールしている企業も多い印象です。一方で、地元への恩返しや被災地支援などを理由として、仮に軽減が9割に届かない場合でも寄附される企業もあるようです。
<Program2>ビジネス思考を導入し、新たなサービスを活用
【講師】
豊後大野市役所 まちづくり推進課
主任 赤嶺 哲平 氏
プロフィール
公的中小企業支援機関に7年間勤務し、平成31年入庁。平成31年市民生活課、令和3年より現職。
令和3年度から寄附受け入れを開始したものの、実績が伸びなかった豊後大野市。寄附額増加に向けて支援サービスの導入を模索する中で、ビジネス思考を取り入れた導入提案と、庁内調整を達成したプロセスについて、赤嶺氏が伝授する。
寄附件数・寄附額の推移について
当市は、平成17年に5町2村が合併して誕生し、その後、人口が約1万人減少している過疎・中山間地域です。とりわけ全国に先駆けて先進的特異的な取り組みをしているわけではありませんが、当市のような自治体であっても寄附を集めることができる業務支援サービスの活用事例を紹介します。
サービス導入後に私が行った業務は、ジチタイアドへの事前情報提供と、寄附申し出後に申し出企業との調整、受領証発行、目録贈呈式の設定くらいです。募集に係わる営業活動などは一切何もしておりませんので、非常に効率的なサービスだと感じています。
令和3年度、4年度の活動は、パンフレットの作製や公式ホームページの案内しか行っておらず、ほとんど寄附がない状況でした。
そこで令和5年度、ジチタイアドの営業代行サービスを導入したことで、寄附件数が10件、金額ベースで1,020万円の申し出がありました。そのうちジチタイアド経由の寄附は、770万円になります。
寄附申し出企業の特徴としては、全体のうち半数が当市内に工場や支店があること、過去に工事を受注したことがある企業でした。その企業が当市と永続した関係を維持するため、制度を活用したということが理由でした。残りの半数は、企業の代表者や幹部クラスが豊後大野市の出身者や住民であるため、寄附を申し出ていました。
このことから、企業版ふるさと納税においては、自治体と企業とのつながりを寄附につなげていくことが、スムーズな流れだと実感しています。
また、ジチタイアドの営業代行サービスを利用することで、各企業に所属する出身者や住民の存在を認識することができるため、副次的効果も期待できると思います。
営業代行サービス導入までのプロセス
サービスの導入に向けて庁内調整を進めていく中で、受け入れ寄附額に対し、サービス利用料として手数料がかかる点で内部からの抵抗が発生するかもしれません。そこで、サービス導入までのプロセスについて説明します。
導入にあたっては、課内や関係各課、首長の決裁をもらうための説明を求められると思います。この手数料をどのように表現・説明するかが、重要であると考えます。単に受け入れ寄附額に対し、サービス利用料として手数料の支払いが生じることに否定的な意見が出てくることもあるかと思います。
そこで、経営における財務分析手法の一つである、売上高に占める利益の割合を示した「売り上げ総利益率」で表現し、民間企業における一般的な健全経営と言われている範囲(製造業は15~60%、小売業は20~30%)の数値と比較することで、ジチタイアドのサービスがいかに利益率の高いサービスであるかを、理解し納得しやすくなるかと思います。
ただし、税金を取り扱う公の組織と民間企業を比較すること自体、ナンセンスであるという意見も、重々承知しております。
もう1つの説明として、手数料の背後にある“価値”を導き出すために、他社サービスとの比較・分析を行いました。
下の資料は、実際に私が使用した資料です。上段がトラベル系企業のサービスで、下段がジチタイアドです。
サービス導入後の業務の流れを比較することで、業務にかかる時間や人員の見える化につながり、利用料だけではなく、職員の人件費を加味した比較が可能になると思います。
併せて、すでに導入している他の自治体の実績を比較することで、安易に利用料といった価格だけで判断するのではなく、手数料の中に秘められた価値や実現可能性を導き出すことにつながっていくと思います。
