ジチタイワークス

【大日方 明実さん】地域貢献と学びを得られる「副業」が職場にも好影響。

※下記はジチタイCLASS(2022年5月発行)から抜粋しており、記事は取材時のものです。
※誌面掲載のアンケートは、ジチタイワークス会員を対象に令和4年1月14日~2月7日に実施したものです

おびなた あけみ● 副業制度の運用を担当。退職後に「地域で何か活動できないか」と考えていた頃、副業の経験について「いきいき」と語る若手職員に影響を受ける。2021年6月から日本語教室の授業を補助する「交流員」として副業に取り組んでいる。

自治体職員の声
Q.公務員の副業の実態について現状と未来が知りたいです。

先生の答え
A.地域貢献と学びを得られる「副業」が職場にも好影響。

職員が「地域貢献」しながら学べる機会に。

―― 有償での副業を解禁したきっかけは何ですか?

長野県職員が有償の副業を行える制度は、平成30年9月から「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」としてスタートしました。これは「県職員が積極的に地域に出て活動する制度を検討してはどうか」という、知事からの投げ掛けを発端としています。長野県の総合5カ年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」では、「確かな暮らしが営まれる美しい信州〜学びと自治の力で拓く新時代〜」を基本目標に掲げています。ここでの「学び」には、県民だけでなく職員自身の学びも含まれています。「職員が地域社会に貢献しながら学べる制度を」と考えた結果、他市町村の副業の事例も参考にしつつ副業を制度化するに至りました。

有償の副業の制度化にあたっては、地方公務員法における公正性を担保するため、「地域に貢献する活動であること」「報酬額が妥当であること」などの要件を設け、さらに事前に職員から申請をしてもらい、審査の結果、問題がなければ副業を許可することにしました。副業の場で得た学びを職場にもち帰り、行政サービスに活かすことによって、職場の活性化や、さらなるサービスの向上につながると考えています。

 

幅広い分野で「スキル」を伸ばせる。

―― 具体的にどのような副業が行われていますか?

この制度では、副業の内容を「公益性が高く、地域や社会に貢献できる活動」に限定しています。例えば、医療や福祉に関するサービスやまちづくりの推進、観光振興、スポーツ振興などがこれにあたります。特定の営利企業のみの売上向上に寄与するような副業は認められません。

創設して以来、累計許可数は76件にのぼり、現在は29人の職員が取り組んでいます(令和4年3月時点)。活動の頻度などはまちまちで、報酬額も活動内容によって幅があります。これまで同制度で職員が行ってきた活動は、スキースクールのインストラクターや野球審判、英語通訳ガイド、村の景観保全活動など様々。

中でも、地域をPRする活動として若手職員のグループが長野の魅力をラップで発信するという取り組みは、地域外からも注目されました。私自身も、日本語教室の交流員として副業に取り組んでおり、「報酬を受け取ることでより責任感を強くもって地域に貢献できる」と感じています。

得意なことを活かしたり、庁内ではできない経験をしたりすることは、職員のスキル向上、それによる行政サービスの向上にも寄与するものと考えています(図1参照)。

 

積極的な参加者を増やしていきたい。

―― 副業の展望について教えてください。

全職員の人数に対して制度を利用している職員が少ないので、もっと制度を周知し、積極的に取り組む職員を増やすことを課題の1つに挙げています。すでに副業に取り組んでいる職員の多くは、動画の編集や情報発信など、「公務員にとって必要なのに身につけにくいスキル」を副業から活かしています。制度に参加する職員のいる部署では、周囲に良い影響を与え、職場の活性化にもつながっていると聞きます。

この活動の拡大は、深刻化する人手不足対策の貢献につながるなど、地域住民にとってもメリットのあるものです。令和4年3月には、職員がより積極的に制度を活用できるよう活動の具体例を明示し、要件を変更するとともに、従事可能時間の上限を設定しました。この変更点については同年4月から適用されています。要件などの変更により、例えば長野の特産品である農産物を生産する農業従事者のもと、農作業にも携われるようになりました。

職員が地域社会のニーズを捉えながら社会貢献に参加する機会を増やせるよう、都度内容を見直しながら継続していきたいと考えています。

 

 

実際に副業をしている人にインタビュー!

副業内容
農業生産組合の活動

青木 瑞季さん

長野県 北アルプス地域振興局
林務課

主な活動内容 山菜の収穫、農作物の栽培、草刈り
頻度 月1~2日/繁忙期は毎週末
いつ 基本的に土・日曜

小谷村(おたりむら)の「伊折農業生産組合」は、大学生の頃から関わりのあった組合です。卒業後も時折手伝いをしていたのですが、外部の立場から積極的に関わり合うことができませんでした。村の近隣にある事務所での勤務の決定を機に、移住を決意。すでに開始していた副業の制度を用いて、「もっと積極的に組合に貢献したい」という気持ちから活動を申請して今に至ります。組合に入り報酬を受け取ることで、組合側も気軽に仕事を依頼できるようになったようです。活動を通して皆さんと喜びを共有できること、公務は「皆さんのためにある」という意識を強くもてるようになったことなど、得られたものは数多くあります。職場で応援してもらえるのもうれしいです。

 

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