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【セミナーレポート】介護保険担当に聞いた「業務の悩みあるある」"改善アイデア"事例セミナー【DAY1】

「認定審査会の資料づくりに時間がかかる」「電話やFAX対応が多く、本来業務に集中できない」「多機関連携や調整に追われている」ーー介護保険担当でよくあるこうした悩みに対し、他自治体ではどのような工夫をしているのでしょうか。
本セミナーでは、介護保険担当の日常業務に着目し、"業務の悩みあるある"を起点に、他自治体の取り組みや課題解決のヒントを共有します。
概要
■テーマ:介護保険担当に聞いた「業務の悩みあるある」"改善アイデア"事例セミナー
■実施日:令和7年11月13日(木)
■参加対象:無料
■申込者数:96人
■プログラム
<Program1>【宮崎市】残業時間の削減につながった要介護認定照会システムの取組
<Program2>【吹田市】AIで問い合わせ対応を効率化!チャットボット導入と運用改善の工夫
<Program3>介護保険の連絡業務DX!郵送費90%削減と時間創出を実現!「繋がらない」「届かない」悩みを解消するジチタイSMS活用術
【宮崎市】残業時間の削減につながった要介護認定照会システムの取組
第1部に登壇したのは、宮崎市福祉部介護保険課の河野慶一郎氏。宮崎市では「要介護認定照会システム」を導入し、ケアマネージャーがオンラインで必要な情報を確認できる仕組みを導入。その取り組みの背景や効果、今後の方向性について伺った。

【講師】
河野 慶一郎 氏
宮崎県 宮崎市 福祉部 介護保険課
これまでの認定事務
宮崎市の高齢化率は約30%、後期高齢者の割合は16.34%で、いずれも増加傾向にあります。認定者数も昨年度末に初めて2万人を超え、申請件数は年間1万6千~1万7千件に達しています。こうした背景から、認定事務の迅速化と効率化は避けて通れない課題でした。
従来の認定進捗の確認は、介護事業所からFAXで照会票が届き、職員が紙とシステムを突き合わせながら電話で回答するという手作業中心のやり方でした。一次判定や審査会の日程、結果の確定など、節目ごとに都度電話連絡が必要で、職員は紙台帳をめくりながら照合し、事業所は事業所で電話がつながるまで何度も連絡する必要があったのです。
また、審査会は平日の午後に行っていますが、会議終了後の夕方に事業所へ電話連絡するのが常態化しており、相手が不在であれば翌日、さらに翌日……と、双方に負荷がかかっていました。結果として時間外勤務が増え、業務が「残業前提」でまわっているような印象すらありました。私自身、異動してきた際、この非効率さに驚いたほどです。
介護保険認定照会システムとは
こうした状況を改善するために導入したのが、「介護保険認定照会システム」です。

このシステムを使えば事業所がオンラインで認定進捗状況を24時間確認できるため、開庁時間や待ち時間を気にする必要がなくなります。また、申請日と被保険者番号を入力すれば、調査票の入手日、主治医意見書の入手日、審査会開催日、要介護度区分、有効期間まで一覧で確認でき、情報が色分けされているため視認性も高いシステムです。
このシステムの導入により、事業所は開庁時間に縛られることなく確認できるようになり、職員も電話応対やダブルチェックに追われることがなくなりました。利用者のケアプラン作成に関する日程調整も早めに見通せるようになり、サービス開始のタイミングも調整しやすくなっています。

システム導入による効果
とはいえ、どれだけ便利でもやはり気になるのが費用面でしょう。費用面では、導入費と運用保守費を合わせて令和6年度が約500万円弱で、翌年度の運用保守費が約400万円です。デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、半額の248万2,000円を補填できました。従来の職員の時間外勤務コストと比較すると、システム導入の方がむしろ安価で合理的だという見方もあります。
導入後の登録状況としては、309事業所が利用し、居宅支援事業所に限れば市内123事業所中118事業所が登録しています。月当たりのアクセス数は1万6千件を超え、利用は定着しているといえるでしょう。導入時は1カ月の移行期間を設け、11月からは「電話対応は原則終了」と明確に切り替えたことで、一気に利用が広がりました。

導入効果の中でも特に大きかったのが、職員の時間外勤務の削減です。これまでは職員1人あたり月50時間を超えていた残業時間が、現在では5時間もないほどに減りました。その結果、空いた時間を使って他の業務改善に取り組めるようになり、事務処理の質も向上しています。
また、システムで確認ができるのでダブルチェックなどの工数が減りましたし、連絡漏れや誤送信といったヒューマンエラーも減少している状況です。

また、システム導入と並行して、介護認定審査業務の一部を民間事業者へ委託しました。調査票の確認や医療機関への照会、窓口業務の一部などを委託したことで、専門性を生かした処理が進み、職員の負担軽減にもつながっています。民間事業者のノウハウを取り入れながら、行政側も業務プロセスを見直し、課題解決へ前向きに取り組んでいるところです。

