待機時間による医師のストレスと患者の病状悪化のリスク。都市部と地方での医療格差。2つの現状を軽減するため開発されたのが「Drs’HotLine®」だ。考案者である檜山和寛さんにインタビューした。
※下記はジチタイワークスVol.6(2019年6月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]MediTech株式会社
医療過疎地に風穴をあける
厚生労働省は本年度、「医療ICT化促進基金(仮称)」を創設する方針を固めた。24時間常に稼働している医療現場では業務の効率化が大きな課題であり、改善するためにはICTの導入が必要不可欠なのだ。MediTech株式会社の代表・檜山和寛さんも、日本の医療現場における問題を指摘する。「私自身、消化器外科医として約10年、多くの現場を見てきました。そこで感じたのは都市部と地域での医療格差。そこで考案したのが『Drs’ Hot Line®』だったのです」。
「Drs’ Hot Line®」は、患者の検査画像を転送できるiOSアプリだ。クラウドで管理が可能になるのは世界初。常に最新のデータをやりとりできるので、国境を越えて世界中で利用できる。そのため、過疎地域での導入を特に推進しているのだ。「医療過疎地ではできることが限られている。診療所をはじめ、大小さまざまな医療機関をこのシステムでつなぐことで、患者様への適切な処置をスピーディーに判断できるのです。
例えば緊急のヘリを飛ばすのには莫大な金額がかかるので、時間だけではなくコスト面もカットできます」(檜山さん)。すでに高知県中核病院を核とした診療所・中小病院群との連携に使われていて、重大な役割を担っている。また、今後は南部離島での導入が検討されているなど、活躍が見込まれる。
医師と患者の双方にメリットを
医療機関から所属医師へと画像を転送することもできる点も魅力だ。これまでは病院へ行かなければ見ることができなかった患者の検査画像を、個人のiPhoneでいつどこにいても確認できることで、医師の働き方改革の一助にもなっているのだ。これにより、夜間や緊急時の対応が迅速になり、医師の負担を軽減するだけではなく患者も無駄な待ち時間を減らすことが可能だと、檜山さんは話す。
さらに、医療機関同士の連携に使うことで、画像を転送したうえで患者を紹介することもできる。また、判断に不安がある場合に他の医師の見解をすぐに仰げるので誤診も防ぎやすいという。
まずは実証実験で確かな技術を体感
医療のICT化がなかなか進まない要因のひとつに個人情報の管理があげられるが、「Drs’ Hot Line®」のセキュリティは特許を取得した高度技術を用いているので安心だ。今後は、さらに使いやすさを追求するため、LINEやSMSなどを介したチャット機能もオプションとして整備していく。「デモンストレーションも可能なので、まずは実証実験として取り入れてほしい。使いやすさを実感していただけると思います」(檜山さん)。
MediTech株式会社の代表であり、自身も医師として活躍する檜山 和寛さん。
実証実験として導入する自治体募集公立病院と診療所群などでの活用を
現代医療の課題解決のきっかけになる「Drs’ Hot Line®」。実際にどのように連携ができるのか。また、患者の検査画像という繊細なデータを扱う点において、「安心」かつ「便利」だと謳う理由はどこにあるのかを紹介する。
ネット環境さえあれば画像確認が可能。操作は限りなく簡単に仕上げることで誰もがストレスなく利用できることを目指した。
「Drsʼ Hot Line®」のハード・ソフト面
①クラウドサービスで導入コストを削減
低価格で高品質なサービスを実現するため、ICT化には欠かせないクラウドサービスを用いている。データはすべてこれを介するので専用回線や専門機器が一切不要だ。また、中核病院を核とした診療所・中小病院群との連携では、ディスカウントしている。※1医療機関単位での契約は月額3~5万円(規模や登録ユーザー数によって異なる)
②事前登録制でセキュリティも万全
現時点でウイルスが確認されていないiPhoneのiOSアプリのみを使用し、ログインは事前登録制でユーザー制限を設けている。さらに2段階認証により不正使用などにあうリスクも低減。データは保存不可で、サーバーアップロード後12時間で自動的に完全抹消される仕組みだ。