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大阪府東大阪市

“飛び込み来庁”による窓口の混雑をシステムで回避

煩雑な窓口対応が必要な、マイナンバーカードの交付業務。“飛び込み”で来庁した住民の対応で、窓口が大混雑するケースも少なくはないようだ。そんな中で東大阪市は、平成28年1月からNTTデータ関西が提供する「e-TUMO MYNUM(以下「MYNUM」)」を導入、窓口業務の効率化を図った。カード交付初期からシステム導入に踏み切った理由や導入メリットについて、市民生活部の辻本さんと上田さんに聞いた。

[提供]株式会社エヌ・ティ・ティ・データ関西

東大阪市 市民生活部 市民室
左:辻本 知希(つじもと ともき)さん
右:上田 真之(うえだ まさゆき)さん

マイナンバーカード交付開始前から高まっていた担当職員の問題意識

交付通知書の確認と運転免許証などによる本人確認、暗証番号に関する説明と番号設定など、マイナンバーカードの窓口交付には、複雑な作業が必要だ。本人確認書類が2種類必要な場合や代理人交付の場合、窓口での手間はさらに増える。マイナポイント効果で申請率が急伸している現在、カード交付場所を訪れる住民の数も全国的に急増しており、窓口の混雑が常態化している自治体も少なくはないという。

「約50万人の人口を抱える当市では、カード交付が始まる前段階から、『予約制にしておかないと収拾がつかなくなる』という問題意識を抱えていました」と語る辻本さん。と言うのも、同市の場合、マイナンバーの通知カード郵送が始まった平成27年10月以降、何らかの事情で自宅受け取りができなかった市民が相次いで庁舎を来訪。その対応に、何日間も費やした苦い経験があったのだ。

「申請の前段階でこれほど窓口が混雑するのだから、カード交付も同じ要領でやっていたらマズいことになる…という意識を、交付開始前から担当職員全体が持つようになりました」。当初、比較的簡単に始められる電話予約制も検討したが、「それはそれで、電話回線を増やしたりオペレーターを付けたりしなければ、“電話がつながらない”という苦情が殺到するおそれがあるため、もっと効率的な方法を探すことにしました」。

複数のベンダーが提供する様々な予約システムについて調べるうち、有力候補に挙がったのが、NTTデータ関西が提供する「MYNUM」だった。すでにカード申請が始まった時期だったので、各社のシステムを急ピッチで比較検討。「24時間365日、いつでも予約を入れられるという市民にとっての利便性と、直感的に操作できる職員にとっての利便性、さらにLGWAN-ASPである安全性とを重視して、平成28年1月からMYNUMを本導入することになりました」

汎用的なネット予約システムの場合、いたずら目的の“空予約”のせいで、窓口が混乱するおそれもある。その点MYNUMは、規定の番号を入力しなければ予約が取れない「いたずら防止機能」を備えている。また、当日キャンセルになった分の予約処理や、交付後のカード情報管理などが同一システム内で行える点も、導入の決め手になったという。

交付業務の効率化はもちろん、紛失等のリスクも低減

MYNUMは、NTTデータ関西のクラウド型行政総合サービス基盤「e-TUMO」内の、個人番号カード交付予約・管理サービス。市民は、希望する来庁時間をスマホやPCなどからいつでも申請できて、自治体側はそのデータを、セキュアなLGWAN環境内で処理・登録できるのが大きな特徴だ。

マイナンバーカードは、健康保険証番号をはじめ様々なデータと紐づけられる。そのため、導入にあたっては個人情報の管理システムと、MYNUMで管理するデータとの“仕分け”について苦慮したものの、予定通りのスケジュールで本稼働に移ることができた。また、カード受け取り案内ハガキに、MYNUMの予約受け付けページにリンクする二次元コードを付けたこと、非常に分かりやすいUIであることなどから、早い段階から予約全体の6~7割が、ネット経由で占められるようになったという。

予約制を導入していない場合、来庁した住民の本人確認を窓口で行い、それから職員がマイナンバーカード保管場所まで行ってカードを取ってくる……という手間が発生する。一方、来庁希望時間を前日までに予約しておけば、職員は翌日交付分を事前にピックアップしておき、本人確認完了後、その場でカードを手渡すことが可能になる。

「現在、1日平均400~500人がカード受け取りに来庁しています。1人だけなら5分程度の違いでしょうが、400~500人となると、1日当たり30~40時間の差が出ることになります」と、上田さん。「仮に、無予約の市民が一度に10人窓口を訪れた場合、複数の職員が10人分のカードを同時に探すことになるので、紛失のリスクも高まるでしょう。交付業務の効率化はもちろん、安全性の向上も大きな導入効果だと感じています」。

MYNUMはネット経由の予約だけではなく、電話・FAXによる予約状況も、システム内で一括管理できる。そのため、窓口が混雑しないように細かい時間設定が可能で、結果的に、来庁した市民の待ち時間も短くなる。「カードの交付完了後、同じ人物が再度予約を入れられないよう“消し込み”作業を行うのですが、消し込みデータ一覧と交付完了記録とを、簡単な作業で照合できます。その点においても、効率的かつ安全に交付業務を遂行できていると実感します」。

セキュリティ面の再強化によりISMAP認証を取得

システム導入後、自治体側の要望を聞きながら、年間1~2回のアップデートを実施する点も、MYNUMの特徴の一つ。東大阪市の場合も、2年ほど前に住民側の予約サイトをリニューアルし、受け付けフォームなどをウェブアクセシビリティに配慮したデザインに変更した。直近では、セキュリティ面をさらに強化し、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)認証を得ている

一方で、同市もカード申請率の底上げを図るため、令和4年度から市内7カ所の行政サービスセンターや、商業施設内の特設窓口などでもカード申請を受け付ける体制を整えた。そうした一連の取り組みが奏功し、令和4年11月からは、交付数が月間1万枚を超えるようになったという。

「ただ、当面の間は交付数が高止まりする見込みで、予約が取りづらい状況が継続すると思われます」、「当面の目標は、令和4年度末までに交付率54%を達成すること。MYNUM活用を通じて、より効率的な交付管理の仕組みを検討することが、中・長期的な課題だと考えています」。そのために、UIのさらなる見直しや改良、今後必要になりそうな集計機能の実装などを、NTTデータ関西に要請する計画だという。「やはり、使いこなすほどに“あれもこれも”といった細かな要望が出てきます。そのあたりをいかに実現するか、NTTデータ関西と協議したいですね」。

現時点で、同市をはじめ全国の50自治体以上が、MYNUM導入によりカード交付業務や交付後のデータ管理業務の効率化を図っているという。それら自治体の声を反映させながらNTTデータ関西は、利用料金据え置きで一層の機能強化を図っていく構えだ。

 

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