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【公務員のホメ道 連載4】評価ではなく「承認」という考え方。ホメの構造を習う!

息抜き
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【公務員のホメ道 連載4】評価ではなく「承認」という考え方。ホメの構造を習う!

ホメること、感謝を伝えることには、職場の雰囲気を変え、人を育て、やる気を引き出す力があります。本連載は、自治体でのホメ度や公務員のホメ力を育てるきっかけづくりをお手伝いする企画です。ホメるのが苦手…と感じる背景には、“評価しなければならない”という思い込みがあるのかもしれません。そこで連載後半では、“ホメるとは何か”を構造として捉えてみることに。現役公務員であり「自分軸のキャリア開発コーチ」でもある栗林さんをアドバイザーに迎え、コーチングの基本スキルでもあるアクノリッジメント(承認)を手がかりに考えます。

※この記事は次の調査結果をもとに作成しています。「ジチタイワークスWEBメルマガによる公務員へのアンケート調査」
※実施期間と回答数 2025年7月28日~8月5日 回答数 N=102 

※記事の掲載情報は公開日時点のものです。

コミュニケーションスキルへの興味・関心度を102人の公務員に聞きました。

門下生:この連載では、ほめることをテーマに記事を展開してきました。その中で“ホメ力”を高めるには、部下や同僚の行動に“気づく・認める”ことが大事だという学びを得ました。そこで、コミュニケーションスキルとしても注目されるコーチングの中に、アクノリッジメント(Acknowledgement) という項目があることをキャッチ。副業でコーチングに取り組む栗林さんに、アドバイスをいただくことにしました。

事前アンケート(上記)の結果を見ると、コーチングに関心を持つ公務員は少なくありません。一方で、アクノリッジメントについては「よく知らない」という声が多数。まずは、コーチングとはどのようなものか、その基本から教えてください。

栗林:コーチングの定義は様々ですが、私は“考える焦点・視点を変えたり深めたりすることで、目標達成や課題解決に役立つコミュニケーション”と捉えています 。

門下生:“考える焦点を変える”というのは?

栗林:私自身の話になりますが、以前、自分が何をやりたいのか分からず悩んでいた時期がありました。その頃は、とにかく外に出て学んだり、資格を取ったり、行動量を増やせば答えが見つかると思っていたんです。いわば、外部に答えを求めていました。しかし、思うような手応えは得られず……。そこで初めて、自分の内側にある“価値観”や興味関心”に目を向けてみたんです。  

門下生:視点を自分自身に向け、行動の方向そのものを見直したということですね。

栗林:はい。それが今思えば、セルフコーチングになっていました。コーチングでは、対象となる相手への“問いかけや対話”を通じ、その人の無意識下で固定されている視点をずらしたり、思考を一段深めたりするサポートをします。そのプロセス自体が課題解決を前に進める力になるんです。

門下生:ティーチングとはどう違うのでしょうか?

栗林:ティーチングは“答えを教える”こと。一方で、コーチングは相手の中から“答えを引き出す”コミュニケーションです。公務員の仕事で例えるなら、“この事務処理はどうやるのか”といった正解がある業務は、ティーチングのほうが早い。一方で、“今後どう働きたいか”といった明確な正解のないテーマでは、答えが本人の中にしかありません。そうした場面で力を発揮するのがコーチングであり、その人自身の考える力を育て、内省を促す支援につながります。

門下生:なるほど…私もマネジメントをしてますが“答えを渡すほうが楽!”と思う場面があります……!

栗林:とてもよく分かります。忙しいときほど、ついそうなってしまいますよね。

門下生:ここからが本題ですね!そのコーチングの中に“ホメる”に通じるスキルがあるんですよね。

栗林:はい。コーチングには主に「傾聴」「質問」「承認」「フィードバック」「提案」というスキルがあるのですが、アクノリッジメントは、この中の「承認」にあたるもの。そして、存在承認・行為承認・結果承認の3つに大きく分類されます。

門下生:ほぉ…名前を呼んだり、挨拶することも“承認”なんですね。この3つは、どこまでが“ホメることに通じる”といえるのでしょう?多くの人は「ホメましょう」といわれると、「評価(=結果承認)」しなくては…!」と受け取る気がします。

栗林: そうですね。ホメることが“何らかの基準に照らして評価すること”だとすれば、結果承認に近いと思います。行為承認については、単に事実を伝えるだけでなく、そこに主観が混じる場合(例:今日の服装はおしゃれだね)は、“ホメること=評価”に近くなることもあると思います。

ただし存在承認は、特定の基準によらず、その人の存在を認めることなので、評価を伴わない“純粋な承認“ということになります。

私も以前は、ホメることを評価する行為だと考えていたことがありました。だから少し苦手だったんです。なぜなら、ホメることで自分が相手の上に立つような感覚があって、“自分が誰かをホメるなんておこがましい”と感じていました。

ですがコーチングにおける「承認」の本質は、評価することではありません。相手の存在や行動に気づき、それを伝えることで“信頼関係の土台を築くこと”だと捉えています。

職場ではホメる行為が成果に対する評価になりがちですから、“結果承認こそがホメること”と考える人が多いのも自然だと思います。

ただ、存在承認や行為承認も、立派な“認める・ホメる行為”と考えていいのではないでしょうか。なぜなら、名前を呼んで挨拶をすることや、「〇〇してくれて、ありがとう」と小さな感謝を伝えることが、相手にとっては“自分は認められている”という安心感や、次の行動のモチベーションにつながるからです。

門下生:「〇〇さん、ありがとう」も承認の一つ……。それなら、明日からでもできそうですね!

栗林: まさに、そこがポイントです。“ホメることは相手を広く承認する行為”と捉えなおすと、みなさんの実践ハードルがぐっと下がると思います。

門下生:承認の大切さが、とてもよく伝わってくるエピソードでした。認めるという行為は、特別なことではなく、すごく日常的なところから始めていいんですね。

栗林: はい。承認は評価ではなく、気づいた事実を相手に返してあげること。まずは、そこからで十分だと思います。

今回のまとめとチェック

「ホメること=評価」だと思っていませんか?