地域経済の活性化を目指し、各自治体が発行する「プレミアム付商品券」。しかし、発行・管理業務の負荷が大きい割に、一時的な消費喚起効果で終わることも。そんな中で日田市は、「九州電力」が提供する「プレミアム付商品券の電子化アプリ」により、業務の負担軽減を図るとともに、様々な地域振興に取り組もうとしている。
※下記はジチタイワークスVol.13(2021年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]九州電力株式会社
効果の一方、課題も多い紙のプレミアム付商品券。
コロナ禍で大きなダメージを受けている地域経済の消費喚起策として、プレミアム付商品券の発行を行っている自治体は多い。中には、利用者の利便性を高めながら地域へ還元するため、“大型店でも利用可能な共通券”と“地元店舗で使える地域券”をセットにするなど、様々な工夫をして発行している場合もある。
しかし、管理業務(印刷・管理・受け渡し・事務作業など)の負担が大きい割に、一時的な消費喚起効果に終わることも多い。業務の負担を軽減するために電子化する場合も、複数商品券の発行ができないアプリが多いため、施策に合わせた展開が難しいのが現状だ。そうした中で同市では、九州電力が提供する商品券の電子化アプリを導入。令和2年12月より運用を開始した。導入の決め手の1つについて松本さんは「複数の商品券を1つのアプリ上で発行でき、今後、様々な施策に活用できることでした」と語る。
域内専用の電子商品券が地域経済を活性化!
“水郷日田”の呼び名のとおり、三隈川が雄大に流れ開けた盆地である日田は、福岡、熊本にも隣接し、アクセスにも恵まれている。その反面、近隣都市にヒト・モノ・カネが流出しやすい傾向もある。そのため、地域外への流出を防ぎながら、地域内への消費を呼び込むことは、地域経済の重要な課題だった。「消費税の税率アップ後、県全体で決済の電子化に取り組むことが決まり、当市でも以前から積極的に進めてきました」。そんな折、近隣の自治体が同社のアプリを採用。「早速、導入した自治体に話を聞き、アプリが操作しやすいことや、導入後にも様々な地域振興策に活用可能なことが把握できたため、当市での導入を提案しました」。図らずともこの時期は、コロナ禍の影響によって、早急な経済対策を求められていた時期と重なった。
決定後は、多くの自治体に導入実績があった同社のノウハウを活用。「おかげで加盟店や商工会議所・商工会、地元金融機関ともスムーズに連携ができ、決定から2カ月という短期間で開始することができました」。また、全日対応のコールセンターも設置されており、「利用者はもちろん、店舗側からの問い合わせも、土日含めて受けてもらっているため、安心して運用ができています」という。
今回導入したアプリを活用し、新たな地域振興を目指す。
同社のアプリは、自治体専用のアプリとなっており、同市では「ひたpay」という愛称で親しまれている。アプリ上ではさらに、複数の商品券や地域の独自ポイントなどを発行できるのが特徴だ。プレミアム付商品券でアプリを広めて、そのアプリ上で地域の独自ポイントや飲食券などを発行することで、地域にヒト・モノ・カネを呼び込む地域振興のプラットフォームとして活用することが可能だ。
「このアプリなら施策に応じた様々な地域振興が可能です。当市の人口は約6万人ですが、運用を始めてすでに6,000人近くの利用者がいます。その方々は確実に当市で消費意向がある人たちです。アプリの利用者をどんどん広めて、アプリ内のお知らせ機能によって、市内での消費や活動を広げるのがねらいです」と期待を寄せる。今後は、観光客の誘客に特化した“宿泊チケット”と“地域限定の商品券”を組み合わせた観光チケットを、同アプリ上で発行することを検討しているという。
日田市 商工観光部 商工労政課
商業・消費生活係 主事
松本 航太郎(まつもと こうたろう)さん
プレミアム付商品券の電子化から地域振興プラットフォームへ。
1.プレミアム付商品券を電子化
2.アプリユーザーの消費・地域活動の促進
地域で利用できる様々な商品券に加え、ボランティアや健康支援などの地域活動ポイントも1つのアプリで利用可能に。アプリユーザーの消費・地域活動を促進する。
3.地域と住民をつなぐ地域振興プラットフォームへ
自治体はもちろん、商工会・商工会議所、NPO、商店街、店舗など、地域活動の運営者がアプリを介して住民に情報配信。地域に関わる様々な活動を支える地域振興プラットフォームとして、アプリは成長していく。
高齢者やスマホがない方にも配慮
同市の場合、従来の紙での商品券も同時に発行。住民に不公平感がないよう工夫をすると同時に、ホームページ上などで電子化アプリの利用方法を丁寧に説明しています。
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