数字の後ろには、必ず価値やストーリーが存在します。この価値を数字から導き出して活用することが、新たなサービスの導入や新規事業の実施につながっていくと、私は強く思います。
[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]
Q:寄附を継続的に集めるための秘訣を教えてください。
A:今回、ジチタイアド経由で寄附をしてくれた事業者の大半が、県内企業でした。理想としては、当市が取り組んでいる事業に対して寄附を集めたいところなのですが、本年度に関しては、まず寄附を集めることを目標にしており、企業とのつながりが得られただけでも、まずはOKなのかなと思います。次年度以降、どのような取り組みをしていくのかが重要になると考えています。
Q:庁内の巻き込み方について。事業所管課も寄附をもらい事業をやろうという意識が薄いため、少しでも所管課と協力体制が築ければと思ってます。ここがポイントという点があれば教えてください。
A:当市の場合、ジチタイアドのサービス導入前には、庁内の幹部職員が集まる会議で企業版ふるさと納税制度のパンフレットを配ったり、もし、個別で相談を受けた場合は対応していました。しかし正直なところ、ほかの関係各課の意識を高めることはできなかったのが実情です。本来、企業版ふるさと納税をうまく利用できれば財源確保にもつながるので、そこをもう少し担当課としても積極的に説明していけばよかったという後悔はあります。
<Program3>企業版ふるさと納税活用のススメ
【講師】
株式会社ジチタイアド レベニュー事業部
部長 松本 銀士朗 氏
プロフィール
平成29年4月、(株)ホープ入社。令和3年10月、企業版ふるさと納税支援事業を立ち上げ。現在、約200自治体へ財源確保支援を実施しており、寄附企業と自治体をつなぎ、「三方よし」を実現すべく日々奔走中。
企業版ふるさと納税を活用している自治体には、寄附額UPに向けて。まだ活用していない自治体には、取り組みの足掛かりとなる寄附獲得へのノウハウを、松本氏が伝授する。併せて、寄附獲得率100%を目指すジチタイアドのサポート体制についても紹介。
企業版ふるさと納税について
個人版のふるさと納税は、約1兆円のマーケット規模になっています。一方、企業版はまだ300億円くらいです。しかし、我々は全国の自治体と日々やりとりをする中で、徐々に企業版にも力を入れ始めた自治体が増えてきた印象を持っていました。
以前、ジチタイワークスは自治体職員にアンケートを実施しましたが、当時は全く使えていない自治体が非常に多かったです。アンケートの結果から困り事を抜粋したところ、以下の3つが目立ちました。
・市長のトップセールスに頼っており、多くの寄附を集められない
・地域再生計画の認定は受けていても、寄附事業を作成していない
・プッシュ活動をしなければいけないが、その能力と時間がない
ここから、以下の課題が考えられます。
・企業版ふるさと納税の認知度が低いため、企業に対する効果的なPRが必要
・企業にとってのメリットが分かりにくい、もしくはないため、寄附を動機づける付加価値をつくる必要がある
・職員だけだと営業力や企画規模に限界があるので、得意な業者へ委託することが必要
これらを解決するため弊社が立ち上げたのが、「企業版ふるさと納税支援事業」です。
企業版ふるさと納税支援事業について
事業スキームとして、契約形態は基本的に成果報酬型です。寄附額に対し、サービス利用料として手数料を頂いてます。
自治体別にオリジナルの印刷物を内製しており、まちの紹介、特定の事業を含め、企業版ふるさと納税を募集していることの紹介です。
各自治体が、寄附の申し出書の様式をお持ちだと思いますが、例えば300万円の寄附の申し出企業が出てきた場合、企業に記入してもらうところまで弊社が代行対応します。そのため、弊社から自治体に紹介する場合には、300万円の申出書が全部記入をされた状態でお渡しできます。
個人版と違うのは、弊社のプラットホームやウェブでの決済に、現時点では対応しておりません。直接自治体の方から入金がありますので、タイムラグがなく、すぐに反映されます。
その後、受領書の発行やそれぞれが設定しているベネフィットの調整を行っていただくだけです。弊社への成果報酬手数料が、自治体側にとって唯一のコストとなります。
