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放送前は“敏感”に、放送後は“鈍感”に

公務員応援企画 INTERVIEW
公務員を応援するインタビュー企画、第5回は元・衆議院議員であり、テレビ番組などでも活躍する杉村太蔵さん。仕事や学びへの、「太蔵流」の向き合い方を伺いました。

杉村 太蔵 氏
元・衆議院議員
1979年生まれ、北海道旭川市出身。外資系証券会社勤務を経て、2005年に衆議院議員初当選。最年少議員として注目を集める。2009年に政界を引退後は、テレビ・ラジオ・講演などを中心に活動。政治・経済分野のコメンテーターとして、「サンデー・ジャポン」などに出演し、わかりやすい解説と率直な言葉で、幅広い層から支持を集めている。ほか、地方創生プロジェクト「旭川はれて屋台村」の開業など、起業支援を通じたまちづくりにも注力。
全部を真に受けていたら崩壊しちゃうと思うんです
──議員(公務)経験もある杉村さんから見て、公務員の仕事はどう映りますか。
公務って、本当に些細なことでもすぐ問題になっちゃうんですよね。私自身、「社会的地位に対する高所恐怖症」があるんですが、これ、公務員の皆さんも同じじゃないかなと思うんです。今って、法律を守っていればいいって時代でもなくて、ハラスメントも含め、見られ方まで神経を使う。公務員は少しでもよくないことを起こすと、一般の会社員より、はるかにニュースになりやすいですよね。何かあると批判や不満の捌け口にもなりやすいですし、日々緊張感をもって“当たり前”を積み重ねないといけない。そこは本当に大変だと思います。
──様々な声に晒される中でも、折れないためのマインドはありますか。
これ、口に出したらアウトなんですけど(笑)どこか心の中で「うるせえ」って気持ちをもたないと、やっていけないと思います。私の経験上、大半のことは「うるせえ」の一言で解決可能です。もちろん言っちゃダメですよ。だけど心の中には必要。全部真に受けてたら、多分崩壊しちゃう。
私の師匠である小泉純一郎さんがおっしゃっていたんですが、「物事を決めるときは、いろんな人の話をよく聞きなさい。だけど決めるときは一人で決めなさい」と。聞く行為は大事。でも最後は自分で決める。いろんな意見があるのは当たり前で、全部を抱え込まない。“聞く”と“決める”を分けるだけでも、だいぶ楽になると思います。
上司が提案することにはまず全力で乗っかる
──ほかに、仕事や生き方を充実させるためのコツはありますか?
「上司の育て方」は大事です。私は議員時代の先輩や番組のプロデューサーなど、本当に上司に恵まれてきました。上司次第で環境って激変するし、「人生は上司で決まる」と思ってます。
じゃあ具体的にどう“育てる”か。上司が「これをやりたい」って言ってきたら、まずは肯定するんです。すぐに否定的なことを言ってしまうと、上司を殺します。それは自分も殺すってことです。だから最初は全力で乗っかる。で、やってみてうまくいかなかったら、そこで初めて「こうすればもっとよくなるんじゃないですか?」って提案します。結果が出てからの提案は、受け入れられるし、上司が育つんですよ。逆に、「こいつは何言っても否定的なやつだな」って思われると、そこで関係が“毒”になっちゃう。
結局、上司が気持ちよく前に進めば、組織も動くし、自分の仕事も進む。その見極めが大事だと思いますね。
“わかりやすさ”が褒められるけど世の中そんなに単純じゃない
──番組でのコメントなど、日々の情報収集も多く必要な立場だと思います。“学び”については、どう捉えていますか。
一つ自慢があって、私は生放送を16年間、週2~3本やってきましたが、訂正放送が一回もないんです。出演者が間違ってアナウンサーが謝る、あれがない。それは事前にしっかり調べるからです。コメントは基本、政府発表のデータに基づいて話しています。私が大事にしているのが、「放送前は“敏感”に、放送後は“鈍感”に」。放送前は、言うことが本当に事実なのか、人を傷つけてしまわないか、とにかく敏感に確認する。で、放送されたら、あとは鈍感でいい。言っちゃったら終わりですからね。
今の時代、“わかりやすさ”が最高峰とされる風潮がありますが、世の中そんなに単純じゃないし、政策って難しいんです。勉強しないとわからない。でも今、長い文章を読めない人が増えてきていますよね。だからこそ、骨太の方針とか、50ページくらいの調査報告書をきちっと読んで理解して、自分なりに意見をまとめられるスキルって、すごく求められると思います。公務員の皆さんもまさにそうだと思う。
それと、仕事に直結するものだけじゃなくて、本を読むのもすごくいいです。例えば『大人になるためのリベラルアーツ』(東京大学出版会)なんかはおすすめですね。東大の先生たちの共著なんですが、「真理は一つか」みたいな答えのない問いをあらゆる角度から語っていて、すごく面白い。こういう本は頭が疲れているときほどいいんです。「うるせえ」の精神といっても、色々言われて不安が押し寄せることもあるじゃないですか。そういうときって無になろうとしても無になれない。同じ時間を過ごすなら、全然違うことを考えて頭を動かした方がいいですよね。読書はそうやって脳内をリフレッシュする、自分を解放してあげる方法としても活用しています。
日本の公務員は世界一だと思っています
──最後に、公務員の皆さんへ応援メッセージをお願いします。
今の時代の公務員の皆さんは、本当に大変だと思います。批判されやすい社会だし、褒められることは少ない。でも、やっぱり今の日本があるのは、明治以来、公務員がこの国の礎を築いて、保ってきたからです。私は本当に感謝していますし、日本の公務員は世界一だと思っています。こんな資源の少ない国で、周りにいろんなリスクがあっても国力を維持しているのは、公務員の力が大きい。ですからこれからも誇りをもって、必要なところでは丁寧に、でも最後は「うるせえ」のマインドで、気負いすぎずがんばっていただきたいと思います。
▶杉村さんには、5/23(土)開催のセミナーにご登壇いただきます。
https://jichitai.works/seminars/984











