商品券事業のワンストップサービス
商品券のデジタル化が進んでいるが、デジタルが苦手な人もいるため紙券をなくすのは難しい。しかし、工数がかかることも事実。佐渡市では商品券事業を日本郵政グループに一括委託することにより、2週間弱での受付開始を実現させたという。
※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]JPコミュニケーションズ株式会社
コロナ禍と物価高騰で冷え込んだ市内経済を商品券事業で活性化する。
世界的なパンデミックに見舞われて以降、同市でも大きな影響を受け、市内企業の経営状態も落ち込む状況が続いていたという。そこで、住民の生活支援と地元経済の活性化を図るために行ったのが「佐渡市プレミアム商品券事業」だ。「全国的に商品券のデジタル化が進んでいますが、当市は高齢化率が40%を超えており、65歳以上の住民が多い島です。デジタルに苦手意識をもつ人が多いと想定し、アナログな紙券で実施しました」と、畠山さんは振り返る。
令和4年5月、地方創生臨時交付金を活用して事業を実施したところ、予定数3万5,000セットに対して、申し込みは約3万1,000セット。申し込み数が用意した数を下まわり、市内経済を十分に刺激するまでには至らなかったという。
社会情勢の悪化に伴い、物価はさらに上昇。4カ月後の9月には市議会で補正予算が成立し、「佐渡市プレミアどこでも商品券第二弾」の実施が決定。同月26日にプロポーザルを行ってから、わずか2週間後の10月10日には商品券の申し込み受付開始という、極めてタイトなスケジュールだったそうだ。
「前回の結果を検証して、改善を施す必要があることを感じていました。申し込み方法を簡略化したり引き換えをスムーズにしたり、あれこれ思案していました」。そんな中、第2弾の事業者に採択されたのが、約10年前から包括連携協定を結び、同市と様々な取り組みを行ってきた「日本郵便」だった。
郵便局に専用封筒を設置し商品券の応募総数が増えた。
商品券事業は、非常に多くの工程を並行して進める必要がある。住民への事業周知、商品券・各種ツール類の制作、使用できる登録店の募集、引き換えはがきの発送など、関連領域が広いためだ。受託後の限られた時間でそれらの準備を可能にしたのが「JPコミュニケーションズ(以下、JPCOM)」の存在だ。
同社は日本郵便の100%出資子会社。郵便局と連携しながら、商品券事業にまつわるあらゆる工程をワンストップで支援できるのが強みだ。「一括で業務をお願いできたのは非常に助かりました。日本郵政グループということもあって、皆さんの協力体制がとれており、効率良く進むのを実感しました」。
第1弾の申し込み方法は郵送もしくは市役所・支所での受付とWEB受付だったが、住民の利便性向上のため、新たに郵便局窓口に専用封筒を設置した。前回、郵送で申し込むには申込書を入手して必要事項を記載、封筒を用意し、さらに切手を貼って出すなど、手間や費用がかかっていた。しかし今回は、市内32カ所の郵便局に料金受取人払いの専用封筒を設置。申込者が封筒を用意する必要がなく、切手代の負担もなしで申し込めるようにした。
「最終的に約3分の1が専用封筒による申し込みでしたので、選択肢が増えたことは大正解でした」。こうした工夫が功を奏して、前回の応募総数は3万1,000セットだったのに対し、およそ2割増だったそうだ。
JPCOMと全郵便局が連携し不測の事態にも柔軟に対応。
申込者が引き換えはがきを持参し、商品券を購入する場所は、市内32カ所の郵便局の中から、1カ所を事前に指定する仕組みだった。ところが「購入する郵便局を変更したいという要望が、申し込みを締め切った後に発生しました」と畠山さんは打ち明ける。
引き換え場所を急に変えるとなると、引き換えリストの差し替えやはがきの再発送などの複雑な手続きが必要になり、多大な時間と労力を要する。ところがJPCOMが中心となり、対象郵便局と連携を取りながら、迅速に対応。「おかげでスムーズに引き換えできました。臨機応変に対応してもらえ、住民の希望に応えられたので助かりました」。
なお、届いた申込書のデータチェックに関しては、市内の相川郵便局内に受付センターを設置。オートロック機能のある部屋でセキュリティに配慮し、申込書の記載内容に不備がないかのチェックが行われた。この作業には、市内在住の郵便局長OBに協力を頼んだという。大量の書類を短期間で正確にチェックできたのは、長年の経験をもつOBがいたからこそだといえるだろう。
コールセンターが防波堤となり自治体職員の手間を大幅に軽減。
商品券事業を行う中で、重要な存在となるのがコールセンターだ。同市では住民からの問い合わせを受けるコールセンターを設置。4カ月の間に約400件もの問い合わせがあったという。「これだけの電話が市役所にかかってきたら大変です。そのためコールセンターは必須ですね」と畠山さん。
JPCOMは社内にコールセンターを抱えており、新たに電話回線を引いたり、スタッフを採用したりといった手間がかからない。そのため受付開始まで期間が限られていた今回も、コールセンター設置とスムーズな運用が可能となった。なお、コールセンターでの回答内容については、自治体に事前ヒアリングを行うことでFAQを作成。
「住民からの問い合わせに対しては、迅速かつ適切な対応が必要です。事前に擦り合わせをした上でFAQを用意してもらえたので安心でした。商品券事業を実施するには、本当にたくさんの工程があります。郵便局が窓口となり、JPCOMがまとめ役をしてくれたことで、私たち職員の手間が軽減したのを実感しています」。
地元に密着した身近な場所だから住民から信頼される拠点になる。
今回の事業を通じ、強い安心感も得られたという。「住民にとって郵便局は、地域に根差した身近な存在です。そこで商品券事業の窓口を、私たちに代わって担ってもらえた意義は、大きいと思っています。郵便局の方々は地域のことを熟知しているので、私たちにとっても心強い存在です」。
窓口という点では、郵便局が事業周知のサポートも行ったそうだ。商品券事業の内容を告知するチラシやポスターを、期間中は全局内に設置。「郵便局は多くの住民が出入りする場所ですから、目につく機会が多く、効果的に周知できたと思います」。
これまでも包括連携協定を結び、証明書交付や地域の見守り活動など、色々と一緒に取り組んできたという。「商品券事業はもちろんのこと、ますます連携を深めて、当市の発展につながる協業を広げていけたら」と畠山さんは未来を見つめている。充実したネットワークをもつ日本郵政グループとスクラムを組むことで、より良いサービス提供が可能になることだろう。
佐渡市
地域振興部 産業振興課
課長補佐 畠山 和義(はたけやま かずよし)さん
担当者の声
日本郵政グループの高い連携力のおかげで、タイトなスケジュールにもかかわらず、商品券事業をスムーズに実施できました。
商品券事業ワンストップサービスの概要
商品券事業に関わる諸業務を一括で委託できるので、各工程を別の業者に発注する場合に比べ、自治体の手間が軽減される。
日本郵政グループが手がける様々な自治体事業支援
郵便局は地域に根差した身近な存在として知られている。商品券事業のほかにも様々な領域で、地域施策における支援の拠点として、複数の自治体が郵便局を活用している。
新サービス
自治体マイナポイント申請サポート
JPCOMでは7月より、マイナポイント申請支援サービスを開始。郵便局内のスペース提供、人員・パソコンなどの機材手配、コールセンター運営など、申請を支援する幅広いメニューが揃っている。
マイナポイントの申請は郵便局を活用すると便利!
全国に約2万局を構える郵便局。その多くは自宅から徒歩10分圏内にあるという。マイナポイントの申請に、地域密着の郵便局という選択肢を増やすことができる。
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