花火大会などの大規模なイベントで発生する駐車場不足や、それに伴う渋滞、迷惑駐車で頭を悩ませる自治体は多いのではないだろうか。島原市では、空きスペースを駐車場に変えるサービスで課題解決を促進したという。担当者に話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.19(2022年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]軒先株式会社
当日の駐車場不足により、渋滞や迷惑駐車が続出した。
「島原温泉ガマダス花火大会」は、例年4万人の観客が訪れる夏の風物詩。およそ100もの露店が並び、大きなにぎわいを見せる。しかしその一方で、毎年課題になっていたのが駐車場不足だ。「会場近辺は駐車場を探す車で渋滞し、裏通りなどの迷惑駐車が後を絶ちませんでした」としまばら観光課の帯田さんは振り返る。
当然ながら地域住民からは不満の声が上がっており、解決法を模索していたという。そんな中で出合ったのが、「軒先」のシェア型駐車場サービス「軒先パーキング」だった。同サービスは、使っていない土地を有効活用したい住民や事業者と、外出先で確実に駐車したいドライバーをマッチングさせるシステムだ。仕組みはいたってシンプルで、駐車スペースの情報や写真をシステムに登録して、公開するだけ。貸主に初期費用は一切かからず、1日単位でも貸出可能。事前予約制のためドライバーも安心して外出でき、双方にとって好都合なシステムだ。「当時はまだ珍しいサービスでしたが、すでに10年近い実績をもっていた安心感が決め手となりました」。
島原市でのシェア型駐車場サービスの仕組み
貸し出し時の不安を拭い去る説明会の実施で貸主が増加!
サービス導入を決め、まず行ったのが貸主探しだ。広報紙で取り組みを紹介して貸主を募集し、住民説明会を開催。候補となる空きスペースを持つ住民や事業者を、同社の担当者とともに1軒ずつ訪問し、サービスの魅力を地道に伝えた。その際、貸主からよく聞かれたのは、“敷地内の建物を傷つけられないか”“ごみを捨てられるのでは”といった個人への貸し出しを不安視する内容だった。「利用者は予約時に名前や住所などを入力するので、身元が分かっていることを伝えると、皆さん不安がなくなったようです」。決済も予約時に完了するため、徴収し損ねる心配もない。不安が解消されると、貸主は着々と増えたのだという。
花火大会への来場者にも、大会ホームページで事前予約を呼び掛けて迎えた当日。登録された駐車場はほぼ稼働し、渋滞も緩和、ごみの放置も皆無だったという。「実は私自身も利用してみました。駐車場がなかったらどうしようと気にすることなく、時間ぴったりに現地に行き、スムーズに帰宅できて快適でした」と帯田さん。
シェアリングエコノミーの活用が地域活性化の促進につながる。
帯田さんがサービスのすごさを実感したポイントは、価格設定にあったという。近隣は、月極駐車場が3,000円台という立地。ところが当日、会場に近い場所では、強気ともとれる1日3,000円の設定でも予約が成立したのだ。「正直驚きました。後ろめたい気持ちで路上駐車していた方は、3,000円で堂々と確実に駐車できるなら、むしろ安いと考えるのかもしれません」。使っていないスペースが収益化し、“臨時収入”が得られた貸主からも、喜びの声が届いたという。
同市がサービス導入を決めたのは平成29年。着目したのは、全国に先駆けて平成28年に「シェアリングシティ宣言」を行い、シェアリングエコノミーサービス※の活用法を探っていたためだ。シティプロモーションを担当する村田さんも「地方創生のためには、遊休資産の活用は欠かせません。これからも企業の力を借り、地域の課題を解決していきたいです」と期待を寄せている。
全国的に人口減少の影響で、地域の遊休資産は増える一方だ。“シェア”の発想で有効活用すれば、まちの魅力向上につながるのではないだろうか。
※インターネットを介して、個人や企業が持つ資産を貸し借りする経済モデル
左:島原市 商工観光部
しまばら観光課 係長 帯田 綾子(おびた あやこ)さん
右:市長公室 シティプロモーション課
島原ふるさと創生本部 主査 村田 健太郎(むらた けんたろう)さん
空きスペースの活用で駐車場を確保し、さらに地域経済活性化にも寄与する。
多くの人が一斉に集まるイベント会場や観光地。シェア型駐車場サービスが、眠っているスペースの有効活用をサポートし、渋滞や迷惑駐車などの課題解決へ導く。
軒先パーキングの強み
1.遊休資産を活用し、地域の課題解決をサポート
土地は保有しているだけでもコストがかかる。同社ではシステムを通じて“貸したい人”と“借りたい人”をつなぎ、遊休資産を価値化。イベント時や観光シーズンに起こる渋滞や迷惑駐車など地域の課題を、持続可能な形で解決へと導く。
2.初期投資ゼロ!貸主に負担がかかりにくい
貸主は、空いたスペースをそのまま貸し出すだけ。看板や精算機、車止めなどの設備投資は不要で、登録料もかからない。住民や事業者に大きな負担を強いることなく、協力を呼び掛けることができる。
3.お出掛けのストレス解消で、地域活性化の促進に!
利用者の予約や決済は、全てオンラインで完結。また事前予約することで、駐車場探しにかかっていた時間やストレスが大幅軽減し、より快適なお出掛けが可能になる。アフターコロナの観光需要回復が見込まれる中、地域活性化の促進が期待できる。
他自治体での導入実績
導入実績 喜多方市
全長約3kmにわたってしだれ桜のトンネルが続き、花見シーズンには毎年約30万人が訪れる「日中線しだれ桜並木」。地元企業の協力もあり、182台分の駐車場を確保。駐車場不足が緩和された。
導入実績 福岡市
サッカーJリーグ「ベスト電器スタジアム」(アビスパ福岡)の市営臨時駐車場に、実験的にサービスを導入。650台分を事前予約制にすることで、試合やイベント当日、入庫時の周辺道路混雑が軽減した。
実証実験に参加する自治体を募集中!
現在、「〇〇市シェアシステム」のように、自治体ごとのシェアリング専用システムも構築中。自治体独自のシェアリングサービスを導入いただけます。まずは気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ
サービス提供元企業:軒先株式会社
TEL:03-6869-3111
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル3F fabbit大手町
E-mail:info@nokisaki.com