妊娠・出産・子育てに関する不安や悩みを解消し、少子化対策や子どもの健やかな成長を促すために進められている「出産・子育て伴走型支援」。全ての妊婦や子育て家庭に寄り添う身近な相談体制の提供と、経済的な負担軽減を図る「出産・子育て応援給付金」を一体的に実施するため、「出産・子育て応援交付金」も創設されました。
そこで今回のセミナーでは、厚生労働省およびデジタル庁選考の先進事例自治体(大阪狭山市・伊達市・平塚市)に登壇いただき、各自治体での取り組みを紹介していただきます。また、出産・子育て応援交付金業務の効率化につながる、官民連携サービスについても紹介します。
概要
■「出産・子育て伴走型支援」事例紹介セミナー
■実施日:4月12日(水)
■参加対象:自治体職員
■参加者数:101人
■プログラム
Program1
平塚市が取り組む「出産・子育て応援交付金事業」事例紹介
Program2
大阪狭山市が取り組む「出産・子育て応援交付金事業」事例紹介
Program3
出産・子育て応援交付金事業のデジタル化について~郵送・電話を「SMS」に切り替えコスト&業務量削減~
Program4
伴走型支援に活用!子育て冊子の無料発行について
Program5
伊達市が取り組む「妊娠期からの切れ目のない支援 そして親子が 笑顔になる架け橋」事業紹介
平塚市が取り組む「出産・子育て応援交付金事業」事例紹介
<講師>
神奈川県平塚市 健康・こども部健康課予防担当
担当長:西澤 秀隆さん
母子保健担当
主管:長田 スミ子さん
平塚市「出産・子育て応援事業」の概要について
平塚市は出産・子育て応援事業を、令和5年2月1日から開始しました。担当部局は健康・こども部健康課の職員、担当職員は子育て世代包括支援センター「ひらつかネウボラルームはぐくみ」、出産・子育て応援ギフトは産業振興部と連携で対応しています。
平成24年度から市総合計画に『子育てするなら平塚で』を掲げ、その一環として以下の取り組みを実施しています。
取り組み①
・平成29年度から全ての妊婦に対し、保健師・助産師らが面談を実施
・平成30年10月から「ひらつかはぐくみ葉酸プロジェクト」を発足
・平成31年度から子育て世代包括支援センターに管理栄養士を配置し、必要に応じ妊婦面談時に栄養指導を実施
・令和2年度からは 、母子健康手帳交付時に葉酸サプリ1か月分を全妊婦に配布し、葉酸の適正利用を推進
取り組み②
・令和2年度から市独自のキャッシュレス決済アプリを導入し、市内約1,000店舗で利用できる、プレミアム付き電子商品券事業を実施
・令和3年度から電子マネー類似機能(スターライトマネー:プレミアムなしの電子商品券 )を追加 。利用額の還元率3%
<伴走型相談支援>
①妊娠届出時
・保健師、助産師が子育てケアプランやアンケートを活用しながら、出産までの見通しを立てる面談を実施。
・必要に応じ、管理栄養士が栄養指導も行う。
②妊娠8ヶ月頃
・伴走型支援のアンケートの案内文を郵送。アンケートの回答は電子システムを利用し、オンラインで提出をお願いしている。
③出生届出後
・従来、乳児の家庭全戸訪問「赤ちゃん訪問」を実施。生後2カ月、遅くとも4カ月以内に全ての訪問を終えている。
「出産子育て応援ギフト」で経済的支援も
市民に浸透している、前述の取り組み①・②と伴走型相談支援に加え、「出産・子育て応援ギフト」で、現金とスターライトマネーによる経済的支援が生まれました。出産・子育て応援ギフトの概要は次の通りです。
1.妊娠届出時の面談実施後に支給
はぐくみ出産応援ギフトとして、スターライトマネー(電子商品券)5万2500円分、または現金5万円を支給。
2.出生届出後(赤ちゃんの訪問面談後)に支給
はぐくみ子育て応援ギフトとして、スターライトマネー(電子商品券)5万2500円分、または現金5万円を支給。
いずれもスターライトマネー(電子商品券)を選択すると、インセンティブとして現金5%を上乗せしています。また、子育て関連への利用を促す観点から、子育て関連商品・サービス取扱店舗一覧(店舗ホームページの二次元コード付き)チラシを作成し、地元での購買を誘導しています。実際に、5割くらいの方に、現金ではなくスターライトマネーの方を選択いただいている状況です。
以下が、告知用のチラシです。
