多くの自治体が健康相談窓口を運営しているが、時間外に対応できないことで、住民の不安を拾えないケースも少なくない。そんな中、藤枝市は、24時間365日利用できるアプリで、住民の健康相談に対応。その経緯を健康推進課の吉村さんに語ってもらった。
※下記はジチタイワークスVol.18(2022年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
コロナ禍で急増した相談にオンラインで対応する。
“健康・予防日本一”を合言葉に、健康を重点課題の1つに掲げている藤枝市。住民からの健康相談についても、平日の8時30分~17時まで、担当窓口の職員が対面および電話で対応するほか、子育て中の母親が多く利用する相談室も平日に実施している。
ところが、新型コロナウイルス感染症における緊急事態宣言が出された頃から、同感染症関連の相談が急増。「対面相談が困難になり、電話回線も飽和状態になりました。電話回線の数も職員数も増やしましたが、それでも間に合わず、休日に職員が出勤して対応する時期が続きました」と吉村さんは振り返る。実は同市では、平成28年6月から「ソフトバンク」との包括連携協定を締結している。その縁もあり、グループ会社である「ヘルスケアテクノロジーズ」の提案を受け、令和2年10月より同社が提供するヘルスケアアプリ「HELPO(以下、ヘルポ)」の実証実験を開始したという。
同アプリは、専属の医師・看護師・薬剤師による医療チームが、24時間365日体制で、健康に関する悩み・相談にチャットで対応するサービス。「チャットであれば、軽度の不調なども気軽に相談できるので、窓口の時間内に対応しきれていなかった潜在ニーズも把握できるのではないかと期待しました」。
1つのアプリで様々なヘルスケアサービスを提供
深夜や休日の不安感を気軽なチャット相談で解消。
実証実験を通じて同市は、“時間外の相談ニーズがあるか” “オンラインにおける非対面型の健康医療相談が受け入れられるか”などを検証。「時間外の相談件数は全体の約6割を占め、チャットという“時代に適した方法”だからこそ、これまで健康相談窓口の利用頻度が低かった若年層からの相談も届くようになりました」と語る。
実証実験で良好な手応えを得られたことから、令和3年4月に本導入が決定した。導入にあたり、広報紙などへの記事掲載、商工会議所を通じた企業への案内などで、より多くの住民が利用できるよう告知。“操作がうまくいかない”などの苦情もなく、安心して運用できているという。
「健康相談窓口の業務が減ったかどうかについては、コロナ禍においては比較しづらいのですが、ヘルポの導入によって、今まで以上の安心感を住民に提供できていると感じています」。実際に、ユーザーコメント欄を通じて“病院が開いていない時間帯だったが不安が解消できた”“子どもの発熱について相談できて良かった”などの声が届いているという。また、同市職員のアプリ利用も増えており、“家族や友人の相談に乗ることができた”など、好感触の意見が多いそうだ。
健康相談窓口と併用してニーズに沿った対応を。
既存の業務を同アプリで代替するのではなく、今後も窓口と併用して、住民からの健康相談に対応しようというのが同市の方針だ。「対面や電話で相談する方が安心という住民も多いです。なので、生活時間帯や相談内容に合わせて、健康相談窓口とヘルポを自由に選べるようにすることが、より細やかなサポートにつながると思うのです」。
同アプリには、最寄り病院の検索、専用ECモールによる市販薬や日用品の配達、オンライン診療などのサービスが実装されており、これからも機能を拡充する方針だという。「人口当たりのメタボリックシンドローム患者数が県内で特に少ない一方、高血圧者が多いことが当市の健康課題の1つです。しかし、健康診断などで指摘されても、仕事が忙しいなどの理由で医療機関を受診しない人も多いと聞きます。オンライン診療などは、そういった人にこそ利用してほしいです」。今後は、市民ニーズの動向を観察しながら、それぞれのサービス利用を検討する計画だという。
藤枝市 健康福祉部 健やか推進局
健康推進課 健康支援係
係長 吉村 里枝(よしむら りえ)さん
得られるメリットが大きい「HELPO」の導入
自治体
●健康相談窓口の時間外でも対応可能。
●健康に対する、市の取り組み姿勢を啓発できる。
●相談内容を分析することで、住民の健康状況の傾向を把握できる。
●専門的かつ的確なアドバイスを非対面で行える。
住民
●利用は無料※で、自宅や職場からでも気軽に相談できる。ニーズに合わせて今後も機能を拡充
●症状に合わせた診療科の案内を受けられる。
●日常生活における健康づくりのアドバイスが受けられる。
●定期通院が困難な場合は遠隔診療の相談も可能。
※ECモールやオンライン診療など、一部のサービスでは別途費用が発生します
こんな相談をチャットで気軽に!
さらに広がるサービス内容
“特定保健指導”対象者をサポート!
特定健診などで特定保健指導の対象となった住民に対しては、健診データにもとづくリスク予測や、ウェアラブル端末を用いた歩数・睡眠時間のデータ取得を実施。ビデオ通話などによる指導を受けられるサービスも行っている。
ニーズに合わせて今後も機能を拡充
お問い合わせ
サービス提供元企業:ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
E-mail:htkk_helpo_contact@healthcare-tech.co.jp
住所:〒105-0014 東京都港区芝2-28-8