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今すぐ自分のペースでできる!デスクまわりの片づけ方

身の回りの片づけは心の片づけ。職場や家庭をスッキリすることで、効率アップ・自己成長・人間関係の改善など。片付けがもたらす効果は心理的にも効果がある。そんな職場や家庭の「日々を整える片づけ術」をテーマに、元・自治体職員で、現在はオフィス業務効率化コンサルタントとして活躍している長野ゆかさんに連載の執筆をいただいた。

第2回目は「デスクまわりの片づけ方」について。自分のペースでデスクまわりを片づけて新たな気持ちで業務スタートしていただきたい。

あなたのデスクは物置?コックピット?

みなさんのデスクは、必要なときに必要なモノが数秒で取り出せ、また数秒で戻せる状態になっていますか。座ったまま取り出せる範囲なら数秒はすぐにかないます。これを実感されたクライアント様から「事務デスクが、物置からコックピットに変わりました」という感想をいただいたことがあるのですが、どちらのデスクの方が仕事の効率が良いかといえば、間違いなく後者ですよね。今回はデスク周りが便利になる片づけの進め方をご紹介。実際の作業手順に沿って「整理・収納・整頓・片づけ(広義/狭義)」の順に見ていきましょう。

整理「要る・要らない」でうまくいかない場合

まず1つめ「整理」。これは、一定の基準によってモノを区別することをいいます。一般的には「要る・要らない/使う・使わない」と言われていますが、ここで悩む方、うまくいかない方は、使用頻度による基準で分けてみてください。「使う」という事実にもとづいて決めるので、割と楽に整理ができます。

同じペン10本でも分けられる、積極的整理の考え方

例えば、机の中の文房具全体を仮に「週1回以内に」使う・使わないの基準で見てみましょう。すると大きなダブルクリップ、修正液、セロハンテープ、マーカーペンなどは、取り除く対象となることが多いです。ペンが複数あるなら、「週に1回以上使うペンか・それ以外か」で分けられます。もし、全く同じメーカーの同じ状態の黒のペンが10本あったとしても、2本は机の中(週1使う)、8本は別の場所(週1使わない)へと置き場所を変えることで取り除くことができます。こんな風に、今使っているモノを分けることでより便利で快適になる。これが効率化につながる積極的な整理の考え方です。
ちなみに、「整理=捨てること」ととらえている方が多いですが、これでは明らかなごみを机の周辺から取り除くだけなので、効率化は図れないですし「もったいない、捨てられない」にとらわれ「片づけが進まない・苦手」となりがちですので気をつけてください。

収納は隙間スペースにモノを隙間なく詰め込む作業ではない

整理が終われば収納です。整理で分けた1グループのモノを使いやすく収める作業です。例えば、ペンを置く場所を考える際、右利きの人であれば右側に置いた方がペンと手の距離が短いため、動線がいいですよね。動線が良いということは出しやすく、戻しやすいということです。「アイデア収納」と呼ばれるほど、多種多様の収納方法がありますが机の周辺のコツとして「四角く区切ること・立てておくこと」の2つの原則を見ていきます。

四角く区切る、立てて置く

まず、机の引き出しなどは、四角い収納用品を使って区切ってモノを収めること。区切らずにモノを入れていると、せっかく整えて入れた場所から少しずつ移動し崩れていきます。また丸いカンなどにピンやクリップを入れていると、デッドスペースが発生するため、四角のほうが収納効率は良いのです。立てて収納も基本。机、カバンの中も立てて置く。横置き・平置きをしてしまうと、下の方のモノが見えなくなったり、忘れたりと散らかる原因になります。

紙の平積みはNG

その最たるNGが紙類です。次々とやってくる書類が上に積まれていくため、下へ行くほど古い書類が積もっている。それを取り出すだけで、何アクションも何分もかかり非効率。完全に無駄な作業です。これらは立てるだけで、見た目の印象も大きく変わりますし、何より底の方にある古い書類でもすぐ取り出せるようになります。
ちなみに、この古い書類は、手に取った後「これが何の書類で、どういう処理待ちでここに置いたか等、その際の経緯や一連の作業を思い出すための時間」がかかります。モノの管理は、情報管理や思考時短とつながっているため、書類を立てただけに見えて、その後の副次的効果はとても大きいのです。

