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観光振興で地域を活性化!具体的な施策と自治体の取り組み事例を紹介

観光振興は、地域経済の活性化や関係人口の創出につながる重要な施策の一つだ。近年はインバウンド需要の回復や観光客ニーズの多様化を背景に、自治体に求められる役割も変化している。
本記事では、観光振興の基本を整理するとともに、令和8年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」をもとに、今後重要視される施策や、全国の自治体における取り組み事例を紹介する。
※記事の掲載情報は公開日時点のものです。
観光振興とは
観光振興とは、地域の文化や歴史、自然、食といった“地域資源”の魅力を高め、観光客の来訪を促進することで、地域経済の活性化やにぎわいの創出を目指す取り組みだ。具体的な活動としては、観光コンテンツの開発や情報発信、イベントの実施をはじめ、交通アクセスの改善、宿泊施設や観光施設の整備などが幅広く含まれる。
なぜ今、自治体に観光振興が求められているのか
人口減少や少子高齢化が進む中、自治体には地域の活力を維持するための施策が求められている。その中で観光振興は、地域外から人や消費を呼び込み、交流を生み出す重要な手段の一つだ。
観光客による宿泊や飲食、買い物などの消費は、観光業だけでなく小売業や交通事業者など幅広い産業への波及効果が期待できる。また、交流人口や関係人口の拡大にもつながることから、地域のにぎわい創出や持続的な発展を支える重要な取り組みとなっている。
これからの自治体観光振興で重要となる5つの施策
観光振興とひと口にいっても、その取り組みは様々だ。令和8年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、地方誘客の推進や観光DX、持続可能な観光地域づくりなどが重点施策として位置付けられている。
ここでは、同計画をもとに、これから自治体が注目したい観光振興施策を5つのカテゴリーに分けて紹介する。
1. 地域資源を活用した体験型観光コンテンツの開発
近年、観光客のニーズはモノ消費から“コト消費”へとシフトしており、その地域ならではの体験を求める傾向が強まっている。地域資源と体験を組み合わせることで、その地域ならではの高付加価値なコンテンツの創出が可能だ。
こうした体験型コンテンツは、観光客の満足度向上や消費額の拡大につながりやすい。さらに、参加者がSNSで自発的に発信してくれることで、地域の認知度向上という副次的な効果も期待できる。
2. 観光DXの推進
地域の観光産業が持続可能な成長を続けるためには、深刻化する人手不足への対応や、データを活用した戦略的な観光地経営が欠かせない。こうした課題を打破する切り札として、今“観光DX”の重要性がますます高まっている。
3. インバウンド誘客と受け入れ環境の整備
訪日外国人旅行者数は年々増加しており、自治体には、このインバウンド需要を地域活性化につなげる取り組みが求められている。
※1 目的地の手前にある駅やバス停周辺の駐車場にマイカーを停め、電車やバスなどの公共交通機関に乗り換えて目的地へ向かう移動方法
※2 イスラム教で「許されているもの・こと」を指す考え方であり、食べ物や飲み物をはじめ、生活全般の基準となるもの
4. 関係人口や長期滞在につながる観光施策
一度訪れただけでなく、継続的に地域と関わってくれる“関係人口”の創出は、地域活性化の重要なテーマだ。観光を入口にして地域との深いつながりを生み出し、長期滞在や将来的な移住・二地域居住へステップアップしてもらう取り組みが全国で広がっている。
※「ラーニング(Learning:学び)」と「バケーション(Vacation:休暇)」を組み合わせた造語であり、学校外での体験や学びを目的に、保護者などとともに休暇を取得する取り組み
5. DMOや官民連携による持続可能な観光地域づくり
観光振興を持続的に進めるためには、自治体だけでなく、地域事業者や住民など多様な関係者が連携して取り組むことが重要だ。DMO(Destination Management/Marketing Organization:観光地域づくり法人)を中心に、地域全体で観光地経営を進める動きも広がっている。
官民が連携しながら地域の魅力を磨き上げることは、持続可能な観光地域づくりや地域の稼ぐ力の向上にもつながる。
