利用状況が分かるプリペイド型ギフトカード
コロナ禍以降、国や自治体の給付事業が活発化した。近年の物価高騰などがそうした動きに拍車をかける中、大津市では事業の効果を高め、結果測定もできるように新たな給付方法を選択。効果を実感しているという。
※下記はジチタイワークスVol.28(2023年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]インコム・ジャパン株式会社
給付に関する様々な条件をクリアしたギフトカード。
同市は令和5年4月、物価高騰に伴う生活支援を目的に「子育て世帯生活支援商品券交付事業」を行った。前年の12月に方針が通知された「地方創生臨時交付金」を活用し、4月の配付を目指すには、非常にタイトなスケジュールでの事業実施が必要だったという。
給付方法には多くの選択肢がある中で、何が適しているかを検討。同市では以前、65歳以上に向けて商品券を配付した事例があったが、その事業を経て浮上した課題があったと鹿島さんは語る。「一般的な商品券は、配った後の利用状況が確認できないことが多いです。そうすると利用促進も困難になり、事業の目的を果たせているのか不明瞭です。さらに職員側の事務負担もありました」。例えば受け取り辞退が発生した場合など、不要になった商品券は精算が必要だが、その作業が非常に煩雑なのだという。
そうした課題を解消する方法はないかと検討を進める上で、まず現金給付は除外した。「限られた期間で対象者に口座番号を申請してもらい、振り込みを行うのは現実的ではありませんでした。また、電子マネーという案もありましたが、スマホを持っていない人のことも考慮する必要があり、別の支給方法も併用すると時間も労力もかかりすぎます」。こうした中で条件と合致しつつ、対象の子育て世帯にも使いやすそうだと最終的に採用したのが「バニラVisaギフトカード」だった。
受け取り後すぐに、実店舗でもオンラインでも使える利便性。
同カードは、「インコム・ジャパン」が提供する使い切りタイプのプリペイドカード。民間をはじめ、自治体でも様々な給付事業で導入事例がある。Visa加盟店でクレジットカードと同様に使えるため、加盟店の開拓をせずとも実店舗・オンラインともに多くの利用先が確保できる。利用者は口座のひも付けや特定サービスへの登録なども不要なため、受け取ればすぐに利用可能だ。こうした利用する住民側の利便性の高さに加え、同市の課題解決にもマッチしていたという。「どのくらい使われたかデータで分かるので、利用状況の追跡が可能です。オンラインですぐに使えるというのも、子育て世帯に対する支援事業としてぴったりだと感じました」。
同市はプロポーザルを経て、準備を急ピッチで進めた。契約締結から発送まで約1カ月というタイトなスケジュールだったが、子育て世帯の出費がかさむ新学期には必ず間に合わせたいという思いがあり、4月末には対象となる約4万7,000人に向けてカードの発送が開始された。「事業者の協力も大きかったですし、スピーディに進められたのは、このカードだからだと思っています」。
利用状況のデータをもとに今後の給付事業を充実させる。
給付事業でプリペイドカードを活用するのは同市でも初めての試みだったが、大きなトラブルはなく、取り組みは順調に進んだそうだ。「シンプルで使い方が分かりやすいことから、問い合わせが少なかったことも良かったです。また、少額の振り込みだと給付を見落とされることもあります。その点、カードだと目に見えて分かりやすく、喜んでいただけたのではと感じています」と鹿島さんは評価している。
また、今後は同カードの利用状況についても検証を予定しているという。「一定の期間を置いてからデータを検証し、次の施策につなげていきたいと考えています。事業評価は非常に重要ですから」。
限られた時間と労力で最大限の効果を発揮するために、同市がとったプリペイドカードという選択。鹿島さんは、給付事業では対象者にフィットした方法を選ぶことが大事だとしつつ、次のように締めくくった。「同カードにはその選択肢としての価値を感じました。国からも、現金以外の支給方法を選ぶことや、事業評価を行うことに対する指針が出ていますが、こうした流れにも対応できるツールだと思います」。
大津市
福祉部 子ども未来局 子ども家庭課
副参事
鹿島 良平(かしま りょうへい)さん
クレジットカードと同様に使える便利なギフトカード
■住民・自治体それぞれのメリット
住民
メリット1 利用先が広く、ECも店頭も問わず、買い物に使える。
メリット2 カードに署名するのみで、受け取り後すぐに利用できて便利。
メリット3 利用地域が限定されないため、全国各地の加盟店で使える。
自治体
メリット1 利用状況がデータで分かるため、利用促進の施策が可能に。
メリット2 使いやすい形態の給付方法で、住民に喜ばれる。
メリット3 すでに多くの加盟店があるため、加盟店を開拓する手間がない。
「出産・子育て応援交付金事業」で活用すると便利って本当?
