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【セミナーレポート】自治体防災対策セミナー~コロナ禍の災害を乗り越えるために~

収束の兆しが見えないコロナ禍。そして、激甚化・頻発化する自然災害。それぞれの個別対応策も重要ですが、台風や大雨が懸念されるシーズンが近づいていることから、「コロナ禍の中での大規模災害」という、複合的な事態も念頭に置いていた方が良さそうです。どのような対策が必要か、防災対策のプロに語ってもらいました。

当日の内容を概要版でお伝えします。参加できなかった方は、次回のセミナー開催にご期待ください。

概要

◼タイトル:自治体防災対策セミナー ~コロナ禍の災害を乗り越えるために~
◼実施日:3月25日(木)
◼参加対象:自治体職員
◼登録者数:82人
◼プログラム:
Program1 今問われる住民と行政の災害時の自助力
Program2 避難所で考える蓄電池、感染症対策について

Program 1
今問われる住民と行政の災害時の自助力

災害発生時、まずは“自助”、そして“共助”が重要だと言われている。ただ、“自助”“共助”体制をつくるための取り組みは進んでいるのだろうか。様々な防災対策について研究している山口大学大学院の瀧本 浩一さんは、「かけ声だけでは自助・共助は実現しない」と指摘する。

<講師>

瀧本 浩一 氏
山口大学大学院 創成科学研究科 准教授
総務省消防庁消防大学校 客員教授

プロフィール

博士(工学)。専門は防災とまちづくり、防災教育。国・自治体における防災関連委員や防災アドバイザー等を多数務める。年間100件超の防災講演・研修等の講師を務め、地域防災リーダーの育成や地域防災力向上のため、精力的に活動。主な著書は「第5版 地域防災とまちづくり-みんなをその気にさせる災害図上訓練」など。

“自助”“共助”“公助”の位置づけを考える

コロナにせよ自然災害時にせよ、自治体は“自助”“共助”の重要性を口にしますが、コロナ禍の現在、“できるだけ避難せずに済む仕組みをつくる”ことを重視せねばなりません。避難所では、どうしても密状態が発生するからです。そのためには、消防団や自主防災組織など行政外の方々の協力体制が必要で、行政内・外の“共助”が重要な前提となります。

とは言え、自助ができていなければ、行政内・外の共助もできません。そもそもの自助ができていないから、その支えの上にある共助が機能しないという悪循環を、過去の災害時でも繰り返しています。現行のコロナ対策に関しても全く同じですが、「自助はそれぞれの人が取り組むべきもの」という考えが一般化しているので、体制強化が進まないのです。

発災時、“自助→共助→公助”の順で進む対策を、災害前には“公助→共助→自助”の順に変え、耐震補強や家具等の転倒・飛散防止策の普及、水害の場合は雨雲レーダーや水位、土砂災害危険度の情報収集と伝達体制構築などを行うことが、自治体の使命だと思います。“ゴミ出しルールの徹底”が、まさにその好例で、自治体によるまちづくりの一環として、ごみ出しルールを町内会や団体、地域コミュニティなどに通達することで、各家庭(個人)がそのルールを守る仕組みができています。公助と自助の間に共助を噛ませることが重要なのです。


災害に対する防災・減災の基本的な考え方

子どもたちの運動会を例にして、防災・減災の基本的な考え方を見てみましょう。運動会の障害物競走に出場する場合、どういう障害物がコース上にあるのかを予想し、それをどうやって越えるか、事前に考えると思います。防災も同じで、今後発生するかもしれない障害は地震なのか、水害なのかを予想しておけば、それをどういうふうに乗り越えるかの方法も、ある程度まで事前に考えられるはずです。

ほとんどの自治体がハザードマップを作成・配布していますが、単に配るだけだと、たいていは捨てられます。特に地震ハザードマップの場合、予想される震度ごとの災害範囲・程度を色分けしただけのものでは、多くの市民は何も理解できません。「この程度の範囲で、これくらいの被害が予想される。だから、これくらいの備えが必要」と、災害から命を守る具体的な備えを啓発せねば意味がありません。それが自治体の仕事です。

“密”や“接触”を少なくすべきコロナ禍の現在、将来の想定される災害に対する「バックキャスト」という考え方も重要になってきました。災害という「未来の課題」を定めた上で、そこを起点にして現状を確認し、今、何をすべきかを考える発想法のことです。

バックキャスト的に考えると、自分たちの足もとを固める“地域の点検と把握”も重要です。具体的には、住民も巻き込んだ“防災まち歩き”と、それを通じて気づいた注意点などを記録する“防災マップづくり”、防災パトロールなどで、地域の防災カルテをつくっておくことが大切なのです。取り残されたりケガをしたりしている人を救助する訓練は各地で目にしますが、その“取り残されたりケガをしたりしている人”をどうやって見つけるのか……という、サーチの訓練が行われている事例を見たことはありません。そのために必要なのが「災害図上訓練DIG(地図を使って防災対策を検討する訓練)」です。DIGやまち歩きなどで得られたマップを踏まえ、消防団や町内会役員、民生委員などが対応、避難法を検討し、共有しなければなりません。

