ジチタイワークス

静岡県浜松市

スマホに限らない決済手段で、地域のキャッシュレスを促進する。

コロナ禍や物価高騰など、地域経済と家計を圧迫する状況が続き、自治体は支援に追われている。浜松市では、キャッシュレス決済のポイント還元事業に、使い勝手の良いプリペイドカードを活用し、参加者の増加につなげたという。

※下記はジチタイワークスVol.26(2023年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]楽天ペイメント株式会社

過去4回の事業から課題を洗い出し新たな形で2回の経済支援を実施。

令和元年に「デジタルファースト宣言」を出し、地域課題の改善を目指している同市。コロナ禍に入った令和2年から地元店舗を支援するために、自治体独自のポイントバックキャンペーンなどを計4回実施。いずれもキャッシュレス決済を対象に行ったという。「コロナ禍で非接触決済へのニーズが高まっていたため、効果的だったと思います。ただ、これまでのキャンペーンは、リリース方法が広報紙や報道発表に限られ、十分に周知できずにスタートしていたことが課題でした」と金子さん。

過去4回は同市が事務局となり、決済事業者や店舗、市民とのやりとりを行ってきた。しかし、決済事業者が複数いる場合は、店舗の選定や全体のスケジュールを揃えることに時間と手間がかかっており、市民への案内や対応に十分な時間を使えなかったそうだ。

コロナ対策の規制が徐々に緩和され、観光需要回復の兆しが見え始めた令和4年のこと。11月に経済支援のキャンペーンを予定し、複数キャッシュレス事業者とのパイプ役となる幹事業者に委託する形で夏頃から準備を進めていた。しかし、日用品を含む様々な物品が値上げされ、人々の暮らしが圧迫される状況に。そこで急きょ8月にもポイント還元キャンペーンを実施することになった。

幹事業者を通して契約したのは、「楽天ペイメント」が手がける「楽天ペイ」と「楽天Edy」、ほか3事業者の決済サービス。「やりとりを任せることができたので、緊急の実施でしたが、柔軟対応のおかげで迅速に進められました。中でも楽天ペイと楽天Edyは、店舗選定や販促物などの準備が2週間ほどで整いました」。

スマホに限らずカードも採用し高齢者や未成年層にも還元。

令和4年8月と11月のキャンペーンで契約した決済事業者は、どれも全国的にユーザー数が多く、店舗にも市民にもなじみのあるものだったそうだ。特に参加者の増加につながったのは、プリペイドカードとして使える楽天Edyの採用。スマートフォンでの決済に慣れていない高齢者や、セキュリティ面に心配のある未成年など、幅広い層が使いやすいことがメリットだという。「普段使っている決済サービスが該当しない場合、このために新たにアプリを入れて設定するのは面倒かもしれません。楽天Edyカードならお店で買って参加してもらえるという点も良かったです」。

急きょ実施した8月の物価高騰支援には、15億円の補正予算を組んだという。利用の対象は市内の全店舗で、購入金額の20%をポイント還元。1カ月の実施を予定していたが、半月で予算に達して終了した。「スピーディに市民や市内店舗を支援することが目的でした。多くの人に参加してもらえたのは成功だと思います。市民からは“とても助かったので、また実施してください”と電話でリクエストされるほどでした」。

11月には経済支援キャンペーンを実施。8.4億円の予算で、市内の中小企業での利用を対象に20%のポイントを還元した。楽天Edyの活用で、高齢者を中心に参加しやすいことが2回の実施で分かったそうだ。幹事業者と連携し、事前の周知やFAQの作成などを行ったことに加え、短期間で2回実施したことも結果的に奏功した。「コールセンターの対応も委託していましたが、問い合わせはかなり減りました。市が事務局をしていたときよりもスムーズに動けています」。

短期事業で終わらせず中長期の経済施策につなげる。

令和4年に実施した2回のキャンペーンを終え、キャッシュレス決済のユーザー数は実施前の約1.5倍に増加したという。また、期間中は市内の多くの店舗で売上が増え、キャンペーンの初日から決済額が普段の10倍になったとの声も。店舗や市民からのリクエストも続き、令和元年から同市が取り組んでいるキャッシュレスの普及にも、手応えを感じているそうだ。

