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【セミナーガイド巻頭掲載】最初から全部わからなくても大丈夫

キャリア・働き方
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【セミナーガイド巻頭掲載】最初から全部わからなくても大丈夫

公務員応援企画 INTERVIEW

公務員を応援するインタビュー企画、第6回は、元・都立高校教師で、サイエンスプロデューサーの米村でんじろうさん。授業や実験で試行錯誤を続けてこられた経験から、“失敗”をテーマにお話しいただきました。

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米村でんじろう 氏
サイエンスプロデューサー(元・高校教師)

1955年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学大学院修了後、東京都立高校の理科教員として勤務。退職後、科学実験の楽しさを伝えるサイエンスプロデューサーとして活動を開始。わかりやすい実験とユーモアあふれる語りで人気を博し、「でんじろう先生」の愛称で親しまれている。現在はサイエンスショーや教育活動を通じて、幅広い層に科学の魅力を伝えている。

教科書どおりにやっても、誰もこっちを向かない

──高校教師として勤務していたころ、どんなことに悩み、どんな工夫をしていたのでしょうか。

僕は東京都に地方公務員として採用され、都立高校で理科を教えていました。その学校は、勉強に気持ちが向いていない生徒が多くて。もちろん真面目な子もいるんですが、授業中弁当を食べている子がいるし、僕が黒板に向かっている間に教室を抜け出してしまう子もいる。そういう中で授業を続けるのは、本当に大変でしたね。

だから最大の悩みは、どうやったら生徒たちに振り向いてもらえるかでした。普通に教科書どおり授業をしてもダメなので、実験を取り入れたり、クイズ形式にしたり……最後は、正解したらもらえる「理科ちゃんシール」までつくりました。これは意外と人気だったんですが、長続きはしない。内発的な動機づけではないから、飽きてしまうんですね。それでも、どうしたら少しでも興味をもってもらえるか、理科嫌いにさせずに済むか、試行錯誤は続けていました。教師時代は「うまくいった授業」よりも、「失敗しても、なんとかしようと工夫し続けた時間」の方がずっと多かった気がします。それは、今の活動の原点になっています。

自分がわかっていないことを、素直に認める

──失敗と向き合うとき、大切にしていることはありますか。

授業で自分が間違えたり、わかっていないことを生徒に指摘されたりすると、ついごまかしたくなるんですよね。かっこ悪いから、わかっているふりをして煙に巻きたくなる。でも、そういうのって結構見抜かれるんですよ。反対に、「あ、本当だ、間違えてるね」「これわかんないや、よく気がついたね」って素直に認めると、指摘した生徒もすごく納得できるし、自信になる。一緒に考えて理解につながれば、双方に達成感もある。ダメなところはダメって認めた方が、結果よい方向にいくんですよね。

その後、教師は40歳手前で辞めて、元々お手伝いしていた教育番組や科学館で、サイエンスショーなどの仕事をするようになりました。それからは、結果への向き合い方がさらに切実になりましたね。フリーになるといきなり「おいくらですか」と聞かれる。ウケが悪ければ次は呼ばれないし、仕事が途切れたら収入も止まる。必要とされて初めて仕事になるってことを、そこでようやく感じました。盛り上がったかどうかは点数で表せるものではないので、完全な成功はないんです。“100点”は絶対に出ない以上、常にいくらかは失敗ですからね。もう一度仕事をもらえるレベルを保つためにも、自己評価は甘くできない。毎回反省して、次にまた工夫して……を繰り返していました。

成功は偶然でも、失敗には必ず理由がある

──失敗を活かすことについて、具体的に教えてください。

実験の世界って、結果がすごくシビアに出るんです。準備段階では10回のうち8、9回は失敗。逆にいうと、準備で失敗していないと本番で失敗するリスクが高くなります。順調すぎると粗がわからないまま本番を迎えるので、かえって危ないんですね。

成功したときは、知らないうちに条件が揃って、たまたま成立しただけのことがあります。でも、失敗したときには、必ず理由がある。だからうまくいかなくても、「あ、失敗したな。じゃあ理由は何だろう。ここを変えてもう一回やってみよう」でいいんです。「なぜだろう」「どこが悪かったんだろう」と原因を探して、試行錯誤することで、前に進むことができます。うまくいったときって、実は何も学べていなくて、失敗するからこそ失敗しない方法を考えるし、何がいけなかったかを知ることで次に活かせる。失敗にはそういう力があるんです。

──公務員の方が新しいことに挑戦するときも、同じ考え方が活かせそうですね。

そうですね。何か新しいことを始めたり、学んだりするときも同じで、気楽なスタンスでいいと思います。最初から全部わかろうとしなくていい。専門家を目指すんじゃないなら、「興味があったらちょっと調べてみる」くらいで十分なんです。それで少しでも知れば、知らなかったときよりはるかに前に進んでいますからね。

やめておこう、ではなく、ちょっとやってみる

──最後に、公務員の皆さんへ向けてメッセージをお願いします。

公務員の仕事って、失敗が許されない雰囲気がありますよね。批判もされやすいし、できるだけ失敗しないように、と思うのはすごくよくわかります。僕自身も教師時代、保護者の方と接するときなんかはすごく気を遣いました。だから、わざと大きな失敗をしにいく必要はないと思います。

でも、少しも失敗しないでいると、失敗がどんどん怖くなって、挑戦しなくなります。僕の場合だと、冒険的な実験はやめておこう、手堅くまとめちゃおうと思ってしまう。そうするともう全然進歩がないんです。

逆に、失敗するのも怒られるのも、続けていれば慣れますからね(笑)。大ごとにならない範囲なら、「多少失敗してもいい」というマインドでチャレンジしてみるといいんじゃないでしょうか。ちょっとやってみる、ちょっと試してみる。それでもし失敗しても、取り返しがつくならそれは悪いことじゃなくて、むしろ次に進むための材料になる。そうやって少しずつ、失敗を味方にしていけるといいと思います。