ジチタイワークス

東京都

ニーズにもとづくオープンデータの公開で、住民サービスの質を上げる。

都政のQOS(クオリティ・オブ・サービス)向上を目指し、“オープンデータの徹底活用”に取り組む東京都。民間との意見交換やイベントなどを積極的に実施中だという。官民協働によるオープンデータ活用推進のヒントを探る。

※下記はジチタイワークスVol.25(2023年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

官民協働の機会をつくり、ニーズやアイデアを収集する。

デジタル庁の調査によると、全自治体の約74%※が、何らかの形でオープンデータを公開している。ただ、何のデータをどんな形式で公開するかの判断は各自治体に委ねられており、具体的な活用につながらないケースも少なくはないようだ。

そうした中で都は、平成28年度にオープンデータカタログサイトを開設し、それを活用したアプリコンテストやアイデア募集を継続的に実施してきた。令和3年3月には「シン・トセイ 都政の構造改革QRSアップグレード戦略」を策定。そのコアプロジェクトの一つに“オープンデータ徹底活用”を位置付けている。

担当の伊藤さんは、「データに関するニーズの把握と、それにもとづくデータ公開を通じて、都政QRSの継続的な向上を目指しています」と語る。「ニーズ把握の活動としては、民間企業などから意見を直接聴取する“ラウンドテーブル”という会議を開催しています。過去のラウンドテーブルでは、史跡データが観光・教育分野ばかりでなく、防災分野でも活用できそうだという議論につながりました。また、デジタルサービスの開発を行うハッカソンを“都知事杯”として実施。都民や学生から多くの提案をいただいています」。

庁内全体の意識を高めて、QRS向上の好循環を目指す。

これまでの取り組みの結果、昼食に困っている人たちとキッチンカーのマッチング、AI分析によるごみの分別法、発熱外来病院の検索など、多種多様なサービスでオープンデータが活用されているという。これまで行政だけでは対応しきれなかったきめ細かなサービスの提供が、官民協働によるデータ活用で実現しつつあるようだ。

「令和5年度は従来の活動に加え、シビックテック推進に向けたコミュニティ構築にも力を入れていきます。また、ハッカソンの実装サービスで使われたデータについて、区市町村にも公開してもらえるよう支援していく予定です」。

今後のさらなるオープンデータ活用推進には、「データを所管する各局職員の取り組みが欠かせない」と吉成さんは強調する。「ハッカソンなどを通じ、様々な発想や視点で多くのサービス案が集まっています。それらのニーズを職員が知ることで、データ公開がより一層進み、新たなサービスが生まれていく。そうした好循環を創出していきたいと考えています」。


多彩な利活用事例を、東京都オープンデータカタログサイトでチェック!

 

東京都 デジタルサービス局
デジタルサービス推進課 
データ利活用担当
右:担当課長 吉成 恵子(よしなり けいこ)さん
左:課長代理 伊藤 千志(いとう ちゆき)さん

※デジタル庁「地方公共団体におけるオープンデータの取組状況:令和5年1月30日時点」より

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