全戸配布のポスティングサービス
全戸配布が原則の選挙公報だが、人手不足などから、限られた期間内に全戸へ届けきることが困難な地域が多いようだ。岡山市選挙管理委員会では、計画管理と連携が強みの全戸配布サービスを活用し、市民の満足度向上を図っているという。
※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社JPメディアダイレクト
人口密度にバラつきがある地域特性と配布期間の制限が外部委託の障壁に。
令和2年までは選挙公報を全戸配布していた同市。しかし、配布業者からは、人員が足りず、対応が難しいとの声が徐々に上がりはじめたそうだ。市内には4つの区があり、それぞれの面積や人口密度にバラつきがある。加えて、選挙公報は投票日の2日前までに配布を完了させるという決まりがあるため、委託のハードルが高かったという。そのため、令和3年に行われた2回の選挙では委託先が決まらず、新聞折り込みで対応。
「届けられるのは全戸の半分程度にまで減ってしまいます。それまでずっと全戸配布を続けていたので、届かない市民からは切実な声が寄せられました。やはり全戸配布が必要だと実感しましたね」と長谷川さん。委託できそうな業者を探していたところ、日本郵政グループの「JPメディアダイレクト(以下、JPMD)」の全戸配布サービス「JPMDポスティング」を知ったという。
令和4年の参議院議員選挙で委託したところ、スムーズに配布でき、問い合わせ数も減少。令和5年の県議会議員・市議会議員選挙でも同社が2区で実施することになった。
天候を考慮して配布計画を固め“キャラバン式配布”で効率的に。
配布の完了日が決まっている選挙公報に、遅れは許されない。同社は事前に町丁目ごとの配布計画書を作成して市に共有。県議会議員・市議会議員選挙の配布期間は6日間しかなく、後半は雨天の予報だったという。そのため、先に住宅が密集していない郊外へ配布し、まとめて配布しやすい集合住宅を後半の日程に充てるなど調整した。「配布が完了するたびに計画書を更新し、毎日報告してもらえました。最新の状況が分かるため、市民の問い合わせにも対応しやすくなったことがありがたかったです」と長谷川さん。
同社の強みは、密な計画と連携に加えて、郊外エリアまで広くカバーする点。一般的には郊外に点在する住宅は全戸配布の対象外となることが多いのに対し、同社はエリアを問わず対応する。全国の熟練したスタッフが、軽ワゴンを使った“キャラバン式配布”で広範囲に対応するため、必要に応じてマンパワーを確保できる。定期的に研修を行っているため、初めて訪れる地域でもゼンリン地図を使ってスムーズに配布できるという。
「初めての地域で大丈夫だろうかと思っていましたが、結果的にその心配は要りませんでした。配布は単純に見えても、市民への配慮なども必要な作業。しっかり研修されているという点も心強いです」と中野さん。
問い合わせにも明確に返答でき、市民満足度の向上につながる。
2回の委託で、問い合わせ数にも成果が見られたようだ。参議院議員選挙、県議会議員・市議会議員選挙ともに以前と比べ、はるかに問い合わせが減ったという。配布漏れがあった場合でも、スタッフが持つGPS端末から場所を追跡し、できるだけ当日中に再配布したそう。「迅速に対応してくれたことで問い合わせが減りました。ですが、問い合わせは減ることよりも、どう答えられるかが大事。これまでは『投票日の2日前までには届きます』としか言えなかった到着日を、具体的に伝えられるようになりました。市民の満足度も上がったのではないでしょうか」と長谷川さん。
選挙に参加するにあたり、まず候補者の主張や公約を把握できる公報の役割は大きい。「全戸配布を復活させて、全有権者に情報を提供できたことが、投票所に足を運ぶ動機の一つになったと思います。これからも全戸配布にこだわっていきたいです」と中野さん。
自治体業務でもペーパーレス化が叫ばれ、デジタル化が進む中でも、紙での情報を必要とする人もいるだろう。「候補者の情報に市民がアクセスできる環境を整えることが、私たちの使命」と話す2人。デジタルでは受け取りにくい層にも漏れなく確実に情報を届ける方法として、全戸配布が市民サービスの向上に貢献するのではないだろうか。
岡山市
選挙管理委員会事務局
左:参事 長谷川 隆英(はせがわ たかひで)さん
右:担当課長補佐 中野 雅幸(なかの まさゆき)さん
定期広報も含めた幅広いジャンルの配布物に対応
住民の安全に関わるハザードマップなど、郊外まで漏れなく届けたい配布物に適したサービス。ほかにも家庭ごみ収集の案内、広報紙などの定期的な発行物にも対応できる。
導入実績
●福岡県福岡市(選挙公報)
●福岡県糸島市(選挙公報)
●兵庫県明石市(ハザードマップ)
→豪雨シーズン前に配布
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