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長崎県

手続き数が約3倍、申請数も約5倍にアップ!県と13市町が共同で活用する電子申請サービスとは。

住民の利便性向上と行政業務の効率化を実現するため、各種の行政手続きをインターネット上で完結できるようにする自治体が増えている。ただ、自治体独自でシステムを構築しようとすると、電子認証システムの導入や電子申請システムに対応したハードウェアの整備など、大きな初期投資が必要なことから、検討段階で足踏みしている自治体も少なくはないようだ。そうした中で、産学金官連携による団体を設立し、ICT利活用を推進している長崎県は、「NTTデータ関西」が提供する電子申請サービス「e-TUMO APPLY(以下、 APPLY)」を令和4年度に導入。サービス提供にあたっては、地場グループ会社の「NTTデータ九州」が主体となり、NTTデータグループ一体となって取り組んでいるという。長崎県および県下13市町が同サービスを共同で活用できる体制を整えた。サービス導入までの経緯と利用状況などについて、同県の佐藤さん、宮田さん、日髙さんに聞いた。

※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです
[提供]株式会社NTTデータ関西


interviewee

左:企画部 デジタル戦略課 主任主事
日髙 貴志(ひだか たかし)さん
中央:総務部 スマート県庁推進課 電子県庁推進班主任主事
宮田 大毅(みやた だいき)さん
右:総務部 スマート県庁推進課 電子県庁推進班主任主事
佐藤 涼平(さとう りょうへい)さん

県下13市町が同じサービスを一緒に活用することで、より効率的な運用が可能に。

令和元年12月に「デジタル手続法」が施行され、その1年後、「デジタル・ガバメント実行計画」が閣議決定された頃から、行政手続きの電子化に踏み切る自治体が増えてきた。折しも新型コロナウイルスの感染者数が急増し、各地の自治体が窓口での対人応対を減らす取り組みを進めたことも、電子申請システムの導入機運に拍車をかけた。

それら全国的な動きの中で、長崎県も産学金官連携による任意団体「ながさきSociety5.0推進プラットフォーム」を令和2年9月に設立し、行政業務のデジタル化推進をはじめ、ICT利活用による県民生活の質的向上や、地場産業の振興などを目指す体制を整えている。

同県では、平成15年度から独自開発した電子申請システムを活用していた。「今後について、キャッシュレス決済機能などを備えた汎用的な電子申請システムへの更新を検討していたところ、令和3年7月末に市町より、県と共同で活用を希望する声があったことから、共同調達について検討されるようになったのです」と、佐藤さん。

汎用システム導入にあたっては、同プラットフォームが中心となり導入形態を検討。基本的な操作法や、活用にあたっての困り事などについて近隣自治体と連絡を取り合い、ノウハウを蓄積・活用できるよう、県と県下自治体とで同じサービスを活用する方針が決まった。県下の市町に打診したところ、複数の市町がこの方針に賛同したため、令和3年10月、県および市町による「汎用的電子申請システム共同調達連絡会」を立ち上げた。

「参画した市町の中には、県内有数の人口を擁する自治体がある一方で、離島など小規模自治体も含まれています。そのため、申請件数はもちろん申請の種類もバラバラで、システムに対するニーズも自治体ごとに異なっていました。自治体ごとの違いを吸収できるような調達仕様書を作成するため、連絡会内部で意見交換会を何度も実施したのです」と、宮田さんは仕様策定までの経緯を振り返る。


「結果的に大枠の部分を県が契約し、そのほか細かな仕様の違いについては、各市町が個別契約にするやり方で導入の方針が決まりました」と、日髙さん。とはいえ、そうした契約形態に対応できるシステムおよびベンダーは、それほど多くはない。入札を公告したところ、自治体ごとの規模やニーズに柔軟に対応できる電子申請サービス「APPLY」が選ばれ、令和4年10月からの導入が決定した。

