兵庫県神戸市は、平成31(2019)年度の採用試験から芸術やデザインの素養がある人材を確保するため「デザイン・クリエイティブ枠」を新設します。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.4(2019年1月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 兵庫県神戸市
約8カ月の協議を重ね、採用枠新設へ
地方都市にブランド力を求められる今、さまざまな政策を展開するために創造力が必要です。兵庫県神戸市では平成30(2018)年11月8日に、デザインや音楽などの芸術分野の素養を備えた人材の採用試験を実施すると発表しました。グローバルな見地から個性ある政策を展開していくため、従来の法律や経済、経営のみならず多様な人材を求めるための試みです。
平成30年(2018)年3月に「神戸市の人材確保方策に関する有識者会議」からの提言を踏まえ検討を開始しました。人事委員会事務局任用課の職員9人を中心に、まずは他都市の取り組みを調査するために電話やメールでヒアリング。芸術分野の素養を備えた人材に特化した採用枠は、政令指定都市では神戸市が初の試みとわかりました。並行して、庁内関連部署や市が委嘱する民間人材のクリエイティブディレクターとの意見交換、人事委員会での協議を重ね、約8カ月間かけて検討し、大学卒及び高専・短大卒区分に「デザイン・クリエイティブ枠」を新設することになりました。
芸術系の学生が公務員として活躍するチャンスを広げる
「デザイン・クリエイティブ枠」に採用されると、デザインに関する仕事などを専門に担うわけではなく、業務内容はあくまでも政策・企画・経済政策・広報・芸術文化・観光振興などをはじめ、幅広い行政事務全般に携わることになります。担当者は「デザインや芸術分野の素養がある感性や創造力にあふれた人材を受け入れ、まずは政策企画や市の広報活動などで業務を担ってもらいたい」と話します。
受験資格は、大卒で27歳以下、大学院修了者で29歳以下、高専・短大卒の場合は25歳以下。デザインや芸術分野において、大学などで専門的に学び、素養を身に付けてきた人を想定しています。1次試験には適性検査、論文、アピールシートの提出、2次試験には個別面接とグループワーク。3次試験にはプレゼンテーション試験と個別面接を実施します。公務員試験対策としての法律や経済などの勉強が必要ではないので、芸術系を学んできた学生にも市で活躍するチャンスを設けました。初年度は大学卒、短大・高専卒を合わせて5名程度採用予定です。