コロナ禍や物価高騰など様々な問題が起きる中、そのときの課題に応じた経済支援を行ってきた同市。キャンペーン期間中のユーザーの属性をまとめたデータと、キャッシュレスが身近になりつつある現状を活かし、今後はほかの施策にもつなげる予定だという。「消費喚起の施策には、多くの可能性を感じました。当課では、本来行っている観光施策にキャンペーンを取り入れていきたいです。例えば、市外から宿泊する人にポイントを還元するなど、観光や宿泊の誘致にも有効だと考えています」。

全国的にキャッシュレス決済が主流になりつつあるものの、幅広い層を巻き込んでの実施には課題があるだろう。支払いの手段は決してスマートフォンやクレジットカードだけではない。未成年や高齢者でも簡単に参加できる方法を採用することで、利便性が伝わり、多くの人に周知する機会になる。高齢化の進む地域や、紙の商品券の処理に悩む自治体が参考にできるのではないだろうか。

浜松市
産業部 観光・シティプロモーション課
金子 悠馬(かねこ ゆうま)さん

 

「楽天ペイ」「楽天Edy」を活用したポイント還元事業の実施メリット

1.幅広い層が使いやすい「楽天Edy」

プリペイドカードなので、スマートフォンを持たない人や、二次元コードの決済に抵抗のある人も取り残さない。高齢者や未成年など、幅広い層に公平に参加を促せる。

2.ユーザーの属性がデータで分かる

キャッシュレス決済に関するユーザーの属性や、店舗のカテゴリーに分けた利用状況などのデータを自治体に提供。長期的な経済施策や、ほかのキャンペーンにも活用が可能だ。

3.住民や店舗に参加を促しやすい

全国的にユーザー数が多く、住民や店舗の認知度も高い。キャンペーンを実施するにあたり、“何をどうやって参加するのか”がすぐに伝わることで周知しやすく、スムーズに開始できる。

プリペイドカードでも参加可

楽天ペイ
全国規模で、住民や店舗の認知度も高いため、自治体もキャンペーンを周知しやすい。

楽天Edy
プリペイドカードの「楽天Edy」なら、スマホやクレジット決済になじみの薄い、高齢者や未成年でも参加しやすい。


取り組みの歩み

令和4年6月~
 ・11月のキャンペーンに向けて準備
令和4年8月
 ・予定外に急きょ実施!物価高騰支援キャンペーン
  緊急でも柔軟対応!
令和4年11月
 ・経済支援キャンペーン実施

業務提携

HOW TO:自治体がポイント還元キャンペーンに取り組むには?

楽天ペイメントのキャンペーンは、令和2年8月のコロナ対策を皮切りに、全国67自治体(令和5年2月時点)で導入実績がある。キャンペーンの内容は目的などに応じてカスタマイズが可能。実施後はユーザーの属性がレポートとして提供されるため、ほかの施策にも活用できる。

主なフローとスケジュール

予算と課題の確認
   ▼
同社が見積もりを提出
   ▼
   (議会承認)
   ▼
    契約       約2カ月
   
キャンペーン実施  約1カ月
   ▼
還元ポイント付与
   ▼
  データ納品    約1カ月

POINT:キャンペーンは目的に応じてカスタマイズが可能

“事業者支援”や“観光振興”など目的を設定し、利用の対象店舗を決める。飲食店や、当該地域の中小企業に限定するケースや、全ての店舗を対象とするケースも。対象エリアの範囲も、自治体の要望に合わせて提案する。

・対象エリア(都道府県、市町村、商店街エリアなど)
・対象業種(飲食店、中小企業など)
・ポイント還元率
・期間中の利用還元上限
・1回当たりの還元上限など

支援を求めている住民や業者に伝わりやすい!課題に沿ったキャンペーンができる。

POINT:決済用の端末を無償提供

参加する店舗に提供し、キャンペーン後も使い続けることができる。

 

POINT:楽天IDにひも付くユーザーの属性をデータで提出 

ユーザーの年齢や当該エリアの居住など、キャンペーン期間中の特徴をまとめる。

ユーザーの傾向をデータとして活用!次の施策を考える際のヒントになる。

他自治体の導入事例

宮城県
キャッシュレス決済で!みやぎを応援!最大20%戻ってくるキャンペーン

実施期間令和4年9月1日~30日

ポイント還元率 最大20%相当、1決済ごとに最大で2,000円相当のポイントを付与

県内全ての店舗を対象に、コロナ禍での売上減少を支援する目的で実施。同時に、新しい生活様式を見据えたキャッシュレス決済の普及も図っていた。宮城県内在住者に限らず、県外からの観光客など、誰でも買い物や飲食の際に参加することができる。

