様々な申請書類の電子化が進められているが、個別事由などの記入欄がある書類の場合、手書き様式を残さざるを得ない。そんな中、近江八幡市では複数課の業務に、AI-OCRとRPAを組み合わせて導入。入力・登録業務の効率化を実現した。
※下記はジチタイワークスVol.14(2021年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]NTTビジネスソリューションズ株式会社
事務作業の自動化で職員負担の軽減を目指す。
各地の自治体が働き方改革の一環として、AI式OCRやRPA導入による事務作業の自動化に踏み切っている。同市でも業務効率化を目指し、4~5年ほど前から業務DXの検討を開始した。しかし、RPA導入をはじめとするICT化の推進には、相応の事前準備と変革への意識改革が必要となる。多忙な通常業務の中、それらを行うことは簡単ではなかったという。
そこで令和元年度、全庁的にICTを推進するため庁内各課でICT推進員を選任。令和2年7月にプロポーザルを実施し、「NTTビジネスソリューションズ※」が提供する「NaNaTsu AI-OCRwith DX Suite(以下、AI-OCR)」とRPAツール「WinActor」の導入を決めた。
「事業者選定に当たり、価格、保守体制に加え、運用のしやすさや、研修会の実施など庁内への推進を重視した結果、同社への発注が決まりました」と三浦さん。AI-OCRの操作性の良さも職員間で好評だったが、やはり導入後のサポートが手厚い点が大きな理由になったのだという。
※旧NTTフィールドテクノ
システムが機能する業務を洗い出し、運用効率を改善。
AI-OCRは、高精度な読み取りとクリックのみのシンプルな操作、LGWAN内で作業を完結できるセキュリティ性などが強み。同市は当初、このAI-OCRサービスとRPAツールとを、書類の取り扱い量が多い子ども支援課、健康推進課などに導入する仕様で発注。各種書類のデータ化と基幹システムへの登録を自動化することで、事務作業の負担軽減を目指した。しかし、実際に導入を進めていくと、それほど大きな効果を見込めない業務があったという。三浦さんは、「子ども支援課との連携が甘く、申請書類のPDF化やOCRデータの確認作業などに想定以上の工数が必要になることが判明しました。従来の作業が能率化されていたこともあって、結果的に導入することが非効率となり、業務選定への課題が残りました」と振り返る。そこで、“システム導入により効率化できる業務は何か”という原点に立ち返り、各課にヒアリングを実施。手書きの申請書が多い幼児課に効果が見込めることを確認し、同課を含む3課への導入を決めた。
その後も、導入の拡大を見据え、NTTビジネスソリューションズの協力のもと、ICT推進員による2度のワークショップを実施。併せて行った庁内アンケートでは、16件の導入要望が集まったという。これらについても、同社担当者と協力して詳しい業務分析を行い、令和3年度からは環境課、建築課、発達支援課へ導入することに。「発達支援課には、障がい児支援の専門職が配置されています。システムの導入により事務作業の時間を削減できれば、その分を“人(専門職)”でなければできない障がい児ケアに注力することができる。これは大きなメリットだと感じています」。
丸投げではなく、一緒につくり上げる意識が重要。
「AI-OCRは読み取り精度が非常に高く、細い文字や多少クセのある文字でも、修正が必要になることはそれほどありません」と幼児課の平内さん。
同課の場合、認定申請書や入園申込書、各種証明書などの受付後、認定処理を行い、その結果を1件ずつ手入力する。この作業を年間1,000件ほどこなしているという。そのため、自動化による効果の見込みは大きい(下記一覧参照)。「作業時間を削減できているのを知り、まわりの課の職員からも『他の作業にもRPAを使えないだろうか』といった前向きな意見が出始めています」と三浦さん。「当初、RPAのシナリオを職員が作成することも想定していました。しかし、デジタルに苦手意識を持つ者も多く、庁内業務を一気に自動化するのが困難でした。今後は研修会などを実施し、全職員の意識改革とともにDXに向けて推進していきたいです」と意欲的だ。
システムなどの導入に当たり、ベンダーである企業に“丸投げ”する自治体も少なくないようだが、「一緒につくり上げる意識を持ち、円滑に活用するための工夫を共有することが重要ですね」と三浦さん。同市では今回の導入をきっかけに、DX推進への気運がよりいっそう高まっている。
近江八幡市
左:行政経営改革室 三浦 薫(みうら かおり)さん
右:幼児課 平内 真梨子(ひらうち まりこ)さん
近江八幡市のAI-OCR+RPA導入フロー
1.庁内研修会の実施
ICT推進員によるワークショップを通じ、業務におけるシステム(AI-OCRとRPA)の必要性や有効性を分析。効果が期待できる課(業務)を選定。
2.導入課へのヒアリング
導入を希望する課の担当者に対し、“現行のどの業務において、どのような設定・条件でシステム導入を図るか”の十分なヒアリングを実施。
3.導入・運用支援
ヒアリング内容をもとに、システムの適用に合った業務手順や運用方法を整理。整理された業務手順に沿って、帳票設定やシナリオ作成を実施。
4.運用の検証と改善
作成した帳票設定やシナリオにより運用を開始し、導入効果を測定。職員からの意見・要望に合わせて改善が必要な箇所を抽出。
高精度かつ高セキュリティなAI-OCRサービスで自治体の業務負担軽減をサポートします。
契約したらLGWAN経由ですぐに使い始められます。
