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マイキープラットフォームとは? 先進事例も含めて解説!

マイナンバーカードの普及や利用が国を挙げて推進されるようになってしばらく経過した。すでに作成し利用しているという人やこれから作成したいと考えている人も多いのではないだろうか。

個人番号の証明や本人確認書類としてだけでなく、コンビニで住民票などを取得する際や健康保険証としても利用できるマイナンバーカードだが、今後は、さらに多くのサービスで使えるようになることも期待されている。

今回は、マイナンバーカードのさらなる可能性を理解するために、マイナンバーカードと各種カードの利用番号を紐づけるシステム「マイキープラットフォーム」について解説する。

マイキープラットフォームとは?

マイキープラットフォーム とは、図書館の利用カードなどに記載された利用番号と、マイナンバーカードの「マイキーID」を紐づけ、マイナンバーカード1枚でさまざまなサービスを利用できるようにするシステムのことである。マイキープラットフォームはマイナンバーカードを持ち、利用者証明用電子証明書の発行を受けていれば、誰でも利用できる。

ちなみにマイキーID とは、マイナンバーカードのICチップ内に保持されている「利用者証明用電子証明書」に対応して、利用者が任意で発行するIDのことだ。このIDはマイナンバーとは異なる番号となっている。
 

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マイキープラットフォームで何ができるようになるか?

マイキープラットフォームでは、公共施設や民間の各種サービスとマイキーIDを紐づけることにより、マイナンバーカードを持っておけば、さまざまなサービスを受けられるようになる。 

これまでは、サービスごとに「市立図書館の利用者カード」「自治体の子育て支援サービス利用者カード」「スーパーのポイントカード」など、複数のカードを持つ必要があった。しかし、マイキープラットフォームを活用すると、マイナンバーカード1枚を持っておくだけで、これらのサービスが利用できるようになる。マイキープラットフォームを活用することにより、何枚ものカードを作成し、持ち歩くことがなくなるというメリットがあるのだ。

さらに詳しく、マイキープラットフォーム活用の例を見ていこう。

●ポイント事業(自治体マイナポイント)滋賀県米原市

マイキープラットフォームは、決済サービス事業との連携も行っている。この仕組みを利用して「自治体マイナポイント事業」が行われている。

例えば、滋賀県米原市の場合 、マイナンバーカードを所有する米原市在住の全ての人を対象に、3,000円相当分の米原市マイナポイントを付与している。希望者はマイナポイントアプリ、もしくはウェブサイトから申し込むが、その際に希望する決済サービスを指定するようになっている。

これは、マイキープラットフォームが決済サービス事業と連携しているからこそできることだといえるだろう。

●公共施設

公共施設でも、マイキープラットフォーム活用が進んでいる。いくつかの例を解説する。

【豊島区】
東京都豊島区では、 豊島区立図書館全館で従来の図書館利用カードに加えて、マイナンバーカードでも貸し出しが可能になった。自動貸し出し機でもマイナンバーカードを利用しての貸し出しができる。ただし、使えるのは「利用者証明用電子証明書」が搭載されており、マイキーID登録されたマイナンバーカードに限られるため、事前の登録が必要だ。

【三条市】
新潟県三条市 では、市民の利便性向上を目的として、公共施設でさまざまなサービスを提供している。民間の協賛店で利用できることや「県内初」「全国初」のサービスも多く、独自性があるため、以下で詳しくご紹介しよう。

<県内初のサービス>
●証明書のコンビニ交付
以下の証明書が全国のコンビニのマルチコピー機で取得可能となっている。また、交付手数料も割引される。

・住民票の写し
・印鑑登録証明書
・所得(課税)証明書
・戸籍証明書      ※三条市に本籍がある人のみ

●市内図書館の図書資料の貸し出し
マイナンバーカードを市内図書館の図書貸し出しカードとして利用可能。

●民間の協賛店での優遇サービスを実施
マイナンバーカード提示で、協賛店での割引が受けられるサービスを提供している。

<全国初のサービス>
●窓口での手続き支援

市役所の窓口にてマイナンバーカードを提示することで、以下の書類の申請書など、約300種類の申請書の記載事項が簡略化される。また、交付手数料も割引される。

・住民票の写し
・税証明
・戸籍証明書 ※三条市に本籍がある人のみ
・印鑑登録証明書 ※国からの通達により、交付の際はパスワード入力が必要

●職員の出退勤管理
市職員(小中学校、保育所、市街在住職員含む)の出退勤時刻管理をマイナンバーカードにて行う。

●避難所の入退所受付
災害時、避難所の受付にてマイナンバーカードを提示することで、避難世帯員全員の一括受付が可能。

●選挙の投票入場受付
期日前投票および当日投票の入場受付時、マイナンバーカードを提示し、顔写真で本人確認を行うことで受付完了が可能。

また、期日前投票時は宣誓書のシステム出力ができるため、手書きが難しい人でも利用しやすいというメリットがある。

<その他のサービス>
●市の電子申請手続きと国の「ぴったりサービス」の一元化

三条市全ての電子申請手続きを国の「ぴったりサービス」に一元化。マイナンバーカードの電子署名の利用も可能。手続きの内容の一部を以下の表で紹介する。

国指定の手続きの一部    三条市が追加する手続きの一部
 ・氏名変更/住所変更等の届出
 ・児童手当等の現況届
 ・保育施設等の利用申込
 ・妊娠の届出など    
 ・児童クラブ入会申請
 ・子供医療費受給者証交付申請書
 ・情報公開請求書
 ・職員採用試験受験申込
 ・国民年金被保険者資格取得届など

 

●「行かない市役所」の構築(延岡市)

宮崎県延岡市では、地域の魅力向上や地方創生を目的として、「行かない市役所」構築事業を構想している。この事業は国の「デジタル田園投資国家構想交付金」の対象事業として採択された。 

マイキープラットフォームを活用し、各種データと延岡市公式アプリ「のべおかポータル」との連携を行うことを目標としているが、具体的には、以下のようなことができるよう構想されている。 

「子供医療費受給資格証」のオンライン申請、また、デジタル資格証として、のべおかポータル上に表示し、医療機関で利用できるようにする
・マイキープラットフォームを活用し、個人認証を行った上で、保育所等の面談、および行政相談などのオンライン受付を可能にする
・のべおかポータル経由での図書館蔵書検索や予約、電子書籍の貸し出しを行えるようにする
・のべおかポータル内に「マイページ」を実装し、行政サービス等の情報を確認できるようにする

 

現時点では構想中であり、まだ利用されていないサービスではあるが、実現すると市民の利便性は向上し、魅力ある街づくりにつながることだろう。延岡市の今後の動きに注目したい。

マイキープラットフォーム活用で市民の利便性向上も実現可能 

マイナンバーカードを使うところといえば「本人確認書類」「健康保険証」などのイメージが強いが、マイキープラットフォームを活用すると、今よりもさらに利用できる場面が増えてくるだろう。特に、今後は多くの自治体でも「図書館カードとして」「選挙の投票入場受付時」など、日常生活に根差した場所で利用できるようになることも予想される。民間のサービスと連携しての利用も増えてくるかもしれない。

本格的に普及する前に、マイキープラットフォームについて理解を深めておくことをおすすめする。
 

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