こうした取り組みの結果、認定申請から結果通知までの期間は大幅に短縮されました。令和6年度は48.4日でしたが、令和7年度途中には37.6日、先月は38.0日まで改善しました。今後はさらに1週間短縮することを目標に、職員全員で工夫を重ねています。
職員の意識変化も顕著です。残業しなくても業務が遂行できるようになったことが見に見えてわかり、業務の優先順位づけやプロセスの合理化を主体的に考えるようになったと感じます。また、フレックス勤務や積極的な年休取得も進むなど、働きやすい環境づくりを目指し、日々取り組んでいるところです。

【吹田市】AIで問い合わせ対応を効率化!チャットボット導入と運用改善の工夫
第2部に登壇したのは、大阪府吹田市福祉部の3名。吹田市の介護保険担当は、問い合わせ対応が多く職員が本来の業務に集中しづらい現状を打破するためにAIチャットボットを導入。現場が実感している効果や運用の工夫などを解説してもらった。

【講師】
山本 氏 保田 氏 来見田 氏
大阪府 吹田市 福祉部 高齢福祉室 介護保険グループ

【講師】
山本 氏 保田 氏 来見田 氏
大阪府 吹田市 福祉部 高齢福祉室 介護保険グループ
AIチャットボットとは
私たちが使っているAIチャットボットは、いわゆる生成AIではありません。これまでに蓄積してきたデータと、そのデータをもとに用意した質問と回答の組み合わせを、AIが「どれが一番適切か」を判断して提示する仕組みです。問い合わせが増えていけばいくほど、どの質問にどの回答を出すのがよいかという判断の精度が上がっていくというイメージです。ただし、AIが自分で文章を作って答えるタイプではないので、その点だけはあらかじめご理解いただきたいと思います。
画面のイメージとしては、最初に開いていただくと、介護保険に関するいくつかの質問カテゴリがボタンになって表示されます。そこから選んで進んでいくこともできますし、自由記載欄に直接質問を入力することもできます。例えば「これまで支払った納付額を知りたい」と入力すると、AI側で「どの質問の意図に近いか」を判断し、「納付額の確認について」といった選択肢をいくつか提示するような流れです。その中から一番近いものを選ぶと最終的な回答画面にたどり着き、説明文とともに市のホームページへのリンクなどが表示されます。最後には「役に立ったかどうか」のフィードバックを送っていただく欄もあり、ここでいただいた意見をメンテナンスに活用しています。

このチャットボットは介護保険グループ専用で導入しているもので、全庁で一体的に運用しているわけではありません。市民課や国民健康保険など、他の部署でもそれぞれ別のチャットボットを入れている状況で、現時点では「介護保険だけ」で動いている仕組みになります。
AIチャットボット導入の経緯と現状
吹田市の介護保険グループでは令和3年10月から事務委託を行っています。その委託業者からの提案を受けて、令和4年2月にAIチャットボットを導入しました。チャットボットの直接の管理やデータ修正は委託業者が担い、その修正案を私たち職員が確認して「もう少しこうした方がいいのでは」といった意見を返しながら、内容を整えていく形で運用しています。
利用状況についてです。令和4年度から6年度までの実績で見ると、年間おおむね2,000件前後の利用があります。導入当初は職員側で動作確認を兼ねて使っていた分も含まれていますので、その点は差し引く必要がありますが、それでも一定の件数が継続的に利用されている状況です。時間帯別に見ると、日中と夜間を合わせた集計ではありますが、およそ4分の1程度は夜間の利用が占めており、開庁時間外の問い合わせに応えられていることが分かります。

月別に見ると、保険料の本算定通知を送付する6月、負担割合や負担限度額の更新がある8月に利用が多くなっています。この時期は電話での問い合わせも増えるため、チャットボットが一部を肩代わりしてくれているのではないかと考えています。また、受電件数全体の推移を見ると、令和4年度から5年度、6年度と年々減少しており、その要因の一つとしてチャットボットの活用があるのではないかと捉えています。

メンテナンスの流れ
まず、市民の方が市のホームページからAIチャットボットにアクセスし、質問やフィードバックを送ってくださいます。その内容を委託業者が集計し、「回答をどのように修正・追加すべきか」という案を作成します。その案を私たち職員が確認し、必要があれば加筆修正したうえで、再度委託業者に戻します。既存回答の軽微な修正であれば、委託業者が直接システムを操作して反映しますが、新しい質問・回答を追加する場合には、システム会社に反映を依頼する、という流れになっています。こうしたメンテナンスを、月1回のペースで実施しています。

