読者投稿ページは、自治体職員が日々の業務や活動している内容を発表・共有できる場です。読者自ら執筆した原稿の中から、編集室が選出した記事を、ジチタイワークスWEBで公開させていただきます。
ぜひ、皆さんの自治体職員としての経験や取り組みを、編集室にお届けください。
● 投稿者(自治体職員)プロフィール
テーマジャンル :男女共同参画
投稿者名 : 池部 智恵(いけべ ともえ)さん(40代)
所属部門 : 飯塚市 男女共同参画推進課
職場での事務分担を見て、寂しい気持ちに。「私だって、ほかの仕事もできるのに……」。
平成23年4月、私は納税課に配属されました。差し押さえなどの徴収業務を行う納税課の係員は男性12名、女性2名の合計14名。男性職員ばかりの雰囲気に最初はなじめず、初対面のお客様に「今日はいくら納税されますか」とか「先月のご収入はどれくらいですか」などと、立ち入ったことを話すのにも緊張していましたが、みんな仲の良いわきあいあいとした職場で、仕事に次第に慣れ、債権回収の仕事にもやりがいを感じるようになりました。
そんなある日、改めて課の事務分担表を見てみると、男性職員には徴収業務のほかにも様々な仕事が割り振られているのに、女性職員の事務分担には徴収業務以外の事務は書かれていないことに気づきました。
「私だって、ほかの仕事もできるのに……」と思い、自分は上司から期待されてないのかなあという寂しい気持ちになりました。
今思えばそれは、徴収業務という厳しい現場につく女性職員に対する上司の配慮だったのかもしれません。けれども、女性職員に対する過保護な配慮は、かえってその女性を傷つけ、仕事へのやる気をそいでしまうのではないかと思っています。
初めての新規事業の立ち上げ。自分の考えや思いを仕事としてかたちにでき、うれしい気持ちに。
納税課の業務にも慣れ、3年目を迎えた頃、当時の納税課長から私に「池部さん、来年度、ファイナンシャルプランナーに債権管理と納付のアドバイスをしてもらう事業を始めたいのだけど、担当としてやってみない?」と声がけをいただきました。
金額はそれほど大きくない事業でしたが、初めて自分が担当として事業の立ち上げに関われることになり、とてもうれしい気持ちになりました。
それまで、ほとんど使うことがなかった名刺をつくり、ビジネスマナーの本を読み返し、お相手の事業者様に県外までご挨拶に行き、担当の方と市が求める事業のかたちについて何度も打合せをする。事業が段々とかたちになっていき、毎日がとても新鮮に感じられました。
その事業は当初の予想を超える成果をあげ、令和5年度の今も事業として継続しています。「自分の考えや想いを仕事としてかたちにする」という貴重な経験をさせてくれた、当時の上司に今も大変感謝しています。
チャンスと期待に誠実に応えることが大事。新しい仕事も前向きに捉え、楽しみながら挑戦を!
現在、私は男女共同参画推進課で業務を行い、入庁後3年目の若手女性職員向けのキャリアデザイン研修を計画するなど、庁内の女性活躍推進に関わる仕事をさせていただいています。
よく女性は管理職になりたがらないとか、積極的ではないなどと言われますが、10年前の私のように、与えられたチャンスと上司の期待に誠実に応えていけば、必ず自分の成長と自信につながります。
私は“1回やったら経験者”という言葉を胸に、依頼を受けたものはできるだけお受けするようにしています。そうすることで自分に自信もつきますし、多くの人と縁をつなぐことができました。
もし今、新しい仕事を任されて不安に思っている女性職員の方がいらしたら、私と一緒に“1回やったら経験者”と思って、ぜひ前向きに楽しみ、新しいことに取り組んでみましょう。
きっとそこから新しい世界が開けてくると思います。