ジチタイワークス

小中学校“1人1台端末”への道筋は?「GIGAスクール構想」の課題と解決のヒント。

教育のICT化を進めるため、文部科学省が令和元年12月に打ち出したのが「GIGAスクール構想」だ。この構想の主軸となるのは“児童生徒に1人1台の端末”と“高速大容量の通信ネットワーク”。新型コロナウイルス感染症の影響で、ますますICT教育への注目が集まる中、準備は進んでいるだろうか。GIGAスクール構想実現のための課題や解決のためのヒントを探る。

※下記はジチタイワークスVol.11(2020年9月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社マウスコンピューター

全国平均はいまだに“5.6人に1台”という現実。

GIGAスクール構想は、小中学校の児童生徒に1人1台の学習用端末と、高速大容量の通信ネットワーク環境などを整備する計画をまとめたものだ。当初は5年かけて実現することを目指し、ロードマップには令和4年度までに各自治体が3クラスにつき1クラス分の端末整備を達成し、令和5年度には児童生徒が1人1台端末を持つという目標が掲げられていた。

ICT教育により期待できるメリットは大きい。画像や動画などを積極的に活用することで、より分かりやすい授業が実現し、調べ学習や遠隔教育により、主体的・対話的な学びも可能になる。教師にとっても、板書する時間やプリントを用意する時間を削減することができ、業務効率化につながる点は魅力といえるだろう。

期待が寄せられるGIGAスクール構想だが、実現への道のりはまだまだ長いのが現実だ。特に大きな課題といえるのが、端末の整備。令和元年8月に一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が自治体や学校を対象に行った調査※1によれば、1人1台整備している小学校はわずか1.9%のみ。中学校も3.3%と、いずれも1割に満たないことが明らかになった。

また自治体によって端末の整備状況が異なり、地域格差が生じていることも懸念されている。文部科学省が報告した平成31年3月時点の実態調査※2では、佐賀県が1位で平均1.8人に1台だったのに対し、47位の愛知県では7.5人に1台にとどまっている。

ちなみにGIGAとは“Global and Innovation Gateway for All”の略。“全ての人にグローバルで革新的な入口を”という意味だ。先ほどの調査では、全国平均で5.6人に1台と、まだまだ“全ての人”にはほど遠い現状といえる。

※1 第12回 教育用コンピュータ等に関するアンケート調査
※2 平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査

GIGAスクール構想のロードマップ

端末整備を後押しする1台4.5万円の補助。

GIGAスクール構想の主軸でありながら、なかなか進まない環境整備。

課題を解決すべく、令和元年度には2,318億円の補正予算が組まれた。さらに令和2年度には、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、環境整備の前倒しを支援するため2,292億円の補正予算が計上されている。

自治体は環境整備に当たり、補助金制度を利用できる。例えば児童生徒1人1台の端末を実現するために、国公立の小中学校および特別支援学校などは、1台当たり上限4.5万円として定額の補助、私立校は1台の価格に対し2分の1(上限4.5万円)の補助がある。また通信ネットワーク整備にかかる費用は、2分の1の補助を受けられる。

ICT教育においては、多数の生徒が一斉にネット接続するため、安定した通信環境が欠かせない。決まった教室だけではなく、校内のどの場所にいても校内ネットワークにつながる環境を整備することも重要だ。1人1台の端末を確保できたとしても、通信環境が整っていなければ、満足のいくICT教育を行うことは難しい。補助金制度を活用し、端末と通信環境両方の整備を速やかに進めることが大切だ。

教育現場で使う端末に求められる条件とは?

