石川県

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決裁の流れを根本から見直し、場所を問わない働き方へ。

情報政策
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決裁の流れを根本から見直し、場所を問わない働き方へ。

電子決裁一体型の文書管理システム

石川県は電子決裁率100%を目指し、令和5年度に文書管理システムを刷新した。単なる導入で終わらせず、専用サイトの作成や実践的な研修など、職員への定着に注力。紙による運用から脱却し、迅速な判断と柔軟な働き方を可能にしている。

※下記はジチタイワークスINFO.(2026年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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石川県
総務部 総務課
課長補佐
下濱 浩三(しもはま こうぞう)さん

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石川県
総務部 総務課
主任主事
大宮 麻貴(おおみや まき)さん

押印を前提とした仕組みを見直し、現場が迷わず使えるシステムを選択。

令和4年に策定された「石川県デジタル化推進計画」において、事務効率化の取り組みとして“決裁の電子化”が掲げられた。同県では、平成15年から文書管理システムを運用しており、機能としては電子決裁も備わっていた。しかし、当時はあくまで押印を前提とした仕組み。決裁権限の設定も課長級までに限られ、それより上位の決裁には対応していなかったため、ほとんど活用されていなかったという。

こうした中、変革を後押ししたのがコロナ禍での経験だ。「テレワークが必要な場面でも、結局は紙の文書が足かせになっていました。庁外でも業務を継続でき、災害時にも役所機能を止めない備えとして、決裁の電子化が必要でした」と下濱さんは語る。

新たな基盤に選んだのは、「日本電気(NEC)」の「GPRIME文書管理(ジープライム)」だ。「電子決裁に対応しているのはもちろん、直感的に操作できることが決め手でした。決裁がどこまで進んでいるかをシステム上で確認できるのも非常に便利です。また、決裁がまわってくるとデスクトップに直接ポップアップ通知が届く点も分かりやすく、好評を得ています」。さらに、パラパラと紙をめくるように複数の添付ファイルを見られる“一括PDF表示”も、紙に慣れた職員に重宝されている。直感的な操作性と視認性の高さが、長年続いてきた“紙の当たり前”を塗り替える原動力となっているようだ。


スムーズに導入するために、上層部から意識を変えていく。

電子決裁を浸透させるため、まず着手したのは職員の意識改革だ。同県では、全決裁の約8割が課長級によるものだ。そのため、まずは組織の要となる課長級以上を対象に、全3回の研修からスタートした。「公務員は前例踏襲を好む傾向があり、長年の当たり前を変えることへの抵抗感があると想定していました。実際、なぜいまさら変える必要があるのかと問われたこともあります」と大宮さんは振り返る。研修では、デジタル文書が主流になる未来を説くとともに、実際の操作画面を見せながら一連の流れを実演。具体的な使い勝手を提示することで、心理的なハードルを一つずつ取り除いていったという。

現場の不安を解消する受け皿づくりにも注力した。「操作や文書の必要性は理解していても、“最終決裁者が退職する場合は”など、実務上の問い合わせが多く、その対応だけで一日が終わることもありました。そこで、よくある質問をまとめたQ&Aの一覧を作成し、庁内ポータルの目立つ場所へ掲載したんです」。こうした、“自力で解決できる”仕組みが、職員たちの背中を後押ししているといえるだろう。

▲よくある質問をQ&Aにまとめて庁内ポータルに掲載。
▲よくある質問をQ&Aにまとめて庁内ポータルに掲載。

部署ごとに目標を設定するなど主体的に動く仕組みをつくる。

各現場が自発的に動く流れをつくるため“目標設定シート”も導入した。これは、電子決裁率100%に向けてどう行動すべきかを自分たちで考えてもらうためのものだ。毎月の達成率を集計・公表して進捗を可視化する一方、数字が伸び悩む部署には直接足を運び、フォローも行っているという。「“このケースは電子化できない”といった声があれば一緒に課題を洗い出し、スキャンの活用など状況に応じた解決策を提示していきました」。

併せて、文書管理のルールを新しく策定。これまでは、紙で作成して押印をもらうことが前提だったが、文書作成から決裁、保存までをデジタルで完結させることを共通ルールとして確立し、事務の手順をを共通ルールとして確立し、事務の手順を根本から見直した。

さらに、令和7年度は研修を充実させた。例えば初任者研修では、前期・中期・後期の全3回に分けて実施。「一度に詰め込むのではなく段階を追うことで、操作の習得だけでなく、電子化の必要性を自分事として捉えてほしかったんです。行政の信頼を支える文書の重みを知り、それがこれからはデジタルで管理されるべきものだと時間をかけて伝えています」。また、これをベースとした全職員向けのナレッジ研修も実施。受講者からは“電子決裁の必要性が理解できた”など高い満足度を得ており、現在は動画でいつでも視聴して学べるようになっている。

