観光分野のデジタルプロモーションにおいて、地域の魅力はどうすれば旅行者にうまく伝わるのか。月間2,400万リーチを誇る観光系最大級のWebメディア「RETRIP」を運営する・trippieceの永井 達也さんと博報堂DYメディアパートナーズの吉田 洋基さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークス観光・インバウンド号Vol.3(2019年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社trippiece
観光PRの落とし穴
今や、観光PRにおいてデジタルプロモーションは欠かせない。各自治体も知恵を絞っているが、必ずしも成功していないのが現状だ。その背景について「主に3つのノウハウ不足が挙げられます。①ターゲットの理解②地域の魅力の理解③Webの特性の理解です」と永井さんは分析する。
①については、ターゲット世代の好奇心に合わせた情報発信が鍵になる。例えば、神社仏閣が多い地域だからといって寺社の写真を羅列しても、若者の誘客にはつながりづらい。カフェやグルメなどの情報も必要だ。また②では、地域の力を自治体自体が過小評価しているケースが多く見られるという。「これに興味を持つ人はいないだろう」と見過ごされた観光資源が眠っているのだ。さらに③のWebの特性については、他媒体とのバランスが重要だ。「例えばパンフレットなど紙媒体の活用も大切ですが、リーチの限界がある。Webの強みを把握し、比重を大きくしていくべきです」(永井さん)。
地域の資源をビッグデータが活かす
trippieceが手掛けた一つの事例がある。宮城県亘理町の「はらこめしプロモーション」だ。亘理町では、新規の旅行客を増やしたいと考えていたが、地域の魅力をどう発信すれば良いか迷っていた。そこでtrippieceは、Webメディア「RETRIP」上での、亘理町発祥の郷土料理“はらこめし”を中心に据えたプロモーションを提案。地場のメディア企業である株式会社ユーメディアと連携し、ビッグデータから仮説を立て、「グルメ」と「観光」という2つのテーマで取材記事を公開。それぞれの反応を比較しながら運用・改善を重ね、目標の1.5倍のPVを達成した。
さらに、記事公開中に蓄積したユーザーデータを分析してレポート化し、今後の方向性を提示。同町の担当者からも「ターゲットが明確になり、観光PRの指針ができた」と高い評価を得た。「施策を場当たり的にやるのではなく、PDCAサイクルが回せる仕組みを作ることが大切。そこで得たデータの分析がより大きな結果につながります」(吉田さん)。
ユーザー視点での情報提供
また、観光PRではWebメディアユーザーへの訴求力も重要だ。RETRIPは20~30代の旅行客を主なターゲットとしており、20代の旅行客を増やしたい場合は、同年代のライターが情報を集め、推しポイントを紹介する。ユーザーは、友人から薦められている感覚で記事を読める。こうした手法のもと、RETRIPは北海道・滝上町の「芝ざくら滝上公園」、東京都の離島「新島・式根島」、福島県の「ふくしまみちさがし」ツアーなど、隠れた名所やユニークな地元企画にスポットを当て、旅行客を増やし続けている。
「限られたリソースだからこそ、少しでも多くの効果が得られる手段を選んでほしい」と語る永井さん。デジタルプロモーションのようなつかみづらいジャンルこそ、プロのノウハウを導入するのが結果への近道なのかもしれない。
フォロワー173万人!地域のファンを増やし続ける「RETRIP」
「地域に観光資源が少ない」「若者向けの観光PRがうまくいかない」、そういった自治体にヒントを与え、全国各地で地域の魅力を発信しつづけている「RETRIP」のプロモーション。その核心に迫る。
RETRIPの特徴
旅行頻度(高)×消費額(高)のユーザーから圧倒的な支持を受けるWebメディア
RETRIPユーザーは、非ユーザーと比較して、年に1回以上旅行する割合が“国内”で1.7倍以上、“海外”で4.2倍以上。消費金額も国内旅行でおよそ1.5倍となっており、PR施策実施後の地域経済効果に直結しやすい。(※上記はtrippiece調べ)
メディアを横断するユーザー分析でデータに基づく観光施策をサポート
博報堂DYメディアパートナーズらと共同開発した「地域創生DMP」を活用し、メディアを横断したビッグデータが取得可能。関心度の高いユーザーがどのように行動しているかといった結果をレポート化し、次のプロモーションに活かす。
施策例
記事読者を対象にモニターツアーを実施旅行客の反応まで一気通貫で分析
例:「\島根県コラボ/ぼくらのあきやすみ!秋の味覚×紅葉×田舎体験」として同社が運営するシェア旅を推進する旅行マッチングサービス「Trippiece」でツアーを募集。キャンセル待ちが出るほどの人気を博した。
インフルエンサーを活用した複合プロモーション
例:長野県大町市では、インフルエンサーによる旅行体験記をRETRIP上で公開すると同時にインフルエンサー自身のアカウントでも発信。RETRIPユーザーだけでなく、インフルエンサーのフォロワーや、Instagram利用ユーザーにも訴求する複合的なPRとして展開。
実施事例(宮城県亘理町の場合)
1 課題:どのようにPRすれば?
新規の旅行客を増やしたいが、地域の何にスポットを当てるか、それをどのようにPRすれば良いか、方向性が定められない。
2 提案:地域の資源×ビッグデータを活用
郷土料理「はらこめし」にスポットを当て、旅行メディアのビッグデータを活用して旅行者の行動分析を行い、施策を立案。
3 内容:ジャンルを分けた記事作成
データから仮説を立て、アカウントの異なる「グルメ」と「観光」のテーマ2本立てでPR開始。両者の比較を行いつつ内容を随時調整する。
4 効果:データから見えた新たな示唆
分析結果として、テーマごとに「エリア」「デモグラ」「興味関心」での特徴や差異が判明し、次にアプローチすべきターゲットを明確にできた。
自治体担当者より
若い世代の旅行客を呼び込みたい、PRの目玉として郷土料理の「はらこめし」を押し出していきたいと考えていたものの、有効なPRの手段や表現方法が見出せずにいました。
PRの結果を出せたことももちろんですが、企画運営のサポートや、その後の読者データ分析などのフォローも心強かったです。
亘理町 企画財政課 企画班 大堀 淳さん
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