高齢化社会が進み、各地でますます介護職の職員の需要が増しています。
愛知県春日井市役所の介護・高齢福祉課は、地域にある介護施設の職員から「人材が足りない」「教育してもすぐに辞めてしまう」などの課題があると聞き、対策に乗り出しました。
若い世代に介護職への興味を持ってもらうため、平成29(2017)年11月から介護業務に携わる職員のインタビュー記事「介護ラブレター」を制作し、公開したのです。
※下記はジチタイワークスVol.2(2018年6月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 愛知県春日井市
大切なのは職員のモチベーション
この介護ラブレターの事業構想ができあがったのが平成29年2月。その後半年をかけ、一般社団法人春日井市介護保険居宅・施設事業者連絡会で事業について説明し、事業所の代表理事や職員の理解を得てきました。
発行は1~2カ月に1度のペースで、毎回、高齢福祉課の担当者が介護施設で働く主に20代から30代の職員を1人にインタビューをしています。取材時に大切にしているのは、対象となる介護職員の、仕事に対するモチベーションを上げること。
仕事でのやりがいや、介護職に就いたきっかけ、オンオフを切り替えるための趣味を必ず聞いています。インタビュー対象者は自らの仕事を振り返り、「長く働きたい」と気持ちを新たにする機会となっているそうです。
市の職員自らインタビューをして制作
制作にはワードを使い、市の関連施設のパンフレットを参考に職員自らが執筆・撮影・デザインを手がけています。完成した記事は各福祉施設や介護関連の専門学校に掲示。若い世代の利用率が高いFacebookやInstagramでも公開しています。
また、普段介護に関わりのない人たちにも興味を持ってもらえるように、JR春日井駅の電子広告も利用。開始後は就職希望の問い合わせが数件あり、介護施設の離職者は報告されていません。就職率アップ・離職率低下に効果が出ています。
さらに、取材対象となった職員に、所属する事業所の理事長から記事の感想やメッセージが届くこともあり、職員の刺激になっているとのことです。
自治体が介護職員の就職を後押しすることは珍しく、県外の事業所や自治体からも反響が寄せられています。今後は、カラーポスターの作成や動画版の制作も考えています。
介護・高齢福祉課職員が執筆・デザインも担当する