ジチタイワークス

和歌山県すさみ町

地産地消形態を維持しつつ“給食米のアップグレード”を実現!

子どもたちの健康と密接に関わっている学校給食。すさみ町は、子どもたちの健康増進と同時に、米のとぎ汁による水質汚染を防ぐ観点から、町内の小・中学校で提供する学校給食に、特殊な技術で精米した無洗米を導入した。

※下記はジチタイワークスVol.21(2022年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]東洋ライス株式会社

主食となる米に着目することで住民の医療費抑制を目指す。

住民1人当たりの医療費が、県の平均より高いという課題を抱えるすさみ町。特に、住民の高齢化率が47%を超えているため、糖尿病などの生活習慣病に関する医療費が、まちの財政をひっ迫させる一因になっているという。これまでにも、健康管理に関する様々な啓発活動を推進してきたが、ある野球選手が、がん療養期間を同町で過ごしたのが縁となり、「東洋ライス」が提供する「金芽米(きんめまい)」との接点が生まれた。岡本さん曰く、その選手は闘病中、栄養管理の一環で同社の「金芽ロウカット玄米」を主食としていたという。

「東洋ライスさんは県内に本社があり、そこから健康やSDGsに関する取り組みについてお話しする機会をもつようになりました。もともと学校給食に大きな課題を抱えていたわけではありませんでしたが、金芽米の活用で児童の健康やまち全体の健康の啓発、SDGsにも寄与できると感じ、学校給食に採用する話が本格的に進み始めました」と水上さんは導入の経緯を語る。

とぎ汁が出ない無洗米だから海の環境保護効果にも期待。

金芽米は、独自の技術で米のぬか層とでんぷん層との境目にある“亜糊粉層(あこふんそう)”を残した無洗米だ。通常の精米では削り取られる部分を残すことで、白米よりもビタミン類や食物繊維、オリゴ糖類などの栄養価やうま味成分が高いのだという。特殊なのは精米技術であり、米の産地や銘柄は問わないので、地元産の米を活用することができる。同町は、学校給食で用いる米の全量を町内の生産農家から購入していたが、その地産地消スタイルを維持できる点も、導入の決め手になったという。

また、米のとぎ汁が海水の富栄養化を引き起こし、ヘドロや赤潮の原因となることは以前から知られ、問題視されていたが、同町給食センターで調理する1日当たり200食超、年間では3,600kg以上の米を無洗米にすることで、海の環境保護にもつながると判断した。「米をとぐ作業が省略される分、異物混入リスクが低減するので、その点は給食センターにとってもうれしいポイントでした」。

さらに岡本さんは「太平洋に面する本町はカツオ漁で栄えてきたので、海の環境保護意識を強くもっています。学校給食への導入に合わせ、小・中学校の授業で無洗米のメリットを説明したところ、子どもたちも共感してくれたようです」と話す。教育委員会ではこの導入を機に、ESD※(持続可能な開発のための教育)にも力を入れていくそうだ。

※ESD=Education for Sustainable Development

給食用の米をきっかけにしてまち全体の健康意識を高める。

医療費抑制という大きな課題に向け、まず、給食用の米を替えた同町。「学校給食の内容は、保護者にとって関心の高いことの1つ。子どもたちの話を通じて保護者世代、さらに多くの住民の、健康や環境への関心が高まることを期待しています」と力を込める。

金芽米導入による健康効果を実証するには、数年がかりの検証が必要だろうが、「給食用の米の話題を通じて、町内全体の健康意識が高まったのは間違いないと思います。これを機に、生活全般における健康管理意識が高まれば、医療費抑制への大きな一歩となるでしょう」と未来を見据える。なお、同町は今後、外部講師を招いてのSDGs関連セミナーなども企画しているという。環境保護と健康の両面について住民の意識高揚を図り、健やかに暮らせるまちを目指していく。

すさみ町
左:教育委員会 教育総務課
岡本 温子(おかもと はるこ)さん
右:地域未来課
水上 力仁(みずかみ ちかと)さん

学校給食に金芽米を導入したことで子どもたちのSDGs意識も高まった。

金芽米は、通常精米だと削り取られる亜糊粉層を残した無洗米。栄養素やうま味が白米以上※で、とぎ汁が出ないことから環境負荷も低い。

※東洋ライス調べ

亜糊粉層を残す独自の精米技術

すさみ町が給食から目指すステップ

循環型農業の手助けも可能に

無洗米加工時に米から取り除いたとぎ汁のもと“肌ヌカ”は、有機質資材「米の精」として製品化されている。副産物が田んぼに返され、新たに健康な稲を育てるという循環が生まれる。

加工玄米(金芽米)の効果を研究中です

研究※により、加工玄米(金芽米)を継続摂取している「和歌山県すさみ町の小・中学生」と、加工玄米を未摂取の「神奈川県内の小・中学生」を比較したところ、前者の方が新型コロナウイルス感染率が低水準であることが示されています。

※令和4年5月「新型コロナウイルス流行による特殊な状況下での加工玄米食の影響」東京農業大学客員教授・東洋ライス代表取締役 雜賀慶二 学会資料にもとづく

お問い合わせ

サービス提供元企業:東洋ライス株式会社

銀座本社
TEL:03-3572-7550
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座5-10-13 東洋ライスビル

和歌山本社
TEL:073-471-3011
住所:〒640-8341 和歌山県和歌山市黒田12

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