多業種に応じた法人向けEコマース
どの自治体にも欠かせない備品・消耗品購入業務。しかし、物品の種類で購入先や支払い方法が異なるなど、効率面で課題を感じている自治体は多いのではないだろうか。神津島村は、購入の手間を減らし、庁内DXの足がかりにしているという。
※下記はジチタイワークスVol.29(2023年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]アマゾンジャパン合同会社
物流が必要不可欠な地域だからこそ購買事務の効率化を目指していた。
東京都の島しょ部に位置する同村。島内に業務用の備品を取り扱う業者はなく、長年通信販売を利用してきたそうだ。「もともとは、長く付き合いのある業者から購入していました。しかし、電子機器類の導入が増えるなど、必要な物品の幅が広がってきたことから、新たな取引先を探していました」と鈴木さん。総務課と情報通信課では、電子機器類は専門業者からのネット購入、ペンなどの事務用品はカタログの商品番号を書いてファックスで注文していた。
全庁共通の業者を利用した場合には、請求書をコピーして各課に配り、該当する購入分にマーカーを引いて精算していたという。「商品番号を書くのはチェックも含めて手間がかかります。事務処理の時間をできるだけ減らしたかったので、注文から精算まで効率良くできる方法が理想的でした」。
そんな折、平成30年4月に、法人・個人事業主向けEコマース「Amazonビジネス」を知り、アカウント登録することに。もともと部門ごとに購入していた同村にとって、請求処理のしやすさや品揃えの幅広さが、活用の決め手になったという。
「Amazonビジネス」とは
法人・個人事業主向けのEコマース事業。請求書払いなどの機能があり、無料で登録可能。インボイス制度にも対応している。(請求書払いの利用には審査が必要)
▲個人向けの「Amazon.co.jp」と同様の操作感で、商品の種類も多い。
数億種類の商品から選べて組織に合った形の支払いも可能。
扱っている商品は、オフィス用品や電子機器など多岐にわたる。複数の専門業者から購入していたときに比べると、検索や注文の手間が減り、紙が不要になった点にメリットを感じているという。「1カ所で数億種類もの商品から欲しいものを選ぶことができます。検索もしやすく、これまでは専門業者からでないとなかなか買えなかったような商品まで見つかるので、購買事務が効率的になりました」。
アカウント登録は、自治体単位でも部門単位でも可能。請求の締切は、月末または5の倍数日からユーザー側で選べるそうだ。アカウント数と、請求のタイミングはそれぞれ組み合わせが自由で、買ったものの管理や、予算ごとの経費の振り分けが簡単になるように、組織のルールにもとづいて選択する。
例えば、同村は部門ごとでアカウントを登録し、1カ月分が月末にまとめて請求される方法を選んでいる。請求されたタイミングで速やかに精算するのが同村のルールであるため、手続きの回数を増やさずに済むよう月末請求にしているそうだ。また、自治体単位でアカウントをもつ場合も、注文ごとに当該部門へ請求書が来るようにしたり、1カ月分が1枚の請求書にまとまるようにしたりと、より便利な方法を選択できるという。
使いやすさやスピード感が庁内に浸透してDXの一歩目に。
情報通信課ではキーボードやソフトウェアなどのパソコン周辺機器、オフィス収納家具などを日常的に購入している。災害時や新型コロナの感染が拡大した際には、緊急でマスクやゴム手袋などを購入したこともあるそうだ。「プライベートで利用する場合と近い操作感なので、多くの職員にとって使いやすいのではないでしょうか。操作の簡単さは、急を要する場面では、よりありがたいです」。
さらに、購入後にも便利な点が。「請求書が電子印で届くことで、不備や遅れのリスクが少なく、会計部門への決裁に進めるようになりました。郵送では早くても2日はかかりましたが、今はメールですぐに受け取れます」。同課と環境衛生課が同時期に活用を始め、使い勝手の良さが口コミで庁内に広がったという。令和5年10月時点で、保健医療課や教育委員会など全部門で使用している。
こうした手元の業務が効率化することを、DXが進むきっかけと捉えている鈴木さん。「DXは“変革”がポイント。離島という立地では、多くの場面で物流に頼らざるを得ません。不可欠な業務だからこそ、同じやり方を続けるのではなく、効率化していくことが大事。一気に進めるのは難しくても、少しずつ意識が浸透すれば、全庁のDXが進み、村にも波及していくはずです」。
神津島村
総務課 兼 情報通信課
課長 鈴木 敦(すずき あつし)さん
選べる物品の幅が広がり事務処理も効率化できる
物品カテゴリごとに複数の業者から購入していると手続きが煩雑に。一本化することで、購買業務がラクになる。
必要なものを見つけやすい
➡1カ所で数億種類の商品が購入できる
請求書管理・支払いが効率的
➡月次請求でまとめて支払うなど、工数を削減できる
神津島村での購入例
PC周辺機器(情報通信課で使うもの)
・キーボート
・マウス
・ソフトウェア など
事務用品(通常業務で使うもの)
・オフィス収納家具
・デスクトレー など
家庭・医療用品(緊急時に必要なもの)
・マスク
・保護メガネ など
導入実績
●中央省庁
●地方自治体
●大学(国立大学の90%以上が登録)
●民間企業 などが活用中
※令和5年10月時点
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