自治体の観光振興に関する成功事例
全国の自治体では、地域資源の活用や観光DX、官民連携などを通じて、独自の観光振興に取り組む事例が増えている。ここでは、実際に成果を上げている先進的な自治体の取り組みを紹介する。
山梨県小菅村|空き家を活用した高付加価値な宿泊体験で地域活性化を実現
人口約620人の小菅村では、高齢化に伴う空き家の増加と、都心から日帰り圏内であることによる宿泊客の減少が課題となっていた。そこで民間企業と連携し、100軒を超える空き家資源を活用した「村まるごとホテル」を展開。
築150年の古民家を宿泊施設として再生し、既存の民宿との差別化を図ったほか、運営やツアー案内を村民が担うことで地域ならではの体験を提供している。
地域資源を高付加価値な観光コンテンツへ転換したことで、インバウンド需要の取り込みやリピーター獲得にも成功。村を応援する関係人口「1/2村民」の創出や地域ブランディングにもつながっている。
長崎県南島原市|農林漁業体験民泊で滞在型観光への転換を実現
南島原市は、世界文化遺産の原城跡などを有する一方で、宿泊施設が少なく、“通過型観光”が課題となっていた。そこで、農林水産業を活かした「農林漁業体験民泊事業」を開始し、滞在型観光への転換を図った。
農作業や漁業体験だけでなく、地域の日常生活そのものを体験できることが特徴だ。受け入れ家庭は当初の6軒から140軒まで拡大し、修学旅行の誘致ではピーク時に年間1万人以上を受け入れ、その5割以上が再訪するという人気コンテンツへと成長した。
近年では、ふるさと納税の体験型返礼品として活用するなど、新たなターゲットへのアプローチも展開している。
愛媛県大洲市|地域DMOを核に官民連携による観光地域づくりを推進
大洲市では、高齢化や相続問題により、歴史的建造物の解体・改修が進み、城下町の景観や地域の魅力が失われる危機に直面していた。
そこで、同市による100%出資で地域DMOを設立。さらに、地元金融機関や古民家再生・宿泊事業を担う民間企業3社と連携協定を締結した。自治体だけでも民間だけでも解決が難しい課題に対し、官民の中間組織としてDMOを機能させる一手を投じた。
その結果、31棟の歴史的建造物を再生し、ホテルやカフェなど約20事業者を誘致。年間1億6,000万円を売り上げる事業へと成長。さらに、木造天守での宿泊体験「大洲城キャッスルステイ」も実現し、国内外から注目を集めている。
熊本県小国町|完全予約制の導入でオーバーツーリズム対策を推進
小国町の観光名所「鍋ヶ滝公園」では、年間約24万人が訪れ、園内の混雑や周辺道路の渋滞が課題となっていた。地域住民の生活環境への影響や観光客の満足度低下も懸念される中、持続可能な受け入れ体制の構築が求められていた。
そこで同町は、入園を完全事前予約制へ移行。周辺事業者との対話を重ねながら合意形成を進め、民間企業と連携して予約システムを構築した。
その結果、大型連休中も混雑や渋滞が大幅に緩和され、観光客からも“ゆっくり観光できる”と好評を得たという。地域住民と来訪者双方の満足度向上につながり、国際認証団体が選定する「世界の持続可能な観光地TOP100選2022」にも選出された。
神奈川県箱根町|データマーケティングを活用した観光地経営を推進
年間約2,000万人が訪れる箱根町では、慢性的な混雑やオーバーツーリズムへの対応が課題となっていた。そこで箱根DMOは、「官民一体ALL箱根」の体制のもと、データを活用した観光地域づくりを進めている。
宿泊統計データや観光予報データ、年間約7,500件の回答を集める「箱根DMO観光診断書」を活用し、来訪者の属性や満足度を調査・分析。データに基づく施策立案や改善につなげている。
その結果、パークアンドライドの推進など混雑対策の検討が進んだほか、需要予測データを地域事業者と共有することで、受け入れ体制の最適化にも役立てている。
まとめ
観光振興を取り巻く環境は大きく変化しており、近年は観光客数の増加だけでなく、地域の稼ぐ力の向上や持続可能な観光地域づくりにも注目が集まっている。
観光立国推進基本計画でも、高付加価値なサービスの提供や観光DXの推進、インバウンド受け入れ環境の整備、DMOを中心とした観光地域づくりなどが重点施策として示されている。地域ごとに抱える課題や資源は異なるため、地域の実情に応じた観光振興を進めていくことが重要といえるだろう。