和歌山県
わかやま飲食店応援キャンペーン/わかやま飲食店応援キャンペーン2nd

実施期間 令和4年6月1日~7月18日/令和4年10月1日~11月13日

ポイント還元率 最大20%相当、1決済ごとに最大で2,000円相当のポイントを付与

コロナ禍の影響を特に受けていた飲食店の支援とキャッシュレス決済の普及促進が目的。対象キャッシュレス決済を導入した県内の飲食店などが対象で、支払い額の最大20%相当がポイントとして還元される。令和4年6月から1カ月半実施した後、10月から第2弾を1カ月半実施した。

※写真はイメージです

ポイント還元事業で大切なのは公平性と実施結果の有効活用

「楽天ペイ」や「楽天Edy」を活用した、ポイント還元事業を全国で展開する同社。担当の鈴木さんは、キャンペーンへの参加方法ができる限り“公平”であることと、実施して終わらず、データを中長期的に活かすことの重要性を語ってくれた。

楽天ペイメント
営業第二本部 エンパワーメント営業部
ヴァイスマネージャー 鈴木 修(すずき おさむ)さん

多くの人に支援が行き届くことで地域キャッシュレスの基盤が整う。

コロナ禍以降、飲食店を中心とした地域の事業者を支援するためのキャンペーンが各地で増えましたが、最近は徐々に住民の支援へとシフトしてきました。当社のサービスは、一人でも多くの人がメリットを享受し、まちのキャッシュレス化の基盤をつくることに貢献します。

プレミアム付き商品券のように、紙を使ったキャンペーンもありますが、自治体にとっては課題が多いものです。紙を販売して回収する事務作業は煩雑で、人手も多くかかります。それだけでなく、利用する住民の“公平性”を担保しづらいという課題も……。商品券を購入するためには所定の場所まで出かけて、行列に並ぶなどして受け取る必要があります。そのような時間が取れない人には、入手の機会がありません。それでは支援が公平に行き届かなくなります。

キャッシュレス決済は、先にポイント分を入手するのではなく、日常の買い物にポイントが付いてくるため、時間の有無などに左右されないことが公平性につながります。加えて、もらったポイントが“1ポイント=1円”として様々な場所で使えることも、メリットの一つ。利用先をあえて限定しないことが、公平な1円の価値になると捉えています。

短期のキャンペーンにとどまらず、中長期の地域活性化につなげる。

キャンペーンは、実施するだけでなく、“実施して何を得たのか”も重要です。実施する際にはまず、誰への支援を手厚くするのか、どう盛り上げるのかなどを話し合って方針を固めます。支援の対象は飲食店なのか、観光事業者なのか、地域住民なのか。自治体の思いや予算、実施時期など様々な条件に合わせて伴走をしていきます。そして、実施後には統計データを提供。内容は店舗のジャンルごとの決済状況、加盟店の増加数、利用者の年齢、エリアの居住・非居住など、楽天IDにひも付いた情報です。

これらを踏まえて、幅広い人にリーチできる施策をともに考えるなど、コンサルティングも行います。コロナ禍や物価高騰など、そのときの状況に対応して終わるのではなく、次にどんな手を打つのかということにつなげる意識が大切なのです。

支援のための事業にはスピード感も必要でしょう。キャッシュレスは煩雑な事務が少ない分、迅速に始めることができ、なるべく公平に還元することも可能。さらにデータが活用できれば、その先の可能性も広がります。そして店舗や住民に浸透すれば、これからデジタル化が進み、インバウンドが回復したときにも、対応しやすくなります。誰もが自分に合った形で、当たり前のようにキャッシュレス決済を使えるようになれば理想的ですね。

 

初めての導入でも計画段階からサポート

キャンペーンの計画段階から相談可能。全国での導入実績をもとに、各自治体の予算や個別事情に応じて、対象店舗の選定やポイント還元率、期間の設定などを提案してくれる。初めてキャッシュレス導入を検討する自治体でも安心して相談可能だ。

フォームで問い合わせ

キャッシュレス事業などについて、自治体担当者からの問い合わせは、専用フォームで受け付けている。

お問い合わせ

サービス提供元企業:楽天ペイメント株式会社

TEL:050-5432-0490
住所:東京都港区港南2-16-5 NBF品川タワー
E-mail:payment-sd2-ebd-emp5-all@mail.rakuten.com

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