多くの自治体が3歳児健診での視力検査を自宅実施事項としているため、視機能異常が見落とされやすい。そこで松前町は、「ウェルチ・アレン・ジャパン」の屈折検査機器を導入し、視機能異常の早期発見に努めているという。
※下記はジチタイワークスVol.19(2022年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]ウェルチ・アレン・ジャパン株式会社
自宅の検査では判定がつかず、精密検査推奨が年間30件以上。
厚生労働省は平成29年、全国の自治体に対し「3歳児健診における視力検査の実施について」の協力要請を出した。近視、遠視、乱視、不同視※1などの屈折異常や、眼球周辺の筋肉の異常による斜視などを改善するには、適切な治療やトレーニングを早期に開始することが重要であると、日本眼科学会などが提言してきたからだ。
しかし、多くの自治体は3歳児健診時、視力検査を自宅実施の項目にしているため、異常が見落とされるケースが少なくなかったという。「本町も、対象幼児のご家庭に視力検査の用紙を送付していたのですが、自宅で正確な検査を行うのは難しいようです。判定がつかずに、精密検査を勧める案内を毎年30件以上も出していました」と、主任保健師の宇都宮さん。早期の対応が重要な項目にもかかわらず、正しく判定しづらい検査方法であることを課題に感じていたという。そんな中、健診の診察医である町内の小児科医が同社の視機能検査機「スポットビジョンスクリーナー」の情報を耳にし、同町保健福祉部に活用を提案。導入に向けた動きがスタートした。
※1 左右の目の屈折度が極端に異なる状態
操作の簡単さと検査の早さが本導入前の試用で体感できた。
医師から提案を受けた平成27~28年は、同検査機の国内販売が始まって間もない時期。そのため近隣に導入している自治体がなく、予算申請のための資料集めに苦労したそう。しかし、前述の厚労省通知が出され、同社からリース契約が可能な代理店を紹介されたことで、平成30年4月、同検査機1台を正式導入するに至った。
「本導入前、実際の健診会場で使用しましたが、操作は意外なくらい簡単で、1人当たり1秒ほどで検査完了することに驚きました」と宇都宮さん。本導入にあたり保健師全員が説明を受け、導入後最初の健診時には、万が一の不具合に対応するため同社の担当者が同行するなどのフォローもあり、スムーズに導入できたという。「短時間で検査が完了するので、お子さんが怖がったり暴れたりして検査できなくなる心配がありません。また、視機能異常が発見されたらモニターに警告が表示され、検査結果は全てWi-Fi接続のプリンターで印刷されるので簡易です。精密検査の案内件数は、導入前の平成29年は年間33件だったのに対して平成30年は9件と、約3分の1にまで減りました」と手応えを感じている。
最小限の動作でストレスなく視機能検査が完了
今後は就学前検査の実施や、眼科受診の個別指導も展開。
視機能の異常を放置すると、弱視※2に進行するおそれが高まるという。スポットビジョンスクリーナーは、3歳児健診における測定完了率99.7%※3という精度の高さが大きな特徴で、生後6カ月の幼児から検査が可能。検査対象者から1m離れた場所で測定するため、幼児にも恐怖感を与える心配が少ない。
子どもが“涙目”状態だと正しく測定できないことがあるため、同町では歯科や内科健診より先に視力検査を行うようにした。また、光が入らない状態で測定する必要があり、暗幕を全て閉めたステージ上に子どもを移動させたり、測定用の部屋を用意したりして、エラーが出にくい測定法も工夫。「簡単に持ち運べて誰でも検査ができるので、町立保育園に検査機を貸し出し、年長クラスの内科健診時にも視力検査を行うようにしました」。
近年、親のスマートフォンなどで長時間ゲームをする子どもが増えていることから、同町は現在、就学前健診時でも同検査機を活用することを検討中。また、視機能異常が発見された子どもが確実に眼科を受診するよう、個別指導の体制づくりも進め、“早期対応”の流れを強化していくという。
※2 眼鏡などで矯正しても通常の視力が得られない状態
※3 出典「Effectiveness of the Spot Vision Screener in screening 3-year-old children with potential amblyopia in Japan」(2021)
松前町 保健福祉部 子育て・健康課
主任保健師
宇都宮 すみ(うつのみや すみ)さん
早期発見して早期治療を開始すれば視力の発達は促すことができる。
スポットビジョンスクリーナーは、視機能異常の早期発見を実現し、子どもたちの健全な視力を守るための検査機。簡単な操作で、検査を受ける幼児にも恐怖感を与えにくく、より正確で幅広い項目の視力検査が実施できる。
屈折検査の項
●近視・遠視・乱視・不同視
●眼位ずれの方向と角度(斜視)
●瞳孔の大きさ
●瞳孔間距離
判定後、「要精密検査」または「スクリーニング完了」(正常)をモニターに表示
被験者側
測定時に光と音を発するので、子どもの注意を引きつけられる
販売名/ウェルチ・アレン ビジョンスクリーナー 一般医療機器 レフラクトメータ JMDN 36387010
届出番号/13B2X00086000038 製造販売業者/ウェルチ・アレン・ジャパン株式会社
特別な知識がなくても、迅速な検査が可能
1.両目同時の検査がわずか数秒で完了する
1m離れた位置から測定を行うので、検査を受ける幼児に圧迫感や怖い印象を与えにくく、数秒で両目同時の屈折検査が実施できる。検査機を見つめるだけなので、6カ月の幼児からでも検査可能。
2.検査を行うための準備は“検査機を持ち込む”だけ
一眼レフカメラほどの大きさで、本体重量も1.2kg弱のため持ち運びやすく、様々な検診現場で活用できる。また検査結果はすぐに表示され、プリントアウトされるので手書きの作業などが不要。
3.最新の基準値で信頼性の高いスクリーニングを実現
眼科学会の調査などにより、視機能異常を判定する基準値が修正されることもある。同検査機の基準値は学会が発行する推奨基準値に合わせて随時更新できるため、信頼性の高い検査が可能。
検査手順や簡単な操作法を動画で公開中
同検査機のシンプルな操作方法や、視力検査の実施手順、実際のディスプレー表示などを、動画でご確認いただけます。こちらから動画配信サイトにアクセスできます。
お問い合わせ
サービス提供元企業:ウェルチ・アレン・ジャパン株式会社
カスタマーサービス
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