引き出しの中にミニゴミ箱を設置する

私がしていた、収納のコツを「時短・アクション数」をキーワードにご紹介。よかったら取り入れてみてください。机の2段目の引き出しの中に、小さな箱にビニール袋をかけたミニゴミ箱を置くだけです。事務作業中に発生するホチキスの針や、使った後の付箋など、文具の小さなゴミはここへ入れていました。

便利の理由を数値でとらえると、無駄を省く意識が高まる

共有のゴミ箱へ捨てる場合、捨てて戻ってくるまでに、

①椅子を引く
②立ち上がる
③椅子をもとに戻す
④ゴミ箱まで歩く
⑤ゴミを入れる
⑥戻ってくる
⑦椅子を引く
⑧座る

と合計8アクションかかります。対して、引き出しの中のゴミ箱は、

①引き出しを開ける
②ゴミを入れる
③引き出しを閉める

の3アクション。1時間に1回ゴミを捨てる6回。48(6×8)アクションに対して、18(6×3)アクション。単純にアクション1秒と見ても机の引き出しの方が効率は良く、これが年間260日×職員数と考えると、この1秒もとても大事になっていきます。
「ただ便利」ではなく「そこに、その向きにそれを収めることで、どんな効果を得たいのか」に理由をつけながら、改善していくことで、徐々にコックピット化に近づきます。

モノに住所が決まれば、片づけはできる

次に、収納したモノを見た目に美しく整えることを「整頓」と呼びます。今回は机の中を美しくするわけではないので割愛。そして、整理・収納・整頓まで行うと、すべてのモノに対して定位置が確定します。この定位置へモノを戻すことを「片づけ(狭義)」と呼びます。整理・収納・整頓と順に進め定位置を作れたら片づけはうまくいきます。

整理は判断力と決断力、誰に気兼ねすることなく自分で進められる

机に関する整理・収納・整頓・片付けの作業で、作業時間に対して1番効果が高いのは整理です。整理が徹底・厳選されるほどモノが少なくなり、手間をかけなくとも効率の良い状態を容易にキープできるからです。「使わないけど、ほかに置く場所がないからとりあえずこのまま」「また今度にすればいいか」という課題の先送りはNG。その結果が今の机周りの状態です。ただし、少しでもいつもと違う決断をすることを心掛ければ、整理力がアップし、必ず改善につながります。

誰に相談することも気を遣うこともなく、さらに今すぐ進められるのが、自分の机周りを片づけるときの良いところです。もちろん時間調整、進め方まで全部自分のペースで進められます。ほかの業務ではこうはいかないので、片づけは思い通りに進められる楽しい改善だと思うようになったとおっしゃった方もいらっしゃいました。さらに1つ作業すれば必ず1つ結果が出るのも片づけの良いところです。ぜひ作業をプラスにとらえながら、手順に沿って進めてみてください。

 


プロフィール

株式会社オフィスミカサ 代表取締役
長野 ゆか(ながの・ゆか)

大阪府生まれ、大阪府内中核市にて情報システム部門所属、15年勤続を経て独立。
現在は、文書(書類・データ)ファイリングを中心に、オフィスの環境改善・効率化などを指導。1か月で5.2トンの削減の実施。各社企業理念に沿った環境改善→業務改善(モノからコトへ)を促し、全体の業務効率アップを行う。
研修講師としては、オフィス向け(環境改善、接遇、ビジネスメール)から、家庭向け(ホームファイリング®・子育て・シニア片づけ講座)まで様々なテーマで登壇。大手企業、大学、弁護士会、自治体まで多数。述べ受講生は5,000名以上。プライベートでは、小学1年生から高校生までの3児の母。

保有資格
一般社団法人日本経営協会 情報資産管理指導者
一般社団法人ハウスキーピング協会認定  整理収納アドバイザー1・2・3級講師(全国24名) 他

著書
実践! オフィスの効率化ファイリング』(DOBOOKS / 同文舘出版)

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