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【セミナーレポート】協働のまちづくりでSDGs事業を推進!~ステークホルダーとの効果的な連携~

持続可能な社会を実現するために、各主体(企業、自治体、個人など)がSDGsに向けた様々な取り組みを推進中です。
自治体においても、具体的な施策を検討・試行する動きが盛んになっていますが、住民の理解が得られにくい、“活動の輪”が広がらない…といったケースも少なくはないようです。

では、自治体がSDGs事業を効果的に推進させるためのカギはどこにあるのでしょうか。

本セミナーでは、内閣府地方創生推進室が公表している資料を基に、産官学民による“協働のまちづくり”でSDGs事業を推進するヒントを提案します。

併せて、SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業についての説明や、SDGs未来都市に選定されることのメリット、選定基準についても解説します。

概要

◼タイトル:協働のまちづくりでSDGs事業を推進!~ステークホルダーとの効果的な連携~
◼実施日 :2023年6月27日(火)
◼参加対象:自治体職員
◼申込者数:69人
◼プログラム
 (Program1)地方創生SDGsの推進について
 (Program2)デジタルプラットフォームを活用した新たなSDGs推進策の仕組み


地方創生SDGsの推進について

<講師>

内閣府地方創生推進室 参事官補佐
田中 一成 氏

プロフィール

1997年経済産業省入省、2021年8月より現職(内閣府地方創生推進事務局参事官補佐)に就任、現在に至る。


SDGsが対象とする社会課題は、地域が抱える課題そのものにも共通する要素が多い。
内閣府は、SDGsの理念に沿った経済・社会・環境の三側面を統合した取り組みを通じ、地域の社会課題解決を図ることを促進している。地方創生推進室の田中氏が現在行っている施策の概略を紹介する。

地方創生SDGsについて

地方創生とSDGsとが、どう結びつくのかよく分からない…という方も多いと思います。
SDGsの目標のうち保健、福祉、教育、水、衛生などは、自治体の施策とかなり密接に関わっています。SDGsを通じ地域の活性化を図ることが、自治体の重要な役割の1つと考えています。

昨年12月、「デジタル田園都市国家構想」が閣議決定されました。この中に「地方創生SDGs」という政策も位置づけられています。

デジタル田園都市国家構想は、以前あった「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にデジタル要素を盛り込み、大幅リニューアルしたもので、いくつかのKPIを定めております。
SDGsの認知度を上げることもあるのですが、SDGsに取り組んでいる市町村自治体の割合を、来年度2024年までに全体の60%に引き上げるという目標を掲げています。ちなみに現在、57.7%まできています。

そのほかの目標は下記の通りです。
●「地方創生 SDGs官民連携プラットフォーム」における官民連携マッチングの件数/2,500件(2020〜2024年度累計)
●地方創生SDGs金融に取り組む地方公共団体/100団体(2020〜2024年度累計)
●SDGs未来都市の選定/210都市(2018〜2024年度累計)

SDGsの大原則として、経済・社会・環境の三側面があります。この取り組みを通じ、持続可能なまちづくりのモデル作りを横展開していくことが内閣府地方創生推進事務局の重要なミッションとなり、1:未来都市を選ぶ 2:官と民のマッチング 3:金融機関との連携で、資金が地域で循環する仕組みをつくるという、3つの柱になります。

SDGs未来都市のモデル事業について

SDGs未来都市のモデル事業は毎年1月に公募し、まず約30の未来都市を選定します。その中でも、特に先導的で実現性が高い10都市の取り組みを「モデル事業」として選定し、補助金が出る仕組みになっています。

人員や財政面でSDGsに取り組むのが難しい小規模自治体のため、昨年度から「広域連携SDGsモデル事業」も始めました。同じような地域課題を抱えている複数の自治体が連携し、モデルづくりをする施策です。

人口5万人未満の地方公共団体を1団体以上絡めるという要件があり、補助金は複数の市町村による連携事業の場合は2,000万円(補助率2/3)、都道府県が絡むと3,000万円(補助率1/2)になります。この取り組み事例を紹介します。

●鹿児島県大崎町(2019年度)
大崎町は民間企業のユニチャームと組んで、「リサイクル率日本一の町」を実現しています。

同町は自前の焼却炉を持っていなかったため、ごみ収集の面で課題を持っていました。

リサイクルセンターで回収したごみを分別・処理し、回収した紙おむつは連携するユニチャームがリサイクル。生み出した収益で奨学金等を整備。地域内でお金が循環する仕組みづくりが評価されました。

●宮城県石巻市(2020年度)
東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市は、コミュニティを核とした持続可能な地域社会の構築が評価されました。

特に減退したコミュニティにロボットを導入。高齢者が外に出やすい仕組みをつくり、ロボットが話し相手になります。高齢者にコミュニケーションの機会を提供することで、健康増進にも役立つ取り組みです。