様式を職員が自由に作成できるので、利用者の要望を反映しやすくなる。

APPLYは、行政総合サービスモール「e-TUMO」内の電子申請サービス。利用者が24時間・365日、スマホや自宅PCなどから行政手続きを行うことができ、令和5年時点で29都道府県・約920団体での導入実績がある。

インターネットで申請を行えるAPPLYは、導入自治体の職員が手続き様式をいつでも様式数の制限なく自由に作成できるのも大きな特徴で、この機能があったからこそ、“自治体ごとに、異なる手続き様式が必要”という同県のニーズに応えることができた。
手続き内容の審査・受理、返信文書の送付などの処理をセキュアなLGWAN環境内で一元管理できるため、行政側の事務負担を大幅削減できる点も、同サービスが選ばれたポイントといえるだろう。

APPLY導入後、同県では納税証明をはじめとする各種証明書関連や、各自治体では出産育児一時金・児童手当などの子育て関連、介護福祉関連、自治体主催イベントの申し込みなど、様々な申請をオンラインで受け付けており、電子申請に関する利用者側からの問い合わせも増えているという。

こうした結果、県では令和5年4月から11月末までの間に、手続き数が約3倍、申請数は約5倍に増加したという。
また、運用開始後、追加で2自治体から共同活用を希望する声があった。「契約更新のタイミングで乗り換えるケースや、申請電子化には未着手だった自治体が、近隣市町に倣って参画するケースなど事情は様々です。今後も、共同活用を希望する自治体は増える可能性があると考えています」と、日髙さん。

県・自治体の導入事例はコチラ >

DX相談会や研修会の実施を通じて職員の活用スキルを高める。

順調な導入成果の裏には、自治体DXを意欲的に推進する、県の地道な取り組みがあるようだ。例えば、DXに向けた“旗振り役”を庁内の各部局・課に配置するため、「デジタル改革推進担当」の職員を任命。全所属のヒアリングを通じて業務上の課題を洗い出し、APPLYをはじめとする各種デジタルツールによる課題解支援を実施している。

また、職員の小さな疑問に答えるため、「DXお気軽相談カフェ」と銘打った相談会を令和4年夏以降定期的に開催。「各課においてデジタル改革を推進する担当者が把握しきれていない業務上の課題が、まだ多数あるはずです。それらを拾い上げ、業務におけるDXを着実に進めていくことが重要だと考えています」と、佐藤さん。
電子申請を県庁内で浸透させ、利便性を実感してもらうためには、サービスに対する職員側の習熟度も高めなければならない。そこで、全体研修会3回と機能性向上研修会を2回実施し、毎回20~30人の職員が、新しい申請書様式を作成する手順などについて学んだ。令和5年11月には「デジタル改革推進会議」を開催し、APPLYの利用促進を呼びかけている。

さらに、令和6年2月以降は、電子県庁推進班が講師役となり、職員向け研修会を定期的に開催する計画だという。「充実した内容の研修動画が提供されていますが、自由に閲覧できる動画だけだと“ながら研修”になりがちです。決められた時間に職員が集まって研修会を実施することで、実際に手を動かしながら学び、研修会の効果を高めることをねらいとしています」と、佐藤さん。

電子申請ばかりでなく、県全体のDXに向けた動きを活発化させるため、県が委嘱した外部専門家を「情報戦略アドバイザー」として起用。DX関連の課題を抱えている県下自治体に派遣したり、オンラインで意見交換する場を設けたりすることで、自治体職員の意識啓発にも取り組んでいる。

LINEやキャッシュレス決済との連携で、利用者の利便性がさらに向上!