全国の自治体が、業務効率化を目指しAIツールやRPAの導入を進めています。しかし、総務省統計によると、AI導入率が都道府県や指定都市では全体の80%に達しているのに対し、その他の市区町村規模では、20%ほどに止まっているというのが実情のようです。
未導入自治体の50%以上がDX推進への意欲を持っているようですが、「担当者の業務負荷が大きい」「専門的な知識が乏しいので導入計画が策定しにくい」などの理由から、実際の導入まで至らないケースが多いようです。私たちがご相談に対応した各地の自治体職員からも、「日常の業務が忙しく、つい後まわしになってしまう」といった声を数多く耳にします。
その点、当社が提案する「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」は、専門的なスキルを要する事前準備も、多額のシステム構築費用も不要で、契約後すぐに使い始めることが可能です。また、システムはすべてLGWAN上に構築されており、職員の皆さんもLGWAN経由でサービス利用する形態なので、インターネットとの接続は一切発生せず、セキュアな環境のもと、安心して業務効率化に取り組んでいただけます。
マイナンバーなど個人情報の取り扱いにもしっかり配慮。
同サービスが採用するAI-OCRエンジン「DX Suite」は、国内AI-OCR市場トップのシェアを誇っています。これは、AIエンジンによる高精度な読み取り機能とユーザビリティの高さが、高評価を得ているものと私たちは考えています。
また、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に準拠し、マイナンバー情報を含む帳票の読み取りが可能である点も、多くの自治体に選ばれているポイントだといえます。
当社はこのAI-OCRサービスと、RPAツール「WinActor」とのセット導入をオススメしています。2つを連携させれば、スキャニングした書類画像をアップロードするだけで、帳票書類のデータ化から基幹システムへのデータ入力までの工程を、トータルに自動化できるからです。
万全のサポート体制でAI-OCR+RPAの連携を支援。
RPA導入の検討段階では、シナリオ作成がネックとなるケースも多いです。しかし当社では、各自治体の要望に合わせた導入に向け、現地での導入・運用支援、勉強会・研修会の開催による利活用促進、テクニカルヘルプデスク運営など、万全のサポート体制を整えています。
近江八幡市での研修会の様子。
AI-OCRとRPA導入における成功のカギは、職員自らも強い導入意欲を持ち、スキルアップしながら推進体制を整えていくことであると考えています。当社は、その体制づくりを全力でサポートします。「せっかく導入したのに使いこなせていない」といった状況を招かぬよう、導入前後の皆さんとの協業体制により、その効果を最大化できるように取り組みます。
直感的な操作で簡単に使える。
導入までの道筋づくりから、効果を出しやすい業務選定のお手伝い、個々の業務に合わせた活用法の検討など、身近なパートナーとして業務負担軽減を支援します。ぜひ、お気軽にご相談ください。
NTTビジネスソリューションズ
バリューデザイン部 コアソリューション部門
扇本 一輝(おおぎもと かずき)さん
AI-OCRで手書き文字でも素早くデータ化!RPAとのセット導入で一連作業をトータルに自動化させる。
[NaNaTsu AI-OCR with DX Suiteの強み]
1.高い読み取り精度
AIエンジンによる読み取りで、活字や手書き文字を高精度で読み取り可能。
実証実験では90%を超える正解率
2.簡単な操作性
クリックだけでOCR設定からCSVファイルのダウンロードまで全てを実行、高度な知識は不要。
全ての操作が直感的な操作で完結
3.高セキュリティ
作業は自治体専用の閉域網LGWANで全て完結、セキュアな環境で提供。
インターネットへ一切アクセスなし
4.RPAとの連携
RPAを活用し、AI-OCRで得たCSVファイルデータのシステムへのデータ投入も自動化が可能。
RPAと連携し、業務全体を効率化
導入前後のお困りごともトータルにサポート
導入実績
近江八幡市、関市、桑名市など、西日本エリアを中心に約30自治体に導入。
※NaNaTsu AI-OCR with DX Suiteのみの導入を含む
活用対象業務
特別定額給付金の支給業務、市政アンケート結果集計業務、国保税還付業務など。
※「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」は、株式会社NTTデータが提供する、AI inside株式会社の文字認識AIを活用した地方公共団体等向けのサービスです
※「NaNaTsu」は株式会社NTTデータの商標です
※「DX Suite」はAI inside株式会社の登録商標です
※「WinActor」はNTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です
無料トライアルを実施中
当社が提供するAI-OCRを、2カ月間(2万パーツまで)無料で使える利用環境を提供中です。トライアル導入をご希望の場合は、右記のお問い合わせ先にご連絡ください。
※過去にトライアル済、または本格導入済みの団体様は対象外となります
お問い合わせ
サービス提供元企業:NTTビジネスソリューションズ株式会社
TEL:06-6948-5324
住所:〒534-0024 大阪府大阪市都島区東野田町4-15-82 NTT西日本新京橋ビル7F
E-mail:ai-ocr-ft-gm@west.ntt.co.jp