嫌煙ムードの高まりとともに、自治体を悩ませる路上喫煙・受動喫煙の問題。そんな中、千代田区は喫煙者の排除ではなく、ストレスのない共生へ舵を切った。その取り組み内容について、同区地域振興部 安全生活課の松永 浩さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.8(2019年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社ランドピア
喫煙問題で板挟みになる自治体
健康意識の高まりとともに、近年では受動喫煙という言葉も社会に浸透し、それに対する法整備も進められている。平成30(2018)年7月には「健康増進法の一部を改正する法律」が成立し、学校や行政機関などの第一種施設は翌年7月から禁煙となった。まちから灰皿が消えていく中、残った喫煙所に愛煙家が集中する。その結果、近隣の住民から「喫煙所を無くしてほしい」という苦情が発生、逆に喫煙者からは「どこで吸えばいいのか」という声が起こる。どの自治体でも直面し得るこの課題を、「共生」で解決しようと挑戦しているのが千代田区だ。
千代田区は、平成11(1999)年に歩きタバコの禁止条項を含む「ポイ捨て禁止条例」をスタート。その約3年後には全国で初めて喫煙に罰則を設けた「千代田区生活環境条例」を施行するなど、路上喫煙対策の先進的な取り組みを行ってきた。同時に、喫煙者と非喫煙者の共生を目指し、公衆喫煙所の整備も進めている。その中のひとつが「喫煙トレーラー」の導入だ。
パーテーションで仕切る喫煙所は煙や臭いが外に出てしまいクレームが多いのが現状。
車両として登録される喫煙所
千代田区が導入した喫煙トレーラーは、コンテナやトランクルームに関する事業を手掛けるランドピアが開発したもので、車両でありつつ一般の喫煙施設と同等の設備を備えている。特筆すべきは喫煙室専用のプラズマ脱臭機だ。臭い成分を99%除去※し、煙を浄化して室外に排出するため、喫煙所のそばにいても煙や臭いを感じることはない。喫煙トレーラーを選択した理由を、松永さんはこう語る。「施設ではなく車両なので建築基準法の適用を受けず、スピーディーに設置できます。排出される空気もきれいで非喫煙者に迷惑をかけません。共生という当区の狙いにマッチしているのが決め手になりました」。
また、補助金のこともある。東京都ではこのような喫煙トレーラーを導入する場合、1,000万円までの補助金が出る。地域によって異なるが、制度利用のメリットは大きい。
理解の上に成立する“共生”社会
もちろん、地域住民の理解も欠かせない。千代田区の場合は、密閉型であること、煙・臭いが出ないことなどを近隣の町内会に説明し理解を得た。正確な情報発信も共生実現におけるひとつの鍵だ。現在、この喫煙トレーラーは九段南の「九段下まちかど広場」横に設置され、多くの人に利用されている。子どもたちが遊べる広場の近隣に設置できたのも高い性能があったからこそだ。「喫煙者・非喫煙者双方の心情を考慮し、共生を図ることが大切。そうした取り組みを進める上で、ランドピアの喫煙トレーラー導入は意義がありました」。
受動喫煙という問題をルールと罰則だけで解決するのではなく、マナーへの回帰で打開していくという千代田区の考え方と、そのツールである喫煙トレーラー。まさに、地域内の“共生”を実現する好例だと言えるだろう。
※タバコ4本燃焼後の喫煙室内残存率・メーカー調べ
施設を建てずに「置く」!迅速設置可能な喫煙トレーラー
喫煙施設の建築には時間も手間もかかる。しかしパーテーションでは煙害を避けられない。そうした問題に頭を抱える自治体にランドピアが提案するのが、公衆喫煙所の新しいかたち「喫煙トレーラー」だ。
喫煙者・非喫煙者共にストレスのないトレーラーが共生を実現!
独立・密閉型の公衆喫煙所を建築物ではなく“車両”で実現!
ランドピアの喫煙トレーラーは、建築基準法に抵触しない「車両を利用した工作物」で、ナンバーもタイヤも装備し車両として扱われる。コンテナ本体が丸ごと喫煙室になっており、独立し密閉された空間として機能。耐荷重12.7トンで地震などの転倒防止対策もされている。
喫煙トレーラー導入のメリット
①設置までがスピーディー
建築物に必要な基礎工事や建築確認申請が不要。必要な手続きは、車庫証明を取得しナンバープレートの交付を受けるだけ。あとは場所を確保すれば車で現場にけん引し、15分程度で設置が可能だ。
②配慮が必要な場所にも設置可能
改正健康増進法の基準をクリアした高性能プラズマ脱臭機を装備し、煙・臭いがほとんど外に漏れない。その清浄性ゆえに公園などの近くに設置することもでき、喫煙者も周囲に過度な気遣いをせずに済む。
③管理も一般的な喫煙施設と同程度
設備の保守管理で必要とされるのは、一般の喫煙施設と同様、日常的な灰皿清掃の他に、プラズマ脱臭機のメンテナンスと、定期的な全体クリーニング程度。特別な作業は発生しない。
設備について
車両とは思えないほどの充実設備!
車両基準に沿って電気は着脱式で引き込みを行い、プラズマ脱臭機を稼働させる。
●喫煙室用プラズマ脱臭機
人感センサーで自動運転を行い、室内の煙やガスを吸入、臭い・ニコチン・タールなどを除去し、クリーンにして外に出す。
さらに以下の設備で室内外および入退室に至るまで快適性を実現!
●エアコン ●換気扇●ガラリ(換気口) ●木製階段●目隠しフェンス※●バリアフリースロープ※(※はオプション)
コンテナの新しい活用法
「喫煙トレーラー」は、設置場所の自由度とスピーディーな導入で路上喫煙・受動喫煙対策を容易にします。ぜひご検討ください。
※他にも、コンテナ建築型(建築確認対応)の「コンテナ喫煙室」もございます。
代表取締役 吉田 篤司さん