また、地元の自動車整備工場と大手の自動車メーカーが組んでハイブリッドのグリーンスローモビリティを活用した交通システムをつくっています。

「官民連携プラットフォーム」と地方創生SDGs金融を通じた自律的好循環

「官民連携プラットフォーム」は、自治体が持っている地域課題や悩みと、民間企業が持っているソリューションやノウハウを結びつける取り組みです。

現在、プラットフォームには、1,100以上の自治体を含む約7,000団体が参加。全国の6割以上の自治体が参加している状況です。連携の事例を紹介します。

●岩手県一関市
ふるさと納税とSDGsへの取り組みの情報発信をするために、一関市がプラットフォームに登録。寄付者がふるさと納税で「一関市こども食堂支援」に寄付した返礼分相当額を原資に、同市の農産物・加工品などを全国のこども食堂に提供しています。地域の収益にもつながり、全国の子ども食堂の支援にもつながっています。

●山口県山陽小野田市
公共施設の老朽化に対処するため、市が土地を現物出資、民間が資金を出資した合同会社が、地域の賑わいを再創出する複合施設等を開発・運営した「LABVを活用したまちづくりプロジェクト」の事例です。

こうした取り組みと同時に、「地方創生SDGs登録認証等制度ガイドライン」を策定。地域のために地方創生SDGsに取り組んでいる事業者を「見える化」し、地域の中で収益が再投資される「地方創生SDGs金融」の仕組みを促進しています。

また、持続的なまちづくりの取り組みで、地方公共団体と地域の金融機関が連携した取り組みを表彰する「地方創生SDGs金融表彰」を2021年に創設しました。

これらの取り組みを通じて、地域・地方が少しでも持続可能なまちになっていけるように、内閣府としても支援していきたいと考えています。

[Q&A] ※一部抜粋

Q:SDGs未来都市に選定されると補助金を得られることが分かりました。そのほか、事業へのアドバイスや専門家派遣などはしてもらえるのでしょうか。
A:補助金は、未来都市に選定された約30の自治体のうち、先導的な10都市前後が対象になります。未来都市選定の際は、外部委員会の方々の意見も踏まえているので、外部の専門家の知見を得られたり、場合によっては自治体を訪問したり、オンラインで相談に応じたりすることをやっています。

Q:未来都市になるための選定基準や押さえておくべきポイントなどがあれば、教えてください。
A:選定基準は、ホームページでも公開している通り、「経済・社会・環境の三側面に、いかに取り組んでいるか」という点です。また、2030年に向けてどういったまちづくりをして、それに向けてどういうことをやっていきたいか…ということを、具体的に分かりやすく示すことが重要なポイントになると言えます。

デジタルプラットフォームを活用した新たなSDGs推進策の仕組み

<講師>

バイザー株式会社 営業部営業課マネージャー
柴田 章宏 氏

プロフィール

2021年4月より、地方創生SDGsソリューション「グッドシティ」の企画・営業を担当。
自治体の課題に着目し、自治体と住民間のコミュニケーションを円滑にすることで「SDGsの目標11・住みつづられるまちづくり」を実現することを中心とした価値提案を行い、2年間50自治体以上へ情報発信ソリューションを提供した実績を持つ。


地域のSDGs活動は住民に伝えられているだろうか。「グッドシティ」は、自治体とステークホルダー(住民/地域企業/非営利団体/教育機関)が協働でSDGs活動に関する情報発信と成果の共有ができるプラットフォームだ。
グッドシティを実際に導入し、地域活動をプラットフォーム上で可視化することで認知・集客・連携を活性化し「協働のまちづくり」の実現に取り組んでいる自治体の事例を、柴田氏が紹介する。

デジタル化ソリューション「グッドシティ」とは

弊社が提供するデジタル化ソリューション「グッドシティ」は、SDGsの17番目の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」を支援するソリューションです。昨年7月にリリースし、現在3自治体で採用されています。本年度中には兵庫県加西市と京都府京丹波町が導入する予定です。
このソリューションは、自治体とステークホルダーが協働で、SDGsに関する情報発信・成果を共有できるデジタルプラットフォームです。

自治体だけでは解決できない問題を、地域のステークホルダーと一緒に取り組む「協働のまちづくり」を実現するためには、まず、地域の活動を認知してもらうための「地域活動を可視化する仕組み」が必要です。

同時に、地域活動に参加する人を増やすためには、「活動内容の理解を深める」ため、こまめに情報発信をすることが必要です。

単独コミュニティだけでは実現が困難な課題には「ステークホルダーが連携する仕組みづくり」が必要です。

この3つの対策に必要な機能を備えたデジタルツールが「グッドシティ」です。3つの対策の概要は次の通りです。

1:地域活動を可視化する
清掃活動やまちの魅力発信活動、フードロス削減活動など、地域で実施している様々な活動を、「SDGs」という共通のゴール目標で集約・可視化することで、それぞれの活動を、つながりを持って可視化することができます。

