WEB形式のスタンプラリーシステム
地域観光の誘客に有効なスタンプラリー。エンタメ要素を提供しつつ、地域に経済効果をもたらすが、運用には注意が必要な部分もある。静岡県ではそういった課題をクリアしながら、官民連携で目標を超える結果が出たという。
※下記はジチタイワークスINFO.(2023年7月発行)に掲載後、Vol.27(2023年8月発行)にて情報を更新。内容は取材当時のものです。
[提供]株式会社Geolocation Technology
人気アニメとのコラボ企画を進める中で、もち上がった課題。
新たな観光誘客の施策を検討する中で、『ゆるキャン△』とのコラボ企画を検討していたという同県。『ゆるキャン△』は、同県や山梨県を舞台とした、“キャンプ”がテーマの人気アニメ。実在の風景とリンクした描写などでも注目を集めており、コラボが実現すれば地域の魅力を広く訴求することができると考えたのだ。そして、令和2年8月、この企画の実施が決定。空港利用の活性化という目的も含め、プロジェクトは空港振興課が担当することになった。
企画では、モデル地やキャンプ地を紹介するマップを制作し、レンタカーキャンペーンなどを実施。スタンプラリーも開催することになったが、先行事例を研究するうちに懸念点が見つかったという。「スタンプ取得の際、現地に二次元コードを掲出するだけだと、SNSなどで拡散され、どこからでも参加できてしまう状況にありました。GPSで位置情報を取得する方法もありますが、電波が弱い地域では使いづらくうまくいかない。これらをクリアした上でスタンプラリーを実施する必要がありました」と市川さんは振り返る。そこで、課題をクリアできる事業者をリサーチ。その中で出会ったのが「Geolocation Technology(ジオロケーションテクノロジー)」だった。
スタンプ取得方法の工夫で運営トラブルを防止する。
二者でアイデアを出し合い、二次元コードとGPSの併用を決めた。「2つの方法をかけ合わせることで、どこからでも参加できてしまうといった状況を防止できます。さらに、位置情報がうまく取得できなかった場合は、二次元コードの提出による事後申請でスタンプを付与するという救済措置も設けました」。
また、同社のシステムはブラウザで利用できるので、スタンプラリーのためにアプリをインストールする手間がかからない。加えてラリー開催後のデータは個人情報などを除いた上で自治体に提供され、参加者の属性や動向などの分析が可能。こうした機能を活かし、取り組みに合わせてシステムを構築したという。
新型コロナの感染拡大状況も考慮しつつ、令和3年11月に“『ゆるキャン△』×静岡県スタンプラリー”がスタート。参加者数は予想を大幅に超え、先着で用意した記念品は初日の昼になくなるほどの盛況ぶりを見せたという。こうしたにぎわいのほかにも“収穫は大きかった”と市川さん。「版権元や地元の関係者たちとイベントをつくり上げたので、互いに顔の見える関係性を築くことができました。また、地域住民が参加者に積極的に声をかけてくれるなど、交流が生まれたのも良かったと感じています」。
取り組みの結果をデータで残し次の挑戦につなげていく。
このスタンプラリーの延べ参加人数は1万2,000人を超えた。関西や九州など遠方からの参加もあり、アンケートには“初めて訪問したがとても良い土地だった” “食べ物がおいしかった”といった感想が集まったという。「目標としていた参加者7,000人を大幅に上まわる結果で、当県の魅力を効果的に発信することができたと感じています。経済効果も4億円以上という分析結果が出ました」と市川さんも満足げだ。
また、今回のスタンプラリーで活用したシステムは、同社が自治体向けに標準化させ、「てくてくスタンプ」というサービスに進化。現在は北海道から沖縄までの広い地域で市・町・村などの人口規模に関係なく採用されているという。自治体にフィットした様々な機能の中でも、“参加者のデータ分析”ができるのは大きなメリットであり、分析結果は今後の観光施策に活かすことが可能だ。
「今回のスタンプラリーでは、若い層の参加が中心になるのではないかと予想していました。しかし、ふたを開けてみればシニア世代の参加も多く、予想外の結果に驚きました。男女比や、県内外といった属性も偏りがなく、多くの人に楽しんでいただけたと実感しています」と今回の結果を笑顔で語ってくれた。
静岡県
スポーツ・文化観光部 空港振興課 主査
(現・地域外交局 地域外交課 地域外交参事官 ※台湾駐在)
市川 美奈子(いちかわ みなこ)さん
スタンプラリーは“スタンプ取得方法”と“データ分析”がポイントに
■選べる4つのスタンプ取得方法でトラブルを防止!
➡スポットごとにスタンプ取得方法を変えることで、参加者がより楽しめる仕組みを構築することが可能
■スタンプラリーで得た参加者データの活用方法
●スタンプ総取得数で日・週・月単位の参加状況が分かる
●チェックポイントのスタンプ取得数で人気のエリアが分かる
●県外からの来訪率や年代・性別に応じた属性分析が可能
上記の通り、分析から様々な情報を得られる。また、データ解析士による分析オプションもあり、分析を任せることも可能だ。
➡得られたデータをかけ合わせて分析することで、新たな観光プラン作成などの施策に活かせる!
関連業務を含めた一括発注もOK
てくてくスタンプには、予算や規模に応じた3つのプランがある。また、システムの活用だけでなく、企画・運営、景品の手配、広報まで全て一括発注も可能。詳細は資料請求を。
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