いまだに収束への道筋が見えない新型コロナウイルス感染症。児童生徒の学びを止めないためにも、教育現場では“Withコロナ”の対策が求められている。休校措置で教育のICT化の必要性を多くの人が痛感する中、文部科学省は令和2年6月に「学びの保障」総合対策パッケージを発表。1人1台端末の整備スケジュールを、前倒しで進めるべきとの方向性を示している。

なお端末導入については、各自治体がスムーズに調達できるよう、文部科学省が具体的なモデル仕様書を用意している。学校での活用を想定した場合に必要となるスペックをもとに仕様が定められており、例えばWindowsであれば、OSは「Windows10 Pro」相当、メモリは4GB以上、画面は9~14インチといった具合だ。

ただし、他にも考慮すべきポイントは多い。児童生徒にとって使いやすい大きさや重さであることはもちろんのこと、頑丈さや持ち運びのしやすさなど、使い勝手も重要だ。

今後、第2波や第3波が発生する可能性は否定できない。たとえ収束したとしても、今後ICT教育はスタンダードになっていく。自治体にとってGIGAスクール構想は、以前にも増して急務になった。限られた時間や予算の中で、児童生徒にとってどの機器が最適なのか正しく判断するためにも、学習用端末に詳しいパートナーに相談することが、大事な一歩となるだろう。

 


「GIGAスクール構想」実現に必要なモノとは?

端末や通信ネットワークといったハードは、あくまで土台部分。ソフトや指導体制も整ってこそ、ICT教育のメリットが活かせる。文部科学省は「『児童生徒1人1台コンピュータ』の実現を見据えた施策パッケージ」として、「ハード・ソフト・指導体制」三位一体の取り組みを進めている。

ハード:ICT環境整備の抜本的充実

“1人1台端末”を実現するため、国公立は1台あたり上限4.5万円、私立は2分の1(上限4.5万円)の補助が受けられる。各自治体が効率的に端末を調達できるよう、政府は都道府県レベルでの共同調達を推進し、調達説明会も開催している。

ソフト:デジタルならではの学びの充実

主なソフトとして、例えばデジタル教科書や教材などのデジタルコンテンツや、個人の学力に合わせて提示されるAIドリルなどが挙げられる。デジタルならではの特性を活かすことで、学びの充実を図ることが可能だ。

指導体制:日常的にICTを活用できる体制

日常的にICTを活用するためには、指導者の養成が欠かせない。そこでICT活用教育アドバイザーによる説明会やワークショップを全国で開催。ICT支援員には民間企業などの外部人材も活用し、令和4年度までに4校に1人程度の配置を目指している。

 


 

―補助金を活用したICT環境整備を
文部科学省が求めるスペックで小中学校で使うのに適した端末とは?

GIGAスクール構想の柱である“1人1台の学習用端末”。一体どのようなポイントを意識して選べばいいのだろうか。教育現場にタブレットを納入してきた経験を生かし、この構想に対応するモデルの端末を開発した「マウスコンピューター」の杉本さんに聞いた。

マウスコンピューター 法人営業本部 コーポレート営業部 部長 杉本 勝(すぎもと まさる)さん

 

できる限り予算を抑えつつ落下などへの備えも必要。

GIGAスクール構想では、小中学校の児童生徒に1人1台の端末を整備することを目標に掲げている。前ページで見てきたように、自治体が端末を購入するにあたっては、国公立の学校なら1台あたり上限4.5万円、私立なら2分の1(上限4.5万円)の補助金が交付される。4.5万円を超えれば、超過分は自治体の負担となる。できれば4.5万円以内に収めたいと考える自治体が多いのではないだろうか。

当然ながら、予算内に収まれば良いというわけではない。小中学生が使いやすく、教育現場で十分に活用できることが大前提だ。杉本さんはその条件として、落下に耐えうる“強度”を第一に挙げる。「子どもたちにとって楽しいツールですから、使ううちに夢中になり、机からうっかり落としてしまうケースが少なくありません。強度は外せないポイントです」。

さらに、持ち運びやすさも重要だという。端末は教室内で使うとは限らない。理科室や体育館、さらには校庭など屋外に持ち出すこともあるだろう。「片手で持つと、子どもにとってはタブレットの重さが負担になり、やはり落下の原因になります。持ち運びやすい工夫があることが理想です」。

マウスコンピューターは創業27周年、BTO(Build To Order=受注生産)を行うメーカー。流れ作業のライン生産方式ではなく、1名の作業者が最初から最後まで、全ての工程を担当して組み立てるのが特長だ。

