ジチタイワークス

石川県加賀市,千葉県松戸市

【THE談会】やりたいことから一歩踏み出す!キャリア形成のススメ

公務員の皆さん、集合~!

世代や分野を問わず集まった公務員たちが、時にシビアに、時に楽しく「ワーク&ライフ談議」に花を咲かすコーナー。今回は、資格取得をきっかけに業務やプライベートで活動の幅を広げているお二人と、編集室の児玉が、公務員の“キャリア形成”についておしゃべりしました。

※下記はジチタイワークスVol.29(2023年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

庄田 秀人(しょうだ ひでと)さん
石川県加賀市 イノベーション推進部

2001年入庁。人事担当課、障害担当課を経て、DX推進担当課では全国初の市内3Dマップ化プロジェクトなどを推進。資格取得を通して人生の幅を広げ、公務員の仕事の楽しさを知ってほしいと考えている。「公務員試験受験ジャーナル 6年度試験対応」(実務教育出版)にて、「資格ハンター庄田のチャレンジ公務員人生」を連載中。

保有資格
社会保険労務士 法務検定スタンダード 年金アドバイザー3級 加賀ふるさと検定上級 2級FP技能士 第一種衛生管理者 など

「公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル」庄田 秀人 著(学芸出版社)

公務員にオススメしたい50の資格を厳選紹介し、資格取得を通じたキャリア形成を提案。公務員の合格者に聞いた取得メリットも紹介。

“やりたいこと”から資格を探せる!
まちについて伝える力を高めたい!
財政や福祉にかかわる知識を増やしたい!
住民・企業とよりよく連携・協働したい!など

佐野 友華里(さの ゆかり)さん
千葉県松戸市 財務部 固定資産税課

2014年入庁。生涯学習推進課・子ども政策課で企画調整や事業立ち上げ業務などに携わり、現職。3児の母であり、様々なコミュニティや子育てサークルで活動しつつ、資格を活かしたコーチング活動も行っている。

保有資格
生涯学習コーディネーター 育休後アドバイザー Gallup認定ストレングスコーチ 保育士 ACEP認定プレゼンテーション検定 など

 

 

\私が聞きました!/

ジチタイワークス編集室 児玉(こだま)

取材を通して公務員を知れば知るほど、民間と比較して異動が転職レベルだ!と感じます。その実態と、キャリア形成のコツについて聞きました。

 


異動が多い公務員は、自らの“キャリアの意味付け”が必要。

児玉 公務員の異動はおおよそ3年に一度、業務内容はガラリと変わり、“キャリアを積み上げるのが難しい”という声をしばしば耳にします。お二人も同じような悩みをおもちでしたか?

庄田 私の場合、最初から公務員に異動はつきものだと思い、あまり悩んだことはなかったです。異動を“リセット”と捉えて、失敗しても次があるから大丈夫!と楽観視していました。性格的に過去を引きずらないタイプなのかもしれません。ただ、公務員は真面目に考える人が多いですし、異動が多いことでキャリアへの不安はあると思います。最近はキャリアコンサルタントの資格を取る人が増えていて、関心の高まりを感じています。

佐野 私は“失われた30年”に生まれ育った世代で、真面目にやっていても安泰じゃないなという思いがありました。だからこそ“自分の好きなことでキャリアを切り開かなきゃ”という感覚をもっていたんです。でも、公務員は自分の意志とは関係なく異動になるため、確かに不安要素になりやすい。どんな期待をされて異動をするのか、フィードバックもないので、自分でどんなふうに意味付けするかが求められますね。

資格取得がきっかけになり、仕事の質が大きく変化した。

児玉 フィードバックがないんですね!それは不安です……。お二人は入庁後に複数の資格を取得されていますが、何かきっかけはあったんですか?

庄田 4年目に配属された人事課で、上司から「衛生管理者」の資格取得を命じられたのがきっかけです。人事課が衛生委員会を立ち上げようとしていた時期で、「資格を取ったら、担当者として仕事を任せるよ」と言われたんです。無事に取得して企画や運営に携わるようになり、初めて仕事の面白さを感じました。大学教授と協働でメンタルヘルスのプロジェクトにも関わり、楽しかったですね。
実は私、安定を求めて公務員になったタイプで……。3年目までは仕事に意欲的ではなかったんですよ。中学生の頃から加賀市役所に入りたくて、就職浪人をして念願をかなえたら、燃え尽き症候群になってしまって。衛生管理者の資格取得は転機となり、その後、7年がかりで「社会保険労務士」にも挑戦。公務員人生が大きく変わりました。