参加者との質疑応答(一部抜粋・敬称略)
Q:現金給付以外の実施方法について悩んでいます。現金とクーポン券のメリット・デメリット、注意点などのアドバイスをお願いします。
A:西澤 当市の出産・子育て応援ギフトの、要綱や支払いの作り込みとして、補助金ではなく交付金を採用しています。補助金の場合、交付決定通知を送らなければならないため事務作業が増えるなど、制約が発生します。ここが一つのポイントだと思います。スターライトマネーは幸いなことに、既存システムと抱き合わせで事業をスタートさせられる環境が整っていました。市内1,000店舗ほどで利用できるので、それが実現できたと考えます。
Q:妊婦さんとは、どのような面接を行っていますか。特に妊娠8カ月時点の面接で工夫されていることや、オンライン返信を活用して工数が減った点などについてアドバイスをお願いします。
A:西澤 妊娠届け出時は、従来、全ての妊婦さんと面談を行っています。そのため、事業スタートにあたっての抵抗感は特にありませんでした。出産後も全戸訪問していましたので、こちらも従来通りの取り扱いでした。この事業においては、妊娠8カ月でのアプローチを求められ、新たに取り組み始めたところです。
A:長田 妊娠8カ月時点でのアンケートはオンラインで回答できるよう、二次元コードを印字したものを郵送しています。その中で、フォローの必要な方や面接を希望する方には、電話や面談でフォローしています。8カ月アンケートの良かった点は、回答者に「はぐくみ子育て応援ギフト」をプレゼントする条件を組み込んだことで、90%以上の回答率となっています。残りの10%は、日本語が読めなかった外国人ではないかと思われますので、現在、英語やタイ語など、外国語バージョンのアンケートを作成しているところです。
二次元コードを読み取れない方には、紙ベースのものを郵送できる用意はしていますが、まだ1件も紙申請はありません。また、妊娠8カ月頃は里帰りしている方も多いため、市のホームページにもアンケートの回答への入口をつくっています。
大阪狭山市が取り組む「出産・子育て応援交付金事業」事例紹介
<講師>
大阪府大阪狭山市 こども政策部
子育て支援グループ課長:井上 知久さん
同主幹:内田 明日香さん
「保健センター」と「子育て支援グループ」で役割分担
大阪狭山市は、非常にコンパクトな市です。事業の実施については、母子保健のセクションが主体となっている自治体が多いと思いますが、当市では令和4年度以降に出産された方や妊娠された方への遡及(そきゅう)分の給付を少しでも早く行うため、給付金支給事務と伴走型の相談業務を分け、互いに連携しながら実施するという結論に至りました。
妊産婦に寄り添って相談支援を行っていく部分については、健康福祉部の健康推進グループの保健センターが担当。給付の部分、相談後のギフトの支給については、こども政策部子育て支援グループが担当しました。
当市では妊娠の届け出について、保健センター、市役所、連絡所の3カ所で母子健康手帳を交付しています。保健センターには助産師や保健師などの専門職が配置されているので、妊娠の届け出を出しに来られた際、専門職が直接面談できます。一方、市役所および連絡所には専門職が配置されていませんので、全妊婦の困り事を把握することが難しい状況でした。
平成27年度から妊娠出産包括支援事業を開始し、妊娠届出等の機会を活用して助産師による面談を実施。妊娠中や出産についての不安の解消、産後育児のイメージ作りなどの手助けをすることが目的ですが、こちらについても妊娠届のときと同様に、面談ができるのは保健センターのみです。市役所や連絡所に妊娠届を出された方は、母子健康手帳をすでに受け取っているので、改めて保健センターで面談するという点に難しさがありました。
妊婦の全数面談をめざしてプレゼント等を準備
全妊婦さんと面談する機会をつくるために、育児パッケージのプレゼントや、平成28年度からは妊産婦にタクシーチケットのプレゼントを開始。育児パッケージ(肌着、カバーオール、ガーゼのバスタオル)は、出産後のお母さん方から「すぐ使えるもので良かった」との声をいただいています。
タクシーチケットは初乗り運賃分を補助するものです。こちらも、「健診や予防接種のときに使っています」との声をいただきました。