上記図の④まで、職員にやっていただく作業は何もありません。寄附の入金を実際に確認できたら、その都度、受領証の発行、お礼のご連絡、ベネフィットの調整をするだけになります。導入いただいている222の団体からは、個人版と違って管理もなく、非常に手離れが良い、寄附の都度、対応すれば良いので大変助かっている、などの声をいただいています。
<各種調整について>
本事業を立ち上げて2年少々経ち、どういう企業が集まるのか、企業はどういった自治体に寄附をしたがっているのか、どういうマッチングケースが多いのかなどのノウハウがたまってきています。成果報酬型ですので、相談に対する時間に対する費用は一切発生しません。各種調整の内容には、コンサル的な内容も含まれています。ベネフィットについて、一部を紹介します。
・自治体公式HP、広報紙にて企業名等を掲載
・公式SNS(Facebook・Twitter・Instagram等)での紹介
・感謝状、表彰状の贈呈、贈呈式の実施
・首長との意見交換の場の設定、自治体への視察の受け入れ
・報道機関へのプレスリリースを発信
・功労者表彰、国の紺綬褒章に推薦
・自治体主催イベントへの出展
・関連施設への銘板設置
・関連施設に企業パンフレット、チラシを設置
<PJT:スポーツ関連>・寄附企業様の冠大会の開催
<PJT:復興関連>・復興研修を兼ねたトロッコ列車乗車体験
<PJT:教育関連>・教育プログラムの現地視察
近年は体験型ベネフィットが増えています。企業の社長や社員、もしくはそのご家族も含め実際に来てもらい、自分たちのことを知ってもらうきっかけになっています。このメリットは、寄附するまではお互いに何も知らなかった間柄が、訪れてみて、非常に相性が良いことが分かるといった例があります。
また、サービス導入後1年間まわしてみて、もしも寄附を1件も集めることができなかった場合も、弊社に対する保証金は一切発生しません。現在までで、1件も寄附がなかったという事例はありません。
2021年秋より事業を開始し、2023年3月末までの実績がこちらです。
2022年度の平均を見ると、1自治体あたり6.2件くらいです。単価でいうと310万円ですが、自治体によってバラツキがあります。下限は10万ですが、上限は定められていませんので、平均は出しにくいのが現状です。そのため、金額より件数を参考にしていただければと思います。
2021年10月〜2023年12月末までの累計
・自治体協定数207自治体
・募集寄附額約6.1億円
・寄附ご紹介数約1,000件以上
契約について
自治体規模に関わらず、弊社を信じて契約していただいた自治体には、しっかり企業に寄附をしてもらう形で還元・貢献したいと考えています。提案からお支払いまでの流れは、下記を参照してください。
[参加者とのQ&A(※一部抜粋)]
Q:市外の企業や事業者から、企業版ふるさと納税を呼び込む秘訣、企業から長く寄附を継続できている創意工夫について教えてください。
A:県外・市外からの寄附を呼び込む秘訣として、自治体側の協力が必要になる部分があります。まず、事業内容をより具体的にすることです。具体的な事業でなければ、約1,800ある自治体の中で、なぜこの自治体に寄附をするのか…という理由が不明瞭になります。次に、継続的な寄附を募るには、企業とコミュニケーションを密に取ることが重要です。寄附をお願いする時期に、今年もお願いしますと書いた文書を送るだけでは、企業も良い気はしません。寄附してもらった事業の報告を定期的に行うなど、密な連携コミュニケーションが必要です。
Q:企業側から見た、寄附先の選定手段と選定理由、企業への効果的なアプローチ方法を教えてください。
A:例えば、その自治体に何らかの縁がある企業や営業所など、関連性のある企業を選定することがポイントです。また、官公庁と業務的につながりがありそうなところ、弊社のようなメディアを持っている企業、広報紙の広告を載せている企業などが、自治体と仕事をしたがっている企業である傾向が強いです。そういったところを営業先の候補にすると良いと思います。弊社の場合、自治体側に特定の事業がある場合、その事業とひも付く民間企業を選定・リストアップするやり方も行っています。