SDGsへの取り組みが浸透してきたこともあり、日本でも企業の社会的責任のあり方や、努力目標に注目が集まっている。“豊かで快適な住まいの実現”を目指す、「LIXIL(リクシル)」のコーポレート・レスポンシビリティ(CR)戦略について話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.15(2021年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社LIXIL
先送りできない課題に対して、私たちが取り組むべきこと。
平成27年、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。これは、もう先送りできない地球全体の課題に対し、人類が一体となって立ち向かうことを誓った決意表明といえる。すでに世界各地において、これらの目標を令和12年までに達成させるべく、様々な対策や活動がスタート。「一部の国や人々のみの行動で解決できる問題ではなく、官民学を問わずワンチームとなって取り組む必要があります。私たちLIXILも例外ではありません。我々の事業である“住まいと暮らし”を通じて様々な課題を解決し、社会に貢献していかなければならないと考えています」と黒坂さん。また実際、現在の日本の住まいには、SDGsの観点において解決しなければならない課題が数多くあるのだという。
地球環境の問題と常に連動する“住まい”と“健康”の関係性とは。
地球資源や持続可能なエネルギー、まちづくり、ユニバーサルデザインなど、SDGsが解決を目指す課題と、住まいの関係は驚くほど深い。中でも、注目したいのが、SDGs3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」との関係だ。
健康維持(疾病予防)対策は、これまで日々の運動やストレスの解消など、生活習慣を良好に保つことに重きが置かれていた。しかし現在では、温度や空気、水、光といった生活の根幹となる環境を良好に維持することが重要視されているという。「例えば、心筋伷塞や脳卒中の引き金と成り得る『ヒートショック』の問題がありますが、実は、住まいの断熱性を高めることでそのリスクを軽減することができます。また、体内リズムを整える光環境は、疾病リスクを減らすことも分かっています」。
SDGsにおける13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」との関係も密接だ。考えられている対策は2つあり、原因となっているCO2排出量の削減、そして、気候変動によって起こっている健康被害や自然災害への備えだ。「気温が上昇したからといって、さらにエネルギーを使い、CO2を排出しては意味がありません。これらは、窓や玄関などを断熱化することで省エネ化したり、外付日よけを設置し、室内熱中症などを予防したりすることで、地球への負荷を少なくする対策ができます」。
自治体と連携して進める住民参加型の様々な取り組み。
このように、SDGsと住まいの関係でポイントとなるのが“室内温度”だ。同社では、この点に着目し、自治体や地域の様々な人たちと、個人が住まいでできる行動を考える「THINK HEAT(シンクヒート)」という活動を行っている。小学校への出前授業や、自治体と協働したプロジェクトなどを地域社会で展開。「室内温度を考えることが、実は地球環境や、家族の健康を守ることにもつながります。全国の自治体と一緒になって、これらを伝えていきたいと思っています」。
出張授業に参加した児童からは、「家の中に風の通り道をつくることが大切なんですね」や「自然の力を活かして暮らす方法があることを知りました」といった声が寄せられているという。同取り組みは、令和2年度の気候変動アクション環境大臣表彰を受賞するなど、社会的評価も高い。
同社の製品は、SDGsの取り組みに直結するものが多く、住まいの様々なシーンにおいて、課題解決につながるという。「しかし、SDGsが解決を目指す課題はとても多様です。どの製品がどのように寄与するのか、一般的には分かりづらいのも確かです。その際は、ぜひ、ご相談ください」。
国の旗振りもあり、SDGsに対し、積極的に取り組みたいと考える自治体は増えてきたが、何をすればよいのか分からないという声も聞こえてくる。まずは住民が参加しやすい、このような身近なテーマからはじめてみてはいかがだろうか。
LIXIL
ハウジングテクノロジージャパン
営業本部 リフォーム推進部
黒坂 幸二(くろさか こうじ)さん
室温管理の重要性を全国に伝えるLIXILのTHINK HEAT活動とは。
同社は、室内温度に着目し、各個人が自らの住まいで実践できることを、環境問題の視点を交えて考える活動を実施。自治体などと協働しながら進めている。
具体的な活動内容
1.住まいの性能の違いを体験できる「住まいStudio」
断熱材の違いで快適さはどう変わるのか。快適な暮らしを送るために必要なことを学べる体験型ショールーム。東京と大阪の2拠点で展開されており、予約制で誰もが利用ができる。
2.室内熱中症から家族を守る取り組み「クールdeピース」
外付日よけスタイルシェードを活用するなど、自治体とLIXILが協働して室内熱中症対策強化を推進。室内熱中症予防や日よけする習慣の啓発活動を継続的に実施している。
平成29年~
埼玉県熊谷市×LIXIL
市民モニター宅や無人住宅で各種の実証実験を実施。
平成30年
熊本県西原村×LIXIL
熊本地震の災害公営住宅にスタイルシェードを贈呈。
令和2年
静岡県富士市×LIXIL
教室内温熱環境の改善に向けた共同検証実験を実施。
3.室内温度からヒトと地球を考える“出前授業”
子どもたちが住まいの温度のことを考えるきっかけづくりとして、全国の学校で開催。講師はLIXIL従業員。平成30年7月から始まった授業「健康と環境に良い住まい方」には、計40校、累計2,940名の児童が参加。
THINK HEATの活動が、環境⼤⾂表彰を受賞
気候変動対策推進の一環として、これらに顕著な功績のあった個人・団体を称える環境省の表彰に、
同社が長年取り組んできたTHINK HEAT活動が選出され、社会的にもその評価は高まっている。
事業を通じ、課題解決を促進します!
当社は、コーポレート・レスポンシビリティ戦略として、「衛生課題の解決」「環境の保護」「多様性の尊重」の3つを重点取り組み分野として策定しています。詳しくはぜひ、こちらからアクセスください。
お問い合わせ
サービス提供元企業:株式会社LIXIL
ハウジングテクノロジージャパン 営業本部 リフォーム推進部
住所:〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1
E-mail:kouji.kurosaka@lixil.com(担当:黒坂)