これらを活用した結果、面談までつながったのが平成27年度75%、2年度目以降になると、約9割に配付できました。残りの約1割は、平日で仕事が休めないなどの理由があり、産後の「こんにちは赤ちゃん訪問」のときにお渡ししています。
プレゼントを活用したことで、妊娠の届け出をする場所にも変化が見られるようになりました。以下のグラフのように、育児パッケージ事業をスタートする前は7割近くが市役所本庁舎で妊娠の届け出を提出し、保健センターは2割少々でした。その後、徐々に周知が浸透し、保健センターに届け出する人が増加。令和元年度には半数を超えました。
今回、出産子育て応援事業が始まり、伴走型相談支援と経済的支援をそれぞれの担当課で分担・協力して実施することになりました。妊娠期から関わることで「保健センターは相談できる場所」との認識が広がり始め、さらに伴走型相談支援によって、保健センターには関心のなかった層にも浸透してきたと感じています。
子育て支援グループが担当することで給付が迅速に
給付事務は、子育て支援グループで行っています。母子保健の健康推進グループが行うよりも、給付事務に関する手続きが迅速に進められるようになったと感じています。
また、市民への周知は、ホームページに加え当市の子育て情報アプリも活用しています。電算システムの構築に関わる委託業務、口座振り込み関係などの契約事務、支給に関わる市の要綱作成など、通常の業務に加え子育て支援グループの担当職員が頑張ってくれたため、今年の1月から事業の実施を始めることができました。
まず、遡及(そきゅう)給付の対象となる「出産・子育て応援ギフト」を取り急ぎ進めようということで、1月後半に315名の対象者に案内を発送。
4月7日の時点で306人、約97・1%が申請の受け付けを完了したほか、昨年12月末までに妊娠届を出された方が対象の出産応援ギフトについては、職員の業務負荷を考えて1週間ずらし、同日時点で242人、約92・4%の申請受け付けを完了しています。
通常の出産応援ギフトについては、年明けから受け付けを開始し、面談後、子育て支援グループ宛てに申請書を返送してもらっています。子育て応援ギフトについても同様に、1月の初旬からこんにちは赤ちゃん訪問での面談の後に申請書類等を渡して、こちらも同じグループへ返送して返送してもらっています。
これまでの給付金事務のノウハウにより、振り込みはシステム任せにすることなく、複数人による口座の確認や、金融機関・庁内関係部署との調整も含め、慎重かつスムーズに行っています。ただ、子育て支援のセクションは慢性的にマンパワーが不足し、何かと業務も増えていく中で、この給付金事務は少なからず、担当職員には負荷をかけている状況ではあります。今後は現金での給付を、ギフト方式にいかに切りかえていくかというところが大きな課題であり、方策を検討していく必要があると思っています。
出産・子育て応援交付金事業のデジタル化について
~郵送・電話を「SMS」に切り替えコスト&業務量削減~
<講師>
株式会社ジチタイワークス
ビジネス開発部長:種子田 宗希
※メディア4u社実績にもとづく。圏外や電源オフ、着信拒否による受信不可やSMS受信不可端末などを除いた到達率の目安
子育て応援交付金業務デジタル化の概要
色々なことに取り組みたいが人手が足りない、デジタル化を推進しなければならないなど、自治体ごとに様々な課題があるようです。その悩みを解決する一つのアプローチとして「ジチタイSMS」があり、複数の自治体の子育て部門で導入が決まっています。スマートフォンで送れるメッセージを活用し、住民の利便性向上と職員負担の軽減を両立できるサービスです。
例えば、アンケートや面談日のリマインド、申請が滞っている方への催促連絡など、様々な用途で使用できます。その結果、職員負担は軽減され、子育て中のお母さんもデジタルに慣れた世代なので、受け入れてもらいやすいと思います。
SMSを子育て交付金業務に取り入れた場合、まず、母子手帳交付時や出生届受付時などに妊婦さんの携帯電話番号を取得し、その番号宛てにメールを一斉送信します。出生数が1000人いる場合でも一斉送信できますし、電子アンケートのURLを送ったり、重要な交付決定の通知などを送ったりすることもできます。