コロナ禍で考えるべき対策

心理学者エドワード・T・ホールの定義によると、「人間(じんかん)距離」は

・親密距離(お互いに相手の体温や匂いを感じるほどの距離)/0~45cm
・私的距離(手を伸ばせば相手に触れることができる。夫婦や恋人どうしの距離)/45~122cm
・社交的距離(友人同士やビジネス時の距離)/122~366cm
・公共的距離(見知らぬ人との間で、通常なら確保したい距離)366cm以上

の4種類に分けられ、コロナ感染を防がねばならない現在、感染原因となる飛沫等の飛翔距離と、防災研修・減災活動時の人間距離を把握しておく必要があります。

基本的にはマスク着用を実行しながら、DIG、HUG等のグループワークやまち歩き、避難訓練などの際は、マスクに加えフェイスシールドを着用し、相手からの飛沫を抑止する対策を実施すべきです。搬送訓練は4人での対応は避け、2人1組で実施してください。そうすれば、物干し竿の長さの分だけソーシャルディスタンスが確保されます。ただし、複数ペアが入れ替わりながら訓練する場合は、竿の持ち手の消毒をお忘れ無く。

「国勢調査」及び「人口推計」データを見ると、2040年頃に15~64歳人口は6,000万人を切る一方で、災害時支援者となる可能性が高い65歳以上の同時期の人口は4,000万人弱。この差は2060年頃には数百万人規模まで縮まることが予想されており、南海トラフ地震のような巨大災害が発生したり、大雨・豪雨災害が頻発したりすると、もはや地域における災害対応は困難になる可能性があるのです。

予想される事実を踏まえ、地域における防災・減災力を向上するための戦略を考えることが、自治体にとっての重要な「バックキャスト」であると言えます。少子高齢化がさらに進むのに合わせ、自治体の職員数も削減の方向に向かうでしょう。限りある予算と人的資源の中で、何ができるかを真剣に考えるべき時だと言えます。 

Program 2
避難所で考える蓄電池、感染症対策ついて

コロナ禍の中で“大規模災害”という事態が、発生しないとは言い切れない現在、災害時対策と合わせた感染症対応策が重要課題になっている。社員全員が「感染対策アドバイザー」の資格を持つヨコモリ電池屋コーポレーションの横森さんが、“今、必要とされる備え”について語った。

<講師>
ヨコモリ電池屋コーポレーション
常務取締役 横森 弘充さん

プロフィール

創業75年以上の会社にて防災事業・災害対策事業・感染症対策に従事。
自身も感染対策アドバイザーの資格取得を行い、防災に対しての蓄電池の重要性や感染症対策にどのようなことが重要かを日々講演している。また企業・自治体に対してもBCP対策のアドバイスなどを行っている。

災害と感染症の両面から必要なものを検討する

災害時の避難所設営などを念頭に置き、自治体はどのようなものを準備しておくべきかを考えてみましょう。まず、コロナ禍が続いている現在、特に必要と思われるのが「コロナ対策品」と「蓄電池」です。 

日本は災害大国であり、現在は避難所における“クラスターリスク”が警戒されていますから、それを踏まえた上での十分な対策が重要と考えます。また、スマホは現在、人々の暮らしの中で「キーデバイス」になっていますが、避難所では電源確保が難しい場合が少なくありません。特に長時間停電時は、避難所内の安全性を保つためにも蓄電池の必要性が高まります。

感染経路を考え飛沫・接触による感染を防ぐ

コロナ対策品として提案したい商品の1つは「コロナ抗原検査キット」です。最近の製品は、15分前後でコロナ感染の有無が判定できる上、判定の正確さも90%代まで高まっています。こういった商品を配備し、避難所や大規模イベントなどの受け付け時に感染確認することによって、クラスターを回避できるはずです。

もう1つ提案したい商品は、非接触で除菌液を噴射できる「オートミスト」という当社製品です。一般的なポンプ式アルコール除菌液は、交差感染(二次感染)のリスクが高いことが分かってきました。たくさんの人が除菌液を出すためにポンプヘッドを触るうち、コロナウイルスが付着し、そこから感染が広がるわけです。当社の「オートミスト」は、350mlタイプと1,000mlタイプがあり、避難所や庁舎入り口には1,000mlタイプ、部署ごとには350mlタイプを配備し、手・指の消毒を徹底することをオススメしています。

なお、マスク生活が長引くのに伴い、マスク+仕切り板がある状態だと、窓口での会話が聞き取りにくくなるというご相談を受けることが増えてきました。そこで、マスク着用時に仕切り板越しに会話する時でも声が聞き取りやすい、仕切り板スピーカー「ボイスエイド」という商品も取り扱っています。


スマホがキーデバイスの現代、停電対策が必須に

台風の頻発に伴い、各自治体での需要が伸びているのが蓄電池です。当社は「D-Powerシリーズ」という蓄電池を取り扱っており、ポータブルタイプの1,500Wh、キャリーバッグタイプの3,000Wh及び6,000Whの3種を準備しています。

特に「D-Power6000」は、定格出力300W・蓄電容量6,000Wという大容量でありながら、キャリ-バッグタイプなのでどこでも持ち運びができ、避難所での使用はもちろん、屋外で行う様々なイベントでも活用できます。災害による完全停電時でも、屋内の照明用や避難所に集まった住民のスマホ充電用として活躍するはずです。当社としても、少しでもコロナ収束のお役に立ちたいと考えておりますので、予算の範囲に合わせてご検討ください。


 

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