佐野 私は大学時代に教育学を専攻していて、ラッキーなことに、希望していた社会教育の分野に入庁1年目で配属されたんです。やりたい仕事を任せてもらえたので貢献しなきゃ!という気持ちが強く、新人の頃はとても焦っていました。社会教育主事の資格はもっていましたが、やはり経験不足。さらに知識で補おうと「生涯学習コーディネーター」の勉強をしたのが、入庁して最初に資格を取得したきっかけです。生涯学習について網羅的に学べたことで、俯瞰して物事を考え、新しい提案もできるようになりました。

“興味”から学びをスタートし、好循環を生み出していこう!

児玉 俯瞰で考える、なるほど。公務員は異動初日から失敗できないため、引継書を頼りに、とにかくHowを覚える必要があるという話を聞いたことがあります。

佐野 そうですね。どうしても業務に対処する上でHowに寄ってしまう面はあると思います。私の場合は、まず全体をつかんだほうが腑に落ちるし、何のための業務なのか知りたくなるんです。行政の仕事は様々な制度と関係が深いですが、資格の勉強をすると“制度の成り立ち”から学ぶことができます。全体像や背景をつかんでおくと、担当部署だけでなく将来的に異動した先でも活かせるかなと、私は考えています。

庄田 公務員の仕事は“できて当たり前”と見られ、ミスをすると非難されてしまう。“減点主義”の仕事が多い中で、自己肯定感をもつことが難しいんです。資格取得によって、自信や承認が得られるのは大きなメリット。特に業務と関係なくても、やりたいことを勉強し、集中する時間をつくることで、精神的に安定した状態をキープできる効果もありますよ。

児玉 佐野さんはここ数年で、「育休後アドバイザー」や「Gallup(ギャラップ)認定ストレングスコーチ」「保育士」を取得されていますが、これはなぜですか?

佐野 私は周囲の理解や協力もあって、何とか働きながら子育てをしてきましたが、両立に悩んでいる同僚が多かったんです。子育てとキャリアについて興味をもち、育休後アドバイザー資格を取得しました。ストレングスコーチは、キャリアを築いていくときに大事な“自己理解”のツールとして、学んでみたいと思いました。保育士は自分の子育てにも活かせますし、もともと人の成長や発達に興味があって、挑戦したんです。子育て支援にも役立つ勉強ができたので、仕事でもプライベートでも、色々な人をサポートしていけたらと思っています。

依頼に応えて挑戦することで、想像以上の未来が開ける。

児玉 資格をもっていることで、人事へのアピールにはなりますか?

庄田 ならないこともない!というのが正直なところですね。多くの自治体では異動の希望調査に資格を書く欄があって、努力している証明にはなるでしょう。逆に、興味のない分野の資格を書いたばっかりに、それに関連する部署に異動になったという話を聞いたこともあります。タイミングにもよりますが、何らかの影響はあると思っていますよ。

児玉 へぇ、そんなケースも!そこは計画的にやらねばですね(笑)。資格に限らず、自らキャリアをつくるための“オススメの第一歩”はありますか?

庄田 まずは、頼まれたことにしっかり応えること。素直に受け入れて挑戦していくことで、自分が思ってもみなかった新しい道が見えてくると思います。何かに挑戦しているときって、やりつづけることで、必ず“助けてくれる人”があらわれるんですよ。

佐野 そうですよね。自分の適性って、意外と自分では分からないもの。周囲の人とコミュニケーションを取って、頼まれ事には一生懸命に取り組むことで、信頼貯金もできます。最初からやりたいことばかり言っても、聞いてもらえません。色々な仕事を経験しながら、自分は何が得意なのか、苦手なのか、どんなことに興味があるのかを、発見していくプロセスがすごく大事。自己理解がキャリア形成の根幹になると思います。

庄田 私自身、挑戦して学んで、変化してきたことで、“まわりの人のおかげで今がある”と思えるようになりました。応援してくれた職場の人たちや家族に感謝しています。資格試験は、たとえ落ちても失うものはなく、何度もチャレンジできますし、得た知識は業務にもプラスになります。ノーリスク・ハイリターンなので、ぜひ一歩踏み出すきっかけにしてほしいですね。

Article_THE談会 記事一覧

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 【THE談会】やりたいことから一歩踏み出す!キャリア形成のススメ