メンテナンスの内容は大きく3つです。
1:新規回答の追加
制度の説明やホームページへの誘導など、これまで用意していなかった回答が必要になったときに、新規の回答を作成します。
2:キーワードの追加
質問文と回答をうまくひもづけるために、回答側にキーワードを足していく作業です。例えば「これまでに支払った納付額を知りたい」という質問が来たとき、本来表示したいのは「納付額の確認方法について」という回答です。しかし、キーワードの設定によっては「支払い方法」や「納付方法」といった別の回答が選ばれてしまうことがあります。こうした場合に、「納付額の確認方法」という回答に「支払い」といったキーワードを追加しておくことで、AIがその回答を適切な選択肢として提示しやすくなります。
3:既存回答の修正
回答内容が十分でない場合や、制度や手続きが変わった場合などに、内容を見直して更新します。
このように、実際の利用者からの質問や自由記述のフィードバックを参考にしながら、毎月キーワードや回答内容の調整を行っています。
チャットボットのメリットと課題
このチャットボットを導入して良かった点は、大きく3つあります。1つ目は、定型的な質問への対応を任せられることです。介護保険制度の概要や保険料の基本的な説明など、多くの方が共通して抱く疑問については、あらかじめ回答を用意しておけば電話や窓口で同じ説明を繰り返す必要が減ります。
2つ目は、時間外の問い合わせに対応できることです。日中は仕事や用事で電話ができない方や、家族の方などが、夜間でも質問できるようになっています。
3つ目は、電子申し込みシステムやホームページへの案内がスムーズにできることです。申請のページや制度説明のページのURLをそのまま提示できますので、電子申請につなげたり、郵送や紙のやりとりを減らしたりする効果も期待できます。

一方で、課題もあります。先ほどお伝えしたとおり、現在のチャットボットは生成AIではありませんので、AIが自分で考えて新しい回答を作ることはできません。あらかじめ選択肢とそれにひもづく回答を登録しておく必要があり、想定していない質問が来た場合には後追いで回答を作成し、追加していかなければならないのです。

吹田市では、こうした課題に対し月1回のメンテナンスで約330件の回答を用意し、委託業者が中心となって更新作業を進めることで職員側の負担を抑えつつ対応していますが、それでも一定の手間は残っています。
将来的には、生成AIを活用したチャットボットの導入によって、こうした課題が改善されるのではないかと考えています。生成AIであれば、質問の内容に応じてAIが回答文を作成できますので、あらかじめ用意しなければならない回答の量を大幅に減らせる可能性があります。ただし、法律改正や制度変更に合わせてデータを更新し、正確な情報を維持していく必要があること、誤情報のリスクにどう向き合うかといった点については、引き続き慎重な検討が必要だと感じています。
今後のDXの方向性としては、まずAIチャットボットの全庁統一化が重要だと考えています。電話対応でもよくあることですが、「保険料のことで」と介護保険に電話があったものの、よくよく聞くと国民健康保険の話だった、というケースがあります。現状では、介護保険のチャットボットでは他部署の内容に気づくことができません。1つの窓口で複数分野の質問に対応できるような環境を、徐々に整備していく必要があると感じています。
介護保険の連絡業務DX!郵送費90%削減と時間創出を実現!「繋がらない」「届かない」悩みを解消するジチタイSMS活用術
第3部に登壇したのは、ジチタイワークスの和田直樹。「郵送・印刷等コスト負担」や「架電時間の削減」が大きな課題となっている介護保険担当部署の課題を解決する、自治体専用SMS(ショートメッセージサービス)ツールについて解説してもらった。

【講師】
和田 直樹 氏
株式会社ジチタイワークス ビジネス開発部 公共ビジネス課
「ジチタイSMS」とは
「ジチタイSMS」は240以上の自治体、47都道府県のうち46都道府県内の自治体で利用されており、非常に高い効果をあげているメッセージサービスです。ポイントは3つ。1つ目は、確実に届くということ。到達率はなんと99%以上です。2つ目は、手間がかからない・コストを抑えられるという点です。郵送や電話対応に比べ、作業時間も費用も大幅に削減できます。3つ目は、普段お使いのパソコンから簡単に操作できるということ。LGWANにも対応していますので、セキュリティ面も安心です。

情報発信をするツールという点ではLINE等もあるかと思いますが、SMSは住民の方々の携帯電話に直接メッセージを送る仕組みです。「ジチタイSMS」はクラウド型ですので、特別なシステム構築や事前準備は不要。導入も運用も、非常にスムーズに利用を開始できます。また、高齢者の方が多く持っているガラケーにも送信が可能ですし、送った後に形が残るので何度も読み返しができるところも、高齢の方に安心して使っていただけるポイントではないかと思っています。

ジチタイSMSでできること
以下は、導入いただいた自治体さまにヒアリングをした内容をもとに作成した参考例です。「100件の通知を住民へ届ける」場合、これまでは全てが手作業で作業に約7時間かかっていました。ところが、SMS導入後、作業工程がぐっと減り、たったの1時間で完了するようになっています。

「実際にどんな業務で使えるのか」という点が気になるところだと思いますが、これまで郵送や電話で行っていた業務であれば、ほぼ全てSMSに置き換え可能です。
特に多いのが、郵便物や電話が多い部署。滞納者の方に何度も電話するのは大変です。しかし、SMSを使えばその手間は軽減できますし、電話や訪問、郵送でも何も反応がなかった方が、SMSならすぐに連絡を返してくれるということもよくあります。リマインド通知としても活用できるので、督促状を送った後にSMSで念押しをするという使い方もできます。

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