2:活動内容の理解を深める
自治体の情報発信源は広報紙やホームページなどですが、こまめな情報発信には、それなりの時間と労力がかかります。グッドシティの仕組みは、地域で活動する人自らが情報発信し、プラットフォーム参加者たちに活動目的のSDGs宣言をしてもらいます。
その宣言を具体化した活動内容をサイト上で公開すると同時に、ブログ形式で活動内容を情報発信することで、住民が地域活動を知り理解が深まり、共感する活動に参加する人が増えていきます。

3:ステークホルダー間の連携を促す
実際に活動中の人たちの多くが人手が足りない、活動場所の提供を受けたいなどの問題を抱えています。一方で地域内には、「私はこういったことができる」といった意欲的な住民もいると思います。
グッドシティには、支援を受けたい人と支援したい人とをマッチングする仕組みが備わっており、ヒト、モノ、チエの側面で支援してくれる人を募集し、一緒に取り組むことができます。
 

デジタルツール導入の懸念事項と解決案について

よく聞かれる質問の、デジタルツール導入検討時の懸念事項とその解決案を紹介します。

・活動を登録してくれるステークホルダーはいるだろうか?
 <解決案>企業を中心とした取り組みの活性化(SDGs登録制度)

・活動に参加・協力してくれる住民は増えるだろうか?
 <解決案>教育現場と連携による取り組みの活性化(子どもの参加)

・持続性のある仕組みなのだろうか?
 <解決案>地域ポイントを利用した取り組みの活性化(地域ポイント)

上記の「解決案」を、もう少し詳しく紹介します。

●SDGs登録制度とは
SDGs未来都市で広く導入されている制度で、地域企業・団体に対する様々な登録メリットにより、登録者を中心とした取組の活性化を促します。メリットの例としては、

(1)市の公式サイトを活用し、SDGs活動をPRできる
(2)市の認定が受けられ、認定証の交付も行われる
(3)市の認定ロゴが使用できる
(4)他のステークホルダーと交流できる

グッドシティは、運営管理画面で簡単に承認・管理ができる仕組みを備えています。
従来の申請用紙による受付・運用から、オンライン申請・運用管理の仕組みによって運用を効率化し、事務処理負担を大幅に軽減することができます。

現在グッドシティを導入している川崎市は、「かわさきSDGsポータルサイト」という公開サイトを持っており、3,000社を超える登録団体のうち100以上の団体が、自らの活動を発信しています。

●学校現場での SDGs教育と「子どもの参加」
小学校や中学校では、新学習指導要領の中でSDGsを学んでいます。授業後、先生がマイページからグループ宣言を設定し、生徒たちはタブレットからSDGs宣言ができます。生徒たちは興味がある地域活動に参加し、活動した内容をグッドシティで活動報告します。
グッドシティを導入中の神奈川県松田町の小学校では昨年、生徒たちが自分でできる活動を考えSDGs宣言を行う授業を行い弊社の専任スタッフがサポートしました。

●地域ポイントを利用した取り組みの活性化
こちらは、本年度導入予定の2自治体からの要望を受け開発した、グッドシティのオプション機能です。地域の様々な活動に参加した人に対し、活動オーナーが地域ポイントを付与する仕組みです。

貯まったポイントは、さまざまなポイント交換プログラムが用意されており、地域内でポイントを循環させる「自律的好循環モデル」が実現できます。
本年度導入予定の京都府京丹波町の事例ですが、令和5年度のデジタル田園都市国家構想交付金の中で、地方創生推進タイプ・横展開型で申請されました。

[Q&A] ※一部抜粋

Q:デジ田交付金を活用した自治体の事例はありますか。
A:セミナーの最後に紹介した、京都府京丹波町の事例がそれにあたります。リリース後の期間が1年と短く、これ以外に採択事例がありませんが、デジタル実装タイプのタイプⅠで申請していただくことができるのではないかと考えています。そこにKPIを設定・申請をする必要もありますが、KPI設定などのご相談も受け付けております。

Q:どのようにして登録者を増やせば良いでしょうか。
A:まず、登録制度の運用を弊社がサポートします。これまで打ち合わせをしてきた自治体の中には、ハードルが高いと思われているところもありましたが、グッドシティは申請のフォーマットを柔軟に作成できる機能を持っていますので、その中でうまく使っていただけると思います。

お問い合わせ

ジチタイワークス セミナー運営事務局

TEL:092-716-1480
E-mail:seminar@jichitai.works

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