LINEの公式アカウントを、情報発信ツールの一つとして活用する自治体が増えている。APPLYは、自治体のLINE公式アカウントと連携する機能を備えているため、利用者は自治体のLINE公式アカウントと友だちになることで、LINEからのシングルサインオンで、電子化に対応している各種行政手続きが行える。

同県の場合、令和5年末までに県を含む計11自治体がLINE連携機能を活用しており、住民の利便性向上を実現している。行政側にとっても、住民に届けたい様々な情報をLINEトークでプッシュ通知し、その通知からAPPLYの申請画面への動線を提供できるため、より効率的・効果的な情報発信が可能になった。
 

※写真はイメージです

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行政手続きに伴う手数料などの支払いを電子化するため、キャッシュレス決済を導入する自治体も増加している。APPLYはスマホだけで完結するキャッシュレス決済サービスとの連携も可能だ。同県ではすでに、県を含む6自治体がAPPLYによるキャッシュレス決済を実施しており、各種証明書や住民票写しの交付手数料などの支払いを簡便化している。

「各自治体が地域のニーズや状況に応じ、APPLYを活用して様々な工夫を凝らしています。行政手続きのオンライン化促進に向けた、自治体ごとのニーズに柔軟に対応できる基盤づくりができたことが、大きな成果だと認識しています」と、宮田さん。

行政手続きのオンライン化が進むにつれ、高齢者をはじめとするデジタルデバイドの問題も大きくなる。また、紙の添付書類が必要で、完全には電子化できない手続き、添付データの容量が非常に大きいため、一括処理できない手続きなども依然として残っている。
紙とデジタルデータの両方を取り扱わなければならないことで、職員の業務負荷が増す場合もあるのだが、「解消が難しい問題があることを理解した上で、自宅や職場からいつでも申請できる環境を、今後も拡充していかねばなりません。そのためにも、職員向け研修会や情報戦略アドバイザーの活動を通じて、住民の利便性向上と職員の業務効率化とを両立できる方策を模索する考えです」と話す。

多数の離島や半島が織りなす美しい海岸線の風景や、古来よりの海外交流によって培われた独自文化などの特徴をもつ同県。西九州新幹線の長崎~武雄温泉間開業、長崎スタジアムシティプロジェクトなど、「100年に一度の大きな変化」を地域活性化に結びつけるため、産学官民が一体となった取り組みを進めている。

県と県下13市町によるAPPLYの活用もその一環であり、県では令和7年度末までに、ほぼ全ての行政手続きをオンライン化する計画だという(紙書類が必要な一部手続きを除く)。「九州の最西端に位置し、離島や半島が多く平地が少ない地理的環境の中でも、全ての県民が時間や場所を気にせず、簡単に各種申請ができる社会を実現したいと考えています。そのためにも、より使いやすい機能を活用し、市町とも連携しながら、さらなるDXを推進していきます」。
 

関連記事はコチラ:スピード感をもって進化を続ける行政総合サービスモール「e-TUMO」とは

[e-TUMO APPLYの強み]

⑴ 常に進化を続けるための継続的な機能向上
平成21年のサービス提供開始以降、導入自治体からのニーズ、国の施策やICT技術の進歩にあわせて、年に2回以上の機能追加や機能向上を継続している。「ぴったりサービス」「GビズID」「スマホJPKI」など国が提供する仕組みともいち早く連携しており、標準機能で常に時代に即したサービスを提供している。

⑵ 活用アイデアが広がるコミュニティサイト
導入自治体は「e-TUMOスクエア」というコミュニティサイトを利用できる。自由に活用できるサンプルの手続き様式や、APPLYを活用するノウハウなどのコンテンツが豊富に掲載されているほか、操作方法の研修動画も視聴できる。

⑶ 900以上の団体が導入している安心感
29都道府県・約920団体が導入済み(令和5年現在)。中央省庁への導入実績もあるため信頼度が高く、多くの利用自体からの声を反映できる分、きめ細やかな機能が充実している。

⑷ 国が求める情報セキュリティ対策に対応
ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)クラウドサービスリストに登録(令和4年10月14日)。継続的な情報セキュリティ対策の取り組みが実施されていることを定期的な外部監査で確認されているサービスである。

 

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社NTTデータ関西

担当:第一公共事業部 営業担当
電話:050-5545-3225
住所:〒530-0003 
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