令和5年1月よりスタートした出産・子育て応援交付金事業。合計10万円相当の経済的支援は、応援ギフトの配布方法が各自治体に委ねられており、様々な選択肢が予想される。バニラVisaギフトカードは本事業における特徴とうまくマッチングしているそうだ。
お悩み1
事前に正確な配付数が不明なため、余分に仕入れなければ……
お悩み2
金券管理は厳格な体制が必要で、都度給付が手間
お悩み3
出産・子育てに必要な場面で便利に使ってほしい
■有効化とは…
バーコードをスキャンすることで、初めて金券としての価値が生まれる。
■他自治体の導入事例
\そのほかにもこんな事業で活用されています/
●三重県 みえ省エネ 家電購入応援キャンペーン
期間中に対象店舗で省エネ家電を購入した県民に対し、購入額に応じてポイントを付与。ポイントの付与が受けられない、オンラインでの申請が難しいなどの状況にある県民でも受け取れるように、同カードも併せて採用された。
●福岡県福津市 福津市電気・ガス・食料品価格高騰対策こども・若者応援事業
1人当たり1万円分の同カードを給付。採用の理由は、有効期限を設定できることで、比較的短期間での利用促進が可能になること。また、実店舗でもオンラインでも利用可能な汎用性や、カード利用状況の開示が可能な点も決め手に。
自治体からよくある質問にお答えQ&A
まだあまり知られていない“クレジットカード同様に使えるプリペイドカード”という給付スタイル。自治体からよくある質問をピックアップし、同社の担当者が回答する。
Q 住民のカード利用状況について、どんな情報が分かりますか?
A 利用件数と金額が分かります。
カードには、1枚ずつ識別できる番号が付与されているため、当社でデータを取得。個人情報を除いた状態で、利用件数と利用金額のレポートを提供します。状況に応じて周知などの利用促進や効果検証が可能になります。
Q 契約からカードの納品まではどのくらいの期間が必要ですか?
A 最短2週間で納品が可能です。
契約から納品までなるべくスピーディな対応を心がけています。1万円以内など少額のカードであれば、さらに短期間で納品できる場合もあります。一定数の在庫を確保しているため、緊急事業の場合にも対応できます。
Q ギフトカードが使えない加盟店も中にはあるのでしょうか?
A 一部利用できない場合があります。
使い切りのギフトカードなので、月額払いが発生するサブスクリプションのサービスや、ガソリンスタンド、高速道路の有人料金所などでは利用できません。ホームページにて詳しく紹介中ですのでご覧ください。
Q 住民からの問い合わせにはどのように対応すればいいですか?
A 当社常設のダイヤルへ誘導を。
カードの使い方などについては常設している専用ダイヤルを案内してください。自治体独自でコールセンターなどの設置は不要です。大津市の事例ではクレームなどは見られず、簡単な問い合わせがほとんどでした。
Q 有効化の作業をお願いすることは可能ですか?
A 当社で遠隔で有効化も承ります。
先に無効化状態で納品したカードに対して、必要な枚数分のみ当社が遠隔操作で有効化することも可能です。また、全て有効化された状態での納品や、自治体側にシステムを導入し、有効化処理を行うことも可能です。
Q Visaに加盟していない事業者へサポートは行っていますか?
A 導入パートナー企業をご紹介します。
Visa未加盟の事業者から相談があった場合は、ご要望に応じてパートナー企業を紹介し、Visaへの加盟をサポートします。一度キャッシュレス決済を導入すれば、事業者にとって販売機会の拡大も期待できます。
導入については気軽に相談を
自治体でカードについて説明すると、「こんな便利なものがあるとは知らなかった」といった声がよく返ってくるという。他自治体での導入事例、サービス詳細については小さな疑問でも、まずは気軽に相談を。
配送作業も依頼可能
協力できるパートナー企業がいるため、配送作業も含めてまるごと委託も可能。住所リストの準備だけで、宛名作成からチラシ作成、封かん、発送まで依頼できる。
お問い合わせ
サービス提供元企業:インコム・ジャパン株式会社
TEL:03-6279-4881
E-mail:incomm-japan-iss@incomm.com
東京都新宿区西新宿1-25-1
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