それらの取り組みついて導入自治体では、ホームページなどでSMSが届くことを告知し、周知を図っています。SMSは発信者の電話番号が通知されるので、電話番号を検索してもらえば、子育てセンターや保健センターからの案内ということが分かり、安心して確認してもらえます。
ジチタイSMSの特徴について
SMSが支持されている理由の一つは、従来の連絡手段のみでは住民との接点がもちづらくなっているという時代背景があります。知らない番号からの電話は取らない、郵送しても毎日はポストを確認しないという方が増えているのです。自治体のアプリがあっても、インストールしない方もいます。出産のため里帰りする方も多いので、「必要なときに本人に連絡できない」、「情報が伝わらない」というのが、自治体の悩みでもあります。
それらを解決するための手段として、SMSが改めて注目されているわけです。特にアプリを持っていない自治体の場合、電話か郵送だけのアプローチよりも、SMSで連絡をして折り返しが受信できるツールを持っておくだけで、業務の効率化に繫がるのではないかと考えています。
「ジチタイSMS」の特徴は下記の3つです。
(1)圧倒的なカバー率!携帯電話番号さえ分かれば簡単配信
(2)郵送や電話等の連絡手段より安価、送信成功時のみ課金
(3)到達率99%※以上!視認性・着眼率が高く費用対効果大、効果測定も可能
※メディア4u社実績にもとづく。圏外や電源オフ、着信拒否による受信不可やSMS受信不可端末などを除いた到達率の目安
そして、「SMS活用」のメリットは下記の3つです。
(1)印刷物作成と発送・架電など人的工数の削減
(2)印刷&郵送費などのコスト削減
(3)業務スピードの加速やペーパーレス化/DX推進など
SMSが最も多く活用されているのは、納税分野です。下記の図は、これまで電話を使っていた滞納者へのアプローチを、費用対効果の高い「SMS」に変更した場合のフローイメージです。安くて見られやすいSMSを導入することで、その後の文書費用や電話する手間、訪問する手間が減っています。
子育て交付金における導入事例
「ジチタイSMS」を導入していただいている自治体に導入の背景を尋ねたところ、下記のような回答がありました。
・ 交付金事業開始にあたり、プッシュ型の情報発信の実施が推奨されていた
・ チラシやホームページでの発信は、情報取得のタイミングを逃す可能性がある
・ 個別リーチ数を把握することができず、効果を検証することができない
また、最終的に「ジチタイSMS」を選んだ理由としては、下記の回答がありました。
・ 必要な情報を、リアルタイムで必要な対象者に提供できる
・ プッシュ通知なので情報が届きやすく、市のHPへの誘導など多くの情報を提供できる
・ チラシから二次元コードを読み取るなどの手間なくワンクリックで情報が到達する
・ 印刷の手間と経費削減/事務作業の効率化が図れる
・ 受信者ごとにクリック数やクリック日時を把握できるので、きめ細かい対応が可能になる
・ 一方的な発信だけだった行政情報が、どの程度届いているか検証が可能となる
ジチタイSMSの月額送信費用は、何通送るかによって料金が変動しますが、伴走型相談支援枠組みの対象になるため、郵送より安価になる部分があるのではないかと思います。ジチタイSMSのシステム導入費をこども家庭庁に確認したところ(※2023年4月末時点)、補助は10/10ですので、ぜひご検討ください。
また、同庁にヒアリングしたところ、正式な発表ではないものの令和5年度の次の上期申請分にシステム導入費をあげないと、下期以降は対象にならないようです。システム導入にあたり、自治体側が準備することは全くありません。さらに、500人分のお母さんにメッセージを送ることができる無料トライアルも用意しています。ぜひご検討ください。
【お問合せ先】
株式会社ジチタイワークス
電話番号・HPリンクからお気軽にお問い合わせください。
(TEL)092-716-1480
(HP)https://sms.jichitai.works/
伴走型支援に活用!子育て冊子の無料発行について
<講師>
株式会社ジチタイアド
地方協創事業部:田口 拓弥
住民と自治体にとって有用な情報冊子を無料で発行
