ジチタイワークス

手段が目的となっていませんか。自治体におけるデジタル化の課題。

読者投稿ページは、自治体職員が日々の業務や活動している内容を発表・共有できる場です。読者自ら執筆した原稿の中から、編集室が選出した記事を、ジチタイワークスWEBで公開させていただきます。

ぜひ、皆さんの自治体職員としての経験や取り組みを、編集室にお届けください。

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● 投稿者(自治体職員)プロフィール

テーマジャンル : DX推進
ペンネーム : soloさん(30代)
所属部門 : デジタル戦略室

 

自治体のデジタル化は“中身”より“インパクト”が重要!?

私は、複数の基礎自治体で、RPA(Robotic Process Automation:ロボットを使った業務の自動化)の導入や運用担当を経験しました。あるRPAツールの有資格者でもあります。その業務を通じて感じたことをシェアさせていただきます。

令和に入ったころから、RPAに対する地方財政措置が行われるようになり、私の所属してきた自治体でもRPAツールが導入されることになりました。その頃、幹部職員と話をする機会があったのですが、その際、次のように言われました。

「来年度はRPAを導入する!正直どんなものか分からんけどな!」
デジタル化やシステム導入は、課題や政策目標を達成するために行うべきものなのに、「中身(目的)よりも、導入すること自体のインパクトを重要だと考えているのか……」と、残念に思いました。

 

RPAによる業務時間削減の“うたい文句”と、適切に使われていない“実情”のギャップ。

私が現職でRPAの担当を始めた頃も、パフォーマンスのために導入されたため、業務削減が出ていないものや、放置されているもの(野良ロボット)が散見されました。

例えば、年間50時間削減をうたった支出命令書の作成ロボットの操作が浸透せずに使われていなかったり、IEサポート終了前にIEベースでロボットを作成したため、機能していないものがあったり……。こういった問題に対応するため、私はそれまでの情報部門担当者が行ってこなかった「RPA利用に関する相談」や「技術的支援」に取り組むことにしました。 

職場でRPAロボットを導入した場合、「○○時間削減できるはず」と導入の実績見込みだけを掲げる方がいらっしゃいます。その一方で、私のように、「実際に使うことができて、効果もある」と感じてもらうことを第一優先に、使い方に関する相談や、技術的支援に尽力する人もいます。 後者は目立たず泥臭い仕事ですが、このような取り組みを理解してくれる職員が増えたらいいなと考えています。

 

中身のないシステム導入は、分かる人には分かるものです。

私は最近、自治体のシステム導入の実態について尋ねられることが増えました。その中で、大手企業の営業の方と話した際、次のように言われたのが印象的でした。

「自治体の方は、目的の前にRPAなどのシステム名が出てくることが多いです。自治体の方の多くは『手段が目的化』しているので、モノありきでシステム導入を考えられる方が多いですね」。

この言葉は、自治体の現状を端的に表現した言葉だと感じています。 まずは、組織としての課題解決をするという目的を意識して、システム導入やデジタル化を進めていくという姿勢を浸透していかなければなりません。

住民の方々に訴えかけるインパクトやパフォーマンスも大切ですが、それと同時に、導入目的などの説明責任を負っています。そして、自治体DXに対応し推進していくためにも、職員や住民が楽に使えて、シンプルだと感じられるようなシステム導入を行っていくべきではないかと思います。

 

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