ほかにも、情報を探す手間を減らすため、文書管理のルールや手引きを集約した専用サイトを作成。マニュアルがどこにあるか分からないといった、誰もが経験する小さなストレスを解消した。

電子決裁率100%を達成し実務の面でも効果を実感。

地道な活動が実を結び、導入当初は27.7%だった電子決裁率が、令和7年度には月ごとの集計で100%を達成するまでになった。数々の取り組みをやり遂げられた背景について、下濱さんは「当時の総務部長が会議の場で、全庁での100%達成を宣言し、それに応じる形で各部長が目標に向けた取り組みを推進してくれました。上層部の積極的な姿勢が、現場の意識を切り替える大きなきっかけになったと感じています」と振り返る。

電子化の実現は、庁内の意思決定を劇的にスピードアップさせた。「当県は南北に長く、出先機関の職員がはんこをもらうためだけに片道2時間半をかけて本庁へ車を走らせることもありました。こうした移動の負担が解消されたのは本当に大きいです。今では出張先でも承認できるため、本庁を離れていても決裁が滞ることはほとんどなくなりました」。

また、過去文書の参照もスムーズになったという。かつては分厚い簿冊の中から特定の書類を探し出すのに一苦労だったが、現在はシステム上で容易に検索ができる。「打ち合わせのたびに紙の束を持ち歩き、必要な箇所を一枚ずつめくって探していましたが、今はパソコンがあればその場で即座に確認できます。情報公開請求があった際も、対象の文書があるかないかを検索できるため、探す手間が省け、速やかな対応につながっています」。利便性が高まったことで、庁内の働き方は確実にアップデートされているようだ。

文書管理の電子化をきっかけに組織体制や働き方を見直す。

歩みを進める同県が次に見据えるのは、紙のやりとりをさらに減らしていくことだ。「現在は原本の添付が必要な業務も残っており、一切の紙を出さない完全電子決裁の割合は半分ほどです。これを限りなく100%に近づけるのが目標です」と大宮さん。

一方で、細かなルールが伴う文書管理に負担を感じる職員も少なくない。そのため、心理的なハードルをいかに下げるかを常に意識しているという。「やらされているだけの感覚では改革は定着しません。マニュアルを読み込まなくても、不明点をすぐに相談・解消できる体制を整えるなど、現場の“困った”を置き去りにしない仕組みづくりを心がけています」。

同時に、電子化がもたらす“自分たちのメリット”も繰り返し伝えている。「例えば、子どもの急な発病で帰宅せざるを得ないときでも、自宅で決裁や確認ができれば業務を止めずに済み、周囲への気兼ねも減らせます。こうした柔軟な仕組みが、自分たちの生活や仕事をする上での信頼を守ることにつながると伝えながら、さらなる効率化を進めていきたいです」。電子化は、自治体の基本である文書管理を見つめ直す契機となり、これからの組織運営を支えていくための確かな一歩へとつながっている。




活用がススム!業務を“ラクにする”文書管理システムとは

文書管理システムの導入に関する悩みをもつ自治体は少なくない。職員からよく聞く2つの悩みをピックアップし、担当者が同社のシステムの機能を例に、業務をラクにするためのヒントを紹介する。

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日本電気株式会社(NEC)
穂積 杏紗(ほずみ ありさ)さん


解決のヒント

必要な文書をすぐに見つけられ、探す手間が減ります。

全庁に散らばる文書を電子化して一元的に管理すれば、システム上で検索できるようになります。探す手間が省けるので、事務の大幅な効率化に。文書は増えつづけますので、電子化することで適切に管理・活用できる環境を整えることができます。



解決のヒント

決裁の見落としを防ぎ、意思決定が早くなります。

当社のシステムでは、自分に決裁がまわってくるとデスクトップに通知が届きます。わざわざメールボックスを確認しなくても気づけるため、見落とし防止に。意思決定スピードの向上にも貢献する機能として、自治体から好評を得ています。



解決のヒント

使いやすく、直感的に操作できるかがポイントです。

文書管理システムは多くの職員が日常的に利用するため、操作性は重要な選定基準の一つです。当社のシステムでは、操作性を重視したデザインを採用。スマートフォンのように直感的に利用できるため、複雑な手順を覚える必要がありません。


解決のヒント

紙と同じように資料を確認できるかどうかも重要です。

決裁には多くの添付資料が付きものですが、個別にデータを開いたり閉じたりすると確認に手間がかかります。当社システムの一括表示機能では、複数の資料をまとめて閲覧できるため、画面上でも紙と同じようにスムーズな内容確認が可能です。



活用を広げて軽やかな働き方へ

同システムは、外部サービスとの連携や生成AIの活用によって、さらに活用の幅が広がるという。文書管理の枠を超え、職員が本来の専門業務に注力できる環境づくりを進めてみては。


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