ホープの子会社であるジチタイアドは、「SMART RESOURCEサービス」、「SMART CREATIONサービス」という2つのサービスを通じて、自治体の資産を利活用し、財源を確保していただく取り組みを推進しています。当社の実績は下記の通りです。
・自治体契約案件数は、1年間で約800件以上
・広告事業で累計約94.7億円の財源確保
・年間約3,700件の自治体広告の1次審査を社内で実施
この実績を踏まえ、本日はSMART CREATIONサービスの「マチレット」について紹介します。住民への情報発信に際して、自治体が担うべき役割は大きく3つ挙げられます。
(1)時流に合わせた
(2)漏れなく
(3)分かりやすい
自治体の力だけで、この3つを「できるだけ低コスト」で実現させるのは、なかなか難しいことだと思われます。SMART CREATIONサービス マチレットが手がけるのは、自治体の情報発信のお手伝いです。住民・自治体にとってより便利な情報冊子を、無料で協働発行する事業です。
具体的には、自治体と我々とで協定を締結し、冊子を発行します。その冊子の中に地元企業の広告枠が設けられていますが、その広告掲載費を冊子の印刷代や製本代に充て、完全無料で納品ができるという仕組みです。「子育て」、「空き家」、「マイナンバー」、「エンディングノート」、「お悔やみハンドブック」など、様々なジャンルの冊子を発行していますが、本日は子育て情報冊子に特化した話をしたいと思います。
子育て情報冊子の協働発行実績数は、令和5年2月時点で320自治体です。全国約1,900自治体の中の、「市」の単位の自治体と協働発行を重ねています。
厚生労働省が示す「伴走型相談支援」の方向性
そもそも、なぜ今、この子育て冊子が必要とされているのでしょうか。国の方針として、厚生労働省が昨年「出産子育て交付金制度」を提示しました。下記の図をご覧ください。
妊娠初期から育児期まで、自治体はお母さん方と伴走すべきだという内容です。お母さん方が出産や子育てに不安を抱かないよう、自治体が定期的に接点を設け、継続的に情報発信や適切な支援を行っていきましょう、それぞれに必要な支援メニューにつないでいきましょう…といったことが求められています。
上の図に★マークが入っていますが、ここの★が意味するのは「面談」です。このタイミングで子育てガイドを使って、妊婦さんやお母さん方としっかり面談して、定期的な情報発信を行っていきましょうという内容が、公労省の資料で明確に示されています。子育てに関して、どこに気をつけるべきなのか、困ったときはどこに相談したらよいのかといった悩みは、お母さん方にとってはつきものです。そういった流れを、お母さん方と共に確認するツールとして、子育てガイドブックが注目されているというわけです。
出産や子育ての不安感を払拭(ふっしょく)するための冊子を協働発行
こうした方向性を厚労省が掲げてはいるものの、「現在発行している冊子は市の予算を使っている」、「モノクロ刷のものしか出していない」、「そもそも冊子がなく、複数のチラシをバラバラ配布しているのが実情」などの状況で困っている自治体は多いと思います。
そのような状況の自治体は、子育て冊子の制作を我々に任せていただくことで、抱えている「負」の部分を解消することが可能となるはずです。そして何よりも、情報を受け取るお母さん・お父さん方が、情報が見やすく分かりやすいと感じることにつながると考えています。
モノクロだったものが、こういう明るいイメージに変わります。20以上のコンテンツを用意しているので、その中から選ぶだけで、バラバラに配布していたチラシなどが生まれ変わります。チラシのデータを提供いただければ、当社のデザイナーが編集して生まれ変わらせることも可能です。お母さん方にとって、見やすく分かりやすい冊子が手に入るということです。
基本仕様と導入スケジュールは、下記を参照ください。発行できる自治体の数に限りがありますので、もしご興味がある場合は早めにご相談ください。申し込み締め切りは7月末ですが、早めにお声がけをいただければ優先的に対応させていただきます。
参加者との質疑応答 ※「よくある質問」から抜粋
Q:本当に無料ですか。
A:基本的に、人口5万人以上の自治体であれば無料協働発行の検討が可能です。それ以外の自治体についても、状況次第で受けられるサービスが変わってきますので、気軽にご相談ください。
