ジチタイワークス

兵庫県神戸市

教育環境の改善に効果を生んだ神戸市の“学校・園限定”包括管理。

公共施設の老朽化対策は自治体の共通課題だろう。中でも小・中学校や幼稚園は、子どもたちの安全や学びの場を守るという面でも優先度が高い。これらの対応策として、神戸市では学校・園に限定した包括管理の導入で一歩を踏み出したという。

※下記はジチタイワークスVol.24(2023年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]日本管財株式会社

不具合対応や保守管理業務の煩雑さから教職員を解放する。

全国の公共施設の約4割を占める“学校”※。その多くで老朽化が進んでおり、同市も課題を抱えていた。近藤さんは「市が管理する学校・園は約300あります。そのうち築40年を経過しているものが約6割。修繕件数も年々増加傾向にあり、現場の教職員は疲弊していました」と振り返る。

施設に問題が起きた場合、まず学校から市内事業者への連絡・見積もり合わせが必要になる。その後、見積もりをもとに教育委員会事務局へ修繕依頼を出し、事務局側から発注をするという流れになる。この手間が教職員にとって負担だったという。

「水漏れや天井ボードの落下など、突発的に発生する多様な不具合には都度対応が必要です。事務局職員も、修繕業務の発注や支払いだけでなく、保守点検における業務単位での発注や個別管理をしなければならないため、これらの煩雑な作業負担に対する対策も必要でした」。

また、同市は「学校施設長寿命化計画」を策定しており、これに沿って進めるためにもマンパワーを確保したいという思いがあった。これを踏まえ、今後、学校施設をより安全・安心な教育環境にするとともに、効率的・効果的な維持管理を行っていくため、学校・園への包括管理導入を決定した。

※文部科学省「平成30年4月公立学校施設における計画策定について」より

学校限定に加えて区域も分割!独自の最適化による包括管理。

導入にあたり、まずは他自治体へのヒアリングと市内事業者へのサウンディング調査を開始。課題解決に向け動き出した。このサウンディングでは、対象施設300のうち半分であれば受託できるという声が多かったという。そのため、市内を東西に分け、それぞれ別の包括事業者に委託することに。

学校現場の視点も含め慎重に議論を重ねた結果、東部区域は「日本管財」を含む共同事業体、西部区域はもう1社が選定された。その後、各学校や市内事業者に対する説明会も実施。「特に学校側から歓迎の声が上がりました」と近藤さん。

こうして、令和4年から本格運用を開始。両区域に管理センターを設け、まずは試行実施として、修繕のみから始めた。3月には各管理センター内に電話窓口を設置し、連絡・問い合わせ先を集約。4月からは保守点検業務も開始するなど、段階的に業務を拡大していったという。

包括事業者との連携を密にし学校現場で大きな効果を生む。

同市と包括事業者は定期的な会議の場を設け、業務報告や修繕方針などについて協議している。「導入後、各学校・園へはおおむね2カ月に1回のペースで施設巡回を実施するなど、これまで以上にきめ細かな対応を行っています。前年比で修繕件数は約2倍になりましたが、費用は抑えられています」。また、人員削減効果もあらわれているそうで、「事務作業も大きく減って、現在はコア業務に注力できる体制づくりを目指し、試行錯誤しているところです」。

学校側からは、トラブル発生時の連絡も管理センターへの電話1本で済み、現場作業を担う市内事業者の対応も迅速であることが喜ばれているという。

近藤さんは「24時間365日、トラブルに対応してもらえることも含め、メリットは大きい」と包括管理を評価する。「今後は学校・園へのアンケートを実施して、分析結果を事業者にもフィードバックしながら、子どもたちにとって、より安全・安心な環境を提供すべく取り組んでいきたいと考えています。他自治体からの問い合わせも増えており、解決に向けた選択肢の一つとして包括管理を検討してみる価値はあると思います」。

神戸市 教育委員会事務局
学校支援部 学校環境整備課 課長
近藤 仁憲(こんどう まさのり)さん

学校・園と自治体の事務負担を軽減しプロが施設を見守る安心感を得る!

公共施設管理の手段として近年注目度が高まっている“包括管理”。自治体それぞれの事情に合わせた形での導入で、地域課題の解決に貢献する。

-包括管理導入で得られるメリット-

1.事務作業の削減でコア業務へ注力

施設管理を一括で委託することで、学校側は見積もり合わせ、修繕への立ち会いなどの事務負担が軽減。事務局側も、業務の効率化により人員を削減しつつ、長寿命化改良などの積極推進が可能に。

2.小規模修繕への対応を迅速化

不具合発生時の連絡や見積もり、問い合わせなどの窓口を集約することで、迅速な対応を可能に。24時間・365日稼働なので、緊急時にも安心感をもたらし、定期的な巡回により予防保全にもつながる。

3.プロの目で施設の管理水準が向上

教職員は施設や設備に詳しいわけではなく、事務局職員も修繕依頼の全てに対応することは難しい。専門性を有する民間事業者のノウハウを活用することで、施設の管理水準の向上を期待できる。

-事務局×包括事業者の連携を強化-

適正な業務の実施と効果・効率向上のため、定期的な会議を実施する。

連絡調整会議(月1回実施)
・事務局
・各包括事業者

施設巡回業務、保守点検・清掃業務、不具合通報などへの対応について共有。施設に問題が起きていないか現状を把握できる。

修繕実務者定例会議(月2回実施)
・事務局
・包括事業者/東
・包括事業者/西

修繕依頼のあったものについて、施設の状況を把握し執行の考え方などを擦り合わせ。月2回のうち1回は、両エリア合同で実施する。

全国各地の職員が集まる「公共FMサロン

公共施設管理(以下、公共FM※)に関わる職員が、まちの課題に対する活動や思いなどを共有。互いの知見を学び合うことで、公共FMの実践へとつなげるサロン。公共施設の未来をともに考える仲間づくりができる。

※FM=Facility Management

施設の価値をともに考え、ともに高める

日本管財は建物管理だけでなく、地域の人々の暮らしを豊かにし、まちに愛着を生み出すための活動に取り組んでいます。当社メッセージをCMでも発信していますので、ぜひご覧ください。

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