自治体の“税収”に大きな影響を及ぼす「ふるさと納税」。寄付を少しでも多く集めるため、返礼品をPRする機会を増やす方法として、ふるさと納税ポータルサイトへの掲載がある。今回、「クレディセゾン」が令和2年10月にスタートさせた「セゾンのふるさと納税」について、担当の小林さんに話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.14(2021年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社クレディセゾン
管理・運用コスト削減のため掲載サイトを厳選したい。
年々、受入額・受入件数ともに右肩上がりのふるさと納税。総務省の公表データによると、令和元年度の受入額実績は約4,875億円。5年前の約388億円と比較すると、約12倍に伸びている。
自治体も日々、寄付の増加を目指して様々な施策を行っているが、特に有効だとされるのが、ふるさと納税ポータルサイトの活用だ。サイトを介し、住民へ返礼品情報を伝えることができ、その情報量が増えるほど、より多く寄付が集まる可能性が高まる。しかし、同様のサイトは数多く存在し、掲載サイトをやみくもに増やせば、比例して情報更新などの管理業務が増加してしまう。小林さんは「サイトの管理を外部に委託することもできますが、その分、自治体が負担するコストがかさみます。最近では『利用者に確実に訴求できるサイトに絞って掲載したい』というニーズが増えました」と説明する。
ふるさと納税ポータルサイトには、2種類のタイプが存在。1つは、顧客基盤を持たずゼロから集客を必要とするタイプ。もう1つが、別事業の顧客基盤をもとに展開されるタイプだ。同社が運営する「セゾンのふるさと納税」は後者である。
顧客基盤と手数料の低さで効率的に寄付額増加を実現。
同社のサイトが開設されたのは、令和2年10月。そこから4カ月足らずで、89自治体が掲載。サイトの強みについて「母体となるセゾンカードの会員数が約2,700万人。この顧客基盤を活かすことで、ふるさと納税への効率的な集客が見込めます。また、寄付の上限額が高いプラチナ・ゴールドカードの保有者である高所得者会員に対しては、限定プロモーションなどを行うことで、寄付の後押しもできます」と語る。
さらに、手数料が比較的安価であることも魅力の1つ。一般的に、ポータルサイト経由で寄付を受けた場合には、その額から各社が定めた掲載手数料や決済手数料が差し引かれる。手数料に関して、「寄付してもらったお金を最大限に税金として活かすには、手数料を安く抑える必要があります。ただし、集客力の高さを考えると、割高にはなるものの、やはり大手サイトに掲載が偏りがちです。しかし、我々のサイトの手数料は、決済手数料込みで6%。当社で調べた限り、比較的に廉価だと自負しています。また、カード会員を顧客基盤にしているので、集客力についても、他社と比較して劣らない自信があります」と小林さん。
“面倒”なイメージは動画で軽減!初心者でも始めやすいものに。
ふるさと納税は、徐々に浸透しつつあるが、まだ利用したことのない人も多い。実際に、同社の社員調査では、いまだ7~8割の人が未利用だという。この点に着目し、未利用者層を取り込むことで、さらなる寄付を呼び込む施策を行っている。
「調査では、多くの未利用者のハードルとなっているのが、“面倒くさそう”というイメージだったことが分かりました。そこで、どの点が分かりづらく、手間だと思われるのかを徹底的に調査し、その結果をもとに、『1分でわかるふるさと納税』という動画を制作。入門ガイドページとして掲載しています」。
同サイトは、簡単に申し込みできる仕組みがあることも特徴。特に、多くの会員数を誇るクレディセゾンカードの所有者は、登録・決済時における個人情報の入力が一切不要。また、同カードの利用で貯まる「永久不滅ポイント」を使って寄付できることも、初回利用時の心理的ハードルを下げるといえそうだ。
実際、ユーザーアンケートには、「カード会社が運営しているので安心」や、「始め方が分かりやすく、初めて寄付をしてみました」といった声が寄せられているという。同サイトへの返礼品情報の掲載により、これまでリーチできていなかった層への新たなアプローチで、新規顧客の獲得が期待できそうだ。
クレディセゾン
左:課長 鈴木 泰明(すずき やすあき)さん
右:小林 潤喜(こばやし じゅんき)さん
カード会社ならではの特徴や施策が、自治体側の大きなメリットに。
セゾンのふるさと納税が目指すのは、自治体が最小限の負担で多くの顧客と接点を持てるサイト運営。クレジットカード会社ならではの“安心感”と“手続きの簡単さ”で、新規顧客を開拓し、管理運用コストをカットしている。
手軽に掲載開始ができる運用体制
1.シンプル決済
決済は、クレジットカード払い、ポイント決済の2種類のみ。後払い決済がないため、寄付の手続きを行った段階で支払い完了となる。
2.ワンストップ契約
決済システムを有しているため、決済代行会社と別途契約を結ぶ必要がない。申し込みから契約締結までの流れもスムーズ。
3.掲載開始サポート
返礼品情報の管理は基本的に自治体が行うが、登録の手間を最小限にするため、初期設定の際はスタッフが個別にサポートを行う。
4.寄付システム連携
寄付管理システム各社との連携を今春からスタート。これにより、自治体の情報管理にかかる負担軽減を見込む。
豊富なプロモーション
ポイント払い促進キャンペーン
セゾンカード会員が保有する1,100億円の永久不滅ポイントを寄付に使える。初心者でも気軽にふるさと納税を始めるきっかけづくりに。
上位顧客限定キャンペーン
セゾンカード専用アプリ「セゾンPortal」会員の上位顧客に限定した取り組み。セゾンサービスの利用頻度・利用額が高いユーザーへ寄付を促す。
20%ポイント還元キャンペーン
プラチナ会員限定で、寄付金額の一部をポイント還元する。ユーザーの、さらなる寄付額の上積みと、閑散期の需要喚起を見込む。
今後の展開サービス
●返礼品おまかせガチャ機能をリニューアル
“思わぬ返礼品に出会える”ことで、カード会員や掲載自治体から好評の「返礼品おまかせガチャ」をリニューアル!ふるさと納税のハードルを下げる“偶然の出会い”を演出。
●カタログでも楽しむふるさと納税(2021年夏ごろ開始予定)
WEBサイトに積極的に訪問しない人には、「セゾンのふるさと納税」単独の冊子を作成し配布。(富裕層を重点的に配布する予定)
“手軽さ”で寄付額拡大に貢献します!
返礼品の豪華さによる寄付の促進は、すでに限界を迎えています。今後は、いかに今までふるさと納税に触れてこなかった層を取り込むかが重要です。セゾンカード会員を新規顧客として誘導できるよう、今後も取り組んでいきます。