Q:広告募集はどのように行いますか。
A:広告募集は全て当社が行います。各自治体に商圏のある、子育て関連サービスの提供企業を中心に当社が提案しますので、ご安心ください。
伊達市が取り組む「妊娠期からの切れ目のない支援 そして親子が 笑顔になる架け橋」事業紹介
<講師>
福島県伊達市 こども部ネウボラ推進課
係長:村田 桂さん
伊達市版ネウボラ事業の概要について
当市が「伊達市版ネウボラ事業」を開始したのは平成29年4月で、同年、子育て世代包括支援センター「にこにこ」をオープン。
伊達市版ネウボラの組織体制は「妊娠期から切れ目のない支援、そして親子が笑顔になる架け橋」との事業コンセプトを掲げ、「寄り添う支援」と「保健・福祉・教育の一体的支援」を支援の2本柱としています。
伊達市版ネウボラ事業の7つの取り組み
伊達市版ネウボラ事業は、以下の7つの取り組みを推進しています。
まず、①については、令和3年度からネウボラ推進課に、事業全体のマネジメントを行う保健師を配置。健康推進課所属のネウボラ保健師は、妊娠届時に来た妊婦さんに全数面談を実施し、原則として同じ保健師が、継続的な支援を行います。また、ネウボラ保健師は担当専用の携帯電話を持ち、妊娠届け出時に携帯電話を登録してもらっています。母子手帳に入るサイズの名刺も渡し、何かあれば妊婦さん・お母さんが連絡しやすいようにしています。
次に②は、全妊婦さんに育児パッケージを贈り、第2子以降も内容を変えた育児パッケージを準備しています。そして、妊婦さんが産休に入る頃に、担当のネウボラ保健師か相談員が自宅を訪問しています。面談では、妊娠の経過や育児に対する不安の有無、支援者の状況などを聞きながら、一緒に計画を立てています。この取り組みが、伴走型支援の妊娠8カ月からの面談と合致しているところです。
③は、産後の育児不安の強い時期、助産師などがきめ細やかに支援する取り組みです。ネウボラ保健師は、出産を確認したらすぐに、お母さんの携帯へ応援メッセージとして電話をし、産後のスケジュールについて計画を立てます。
④については、ネウボラ保健師が全戸訪問を行うほか、相談員や助産師、栄養士などが、訪問や携帯電話による相談や、健診・相談会などの声かけをします。相談員には “近所のおばちゃん”のスタイルで声かけをしてもらい、そこから産後のサポートや、必要に応じて保健師やほかの子育て機関につなぐ役割も担ってもらっています。また、メンタル支援を実施するため、本年度は公認心理師を1名任用しました。
⑤と⑥は、遊びの教室や子育て支援センターでの交流についてお声かけをしています。そのほか、「子育てって大変だけど楽しい」と、感じてもらえるような仕組みも取り入れているところです。
⑦は、伊達市版ネウボラを推進する上で重要な、関係機関のネットワーク構築です。まずは、健康推進課を主管課として児童福祉部門にも併任辞令を発令し、両課で関わる体制を整えました。月1回は定例会を開き、子育て支援について話し合ったことで、よりよい連携を進めるのに大変役立ちました。令和2年度の終盤頃からは学校教育課を新たに加え、それぞれの部署の思いや課題が少しずつ分かってきました。令和3年度から「教育委員会こども部所属」となり、教育部局の中でネットワーク化が進めやすくなったと感じています。
また、ネウボラ推進課内にこども家庭総合支援拠点を立ち上げたので、子育て家庭のリスクに応じた支援の構築が今後の課題になっています。
今後の伊達市版ネウボラ事業のあり方
伊達市版ネウボラ事業は、子どもが心身ともにしっかりと育つよう、取り巻く環境それぞれの支援を充実させ、保健・福祉・教育の関係機関が課題を共有し、共通の支援方法に向かって施策を構築することを方針としています。今後、妊娠期~18歳までの母子保健と児童福祉の一体的な支援を提供する「こども家庭センター」の設立と、子育て家庭への支援をマネジメントする統括支援員の配置、情報の共有と連携・協力体制を構築し、専門職の個別支援の質を維持していきます。
ネウボラ推進係が主となり、 保健・福祉・教育が連携した「全庁横断的な子育て支援の推進」、企業等も巻き込んだ「父親等の育児参加の促進」、「子育てを見守る地域づくりの推進」なども、今後の重点施策です。