ジチタイワークス

岩手県久慈市

災害への備えと節電を実現する、太陽光発電と蓄電池との連携。

東日本大震災で停電が続いた久慈市。非常用発電機では電力供給が追いつかず、住民は寒い避難所で不便な生活を強いられた。同市が震災後に進めている、再生可能エネルギー(以下、再エネ)を災害時に活用する取り組みについて話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.17(2021年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]ニチコン株式会社

寒い・暗い・情報が届かない、災害で痛感した電気の大切さ。

震災当時、まだ大学生だった同市の島袋さん。「停電が続いたので、情報収集は電池式ラジオだけが頼り。津波の映像を見たのも3日ほどたってからでした」と振り返る。

同市では、復興計画を策定する中で、災害に強い電力供給システムの導入を検討。「非常用発電機を使うには、燃料の備蓄も必要です。何より環境への負荷を考えると、震災後の復興計画で市が掲げた、再エネ導入の促進が必要でした」。そこで検討したのが、太陽光発電と蓄電池の組み合わせだったという。

「蓄電池は導入コストがネックになります。そんな中、環境省の『グリーンニューディール基金※1』で支援が受けられることになり、計画を進めることができました」。各避難所について、照明器具は何灯必要か、外部連絡用のパソコンを何台使用するのかなど、基準に沿って細かく設備容量を割り出し、準備を進めた。

そして太陽光パネルとともに導入したのが、自治体での導入実績も多い「ニチコン」の「公共・産業用蓄電システム」だ。「求める条件を満たしており、施設規模や官民問わず広く普及しているという安心感もありました」。

※1 再生可能エネルギー等導入推進基金事業。避難所や防災拠点などへの再エネ導入を支援する

停電時も特別な操作は要らず、平時は節電による経済効果も。

平成25年度から令和2年度までに導入した同システムの設置場所は、避難所に指定されている小中学校や市民センターなど計10カ所。平時は太陽光パネルで発電した電気を各施設内で使用し、災害による停電の際は、避難所として使う場所を中心に、蓄電池から電気が供給される。復旧すれば、また通常運転に戻る仕組みだ。「切り替えは全て自動で行われるため、現場で特別な操作をする必要はありません」。停電時の備えになるだけではなく、経済的な効果もあるという。「平時には発電した電気を使うことで、電気代の節約にもつながっています。予算との折り合いがつけば今後もどんどん導入していきたいです」と意欲を見せる。

同社の蓄電システムの強みの1つは、拡張性が高いこと。蓄電池は施設規模に合わせて容量を拡張でき、幅広いメーカーの太陽光パネルと直接の接続が可能だという。もう1つは、設置可能な場所が多いこと。本体はセパレート構造で分割納入ができるため、狭い搬入口でも対応可能。屋外設置の場合も、通常は必要となる大がかりな収納箱が不要なので、軽量化につながり、スペースも小さくて済む。また、実は設置に適した場所を見つけるのが難しい場合も多いそうで、同社製品のコンパクトで場所を選ばない点は、大きな魅力といえそうだ。

久慈市での設置例

久慈市立三崎中学校

屋外でも収納箱なしで、本体に直接屋根をつけるだけで設置できる。屋上など狭い搬入口には分割納入で対応が可能。


久慈市立山形中学校

敷地内に広いスペースがなくても、各種条件が合えば、建物や設備の間などちょっとした空間に効率的に設置できる。屋内の廊下などにも設置可能だ。

急速充電器との連携も模索し2050年脱炭素化を目指す。

震災を経験した島袋さんが強調するのが、備えの大切さ。「災害はいつ起こるか分かりません。何かあってからでは遅い。今回こうして再エネ設備の導入促進に寄与した意義は大きいと感じています」。

主な避難所への導入は一段落したが、今後は維持管理費が必要になる。そこで、補助金に頼らない仕組みづくりのために、PPA※2モデルの実証事業に取り組む予定だ。将来的に設備交換が必要になった際の費用負担を軽減する手段の1つとして、検討しているという。

また、同市は保有施設における2050年までの脱炭素化を掲げている。太陽光発電と蓄電システムの導入は貴重な成果だが、目標達成にはさらなる施策が必要だという。「電気自動車とV2H※3を導入し、蓄電システムの機能を持たせるなど、あらゆる可能性を検討していきたいです」。近年多発する自然災害に対して、電力の備えは待ったなしの状況といえる。着実に歩みを進める同市の取り組みは、1つの手本となるだろう。

※2 PPA=Power Purchase Agreement(電力販売契約)。施設所有者の敷地や屋根に太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を施設の電力使用者へ販売する
※3 V2H=Vehicle to Home(車から家へ)。電気自動車などの大容量バッテリーから電力を取り出し、分電盤を通じて家庭の電力として使用できる仕組み

久慈市 企業立地港湾部
企業立地港湾課
島袋 龍二(しまぶくろ りゅうじ)さん

蓄電池を中心としたソリューションで自然災害による停電に安心の備えを。

太陽光発電+蓄電システムのメリット

1.災害時も燃料不要で発電し、蓄電できる安心感

太陽光発電+蓄電システムは、発電用の燃料供給や備蓄の心配が不要。天気は重要だが、物資不足になりがちな災害時にはガソリンなど燃料の確保も難しくなるため、安心感が高いといえるだろう。また、CO2を排出しないため、地球温暖化対策にも貢献できる。

2.施設の規模や設置場所に合わせられる拡張性の高さ

蓄電池本体はセパレート構造となっており、規模に応じて必要分を追加することで、蓄電容量の拡張が可能。しかも分割納入できるので、狭い搬入口でも内部に大容量のシステムを設置することができる。

3.大容量でも省スペースでコンパクトに収納可能

屋外設置の際、通常は必要となる収納箱が要らず、屋根をつけるだけで済む。その分、軽量化され施工も簡単に。結果的にコスト削減にもつながる。

4.まちの安心を長く見守る、長寿命の蓄電池

長寿命で安全性にも配慮された、高性能の蓄電池を採用。同社の製品調査では、15,000回の充放電が可能とされており、1日1充放電を1サイクルとすると、理論上は約40年持つ計算になるという。

脱炭素のまちづくりを支えるソリューション

今回導入された蓄電システムをはじめ、電気自動車に速やかに充電できる急速充電器やV2Hシステムもラインアップ。自治体のあらゆるニーズに応える製品が用意されており、将来的な再エネまちづくりに活用が期待されている。

自治体向けに約400件の導入実績あり!

全国各地の避難所や公共施設で、ニチコンの蓄電システムが採用されています。令和2年、沖縄県の北大東島では、台風で全島が2日間停電しましたが、5カ所の避難所で蓄電システムが稼働。とても助かったという声をいただきました。

お問い合わせ

サービス提供元企業:ニチコン株式会社

TEL:075-241-5338
住所:〒604-0845 京都府京都市中京区烏丸通御池上る
E-mail:contact@nichicon.com

資料ダウンロードはこちら

メールで問い合わせる

記事タイトル
自治体名
部署・役職名
お名前
電話番号
メールアドレス
ご相談内容

ご入力いただきました個人情報は、ジチタイワークス事務局がお預かりし、サービス提供元企業へ共有いたします。
ジチタイワークス事務局は、プライバシー・ポリシーに則り、個人情報を利用いたします。

上記に同意しました

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 災害への備えと節電を実現する、太陽光発電と蓄電池との連携。