教育現場にパソコンを納入するだけではなく、約10年前から「親子パソコン組み立て教室」を開催したり、プログラミング教室を開催したりと、“子どもにとって使いやすいパソコン”を追求してきた。

そんな中、令和元年12月に文部科学省がGIGAスクール構想を発表した。「これまでの積み重ねを生かし、より子どもたちが使いやすい機能を盛り込んだ端末をつくろうと考えました」。そして企画開発したのが、対応モデルの「MousePro P101」シリーズ(以下、P101)だ。

補助金を想定した4.5万円、細やかな配慮も随所に。

P101の価格はオープン価格ではあるが補助金4.5万円以内を実現できる価格帯となっている。本体部分が着脱式になっており、簡単にキーボードの取り外しが可能。タブレット端末としても使用することができる。

気になる強度についても、「かなり頑丈につくりました」と杉本さんは胸を張る。P101は、一般的な机と同じ約76cmの高さからの落下テストを実施。見事クリアする衝撃耐性を実現した。故障を防ぐため、端子類をカバーで覆ったのも特長だ。

タブレットを使った学習は、校庭で植物や生物を撮影したり、体育の授業で活用したりと、屋外に出ることも多い。

「端子類がむき出しだと砂ぼこりや水が入ったりして、故障の原因になります。P101は端子類をカバーで覆うことができるので、外でも安心して使っていただけます」。

そして注目すべきは、何といっても持ち運びやすさだ。本体部分にスタンドがついており、机の上で自立する。しかもこのスタンドを回転させれば、持ち運びに便利なハンドルの役目も果たすのだ。

「このハンドルは、当社独自のアイデアです。展示会でも注目を集め『よく考えましたね』と評価していただきました」と顔をほころばせる。とことん子どもたちのことを考えてつくった、かゆいところに手が届く端末といえるだろう。

スムーズな運用のために手厚いサポート体制も重要。

杉本さんが、もう一つチェックしてほしい条件として挙げるのが“メーカーのサポート体制”だ。端末は不特定多数の児童生徒が、しかも長年使うもの。どれほど頑丈な端末を用意しても、強い衝撃を受けて画面が割れたり水没させて電源が入らなくなったりと、故障トラブルを完全に防ぐことは難しい。いざ故障したとき、修理に時間がかかってしまっては学びを止めることになってしまう。

「当社ではほとんどの製品を長野県の工場で生産しており短納期に対応できます。さらに埼玉サービスセンターでは72時間以内の修理完了を目指しています。午前中に運ばれてきた端末を修理して、早ければ午後に出荷することもあります」と杉本さん。しかも、Windowsの基本的な操作方法についての疑問にも答えてくれるという。多くの業務を抱える教師にとって、サポートの手厚さは魅力だろう。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、端末整備は待ったなしの状況だ。どんな端末を使用したらいいのか、最初の一歩でつまずけば、対応が後手後手になる。1日も早いスタートを切り、スムーズな運用をする上で、同社は心強いパ―トナーになりそうだ。

 

▶MousePro P101

[スペック]デタッチャブル型/10.1インチ/Windows 10 Pro/Celeron® N4000/64GB eMMC/4GB
※スタイラスペンはカスタマイズオプションです

 


子どもたちのパソコンへの理解を促す取り組み

子どもが夢中になる世界に1台だけのパソコンづくり

マウスコンピューターの生産拠点である長野県飯山市の飯山工場で、自分の好きなパソコンを組み立てる教室を、約10年前から開催。毎年定員が埋まり、抽選になるほどの人気ぶり。ものづくりの楽しさを味わいながら、最新のIT技術やパソコンに関する理解を深める場として好評だ。

 


学校で使われることを第一に考えた“GIGAスクール対応モデル”とは

1.落下衝撃に強い頑丈なつくりさらに防塵・防滴仕様なので安心

学校での故障原因に多いのが“落下による破損”や“水濡れ”だ。一般的な学校の机の高さである約76cmからの落下にも耐えられる※1仕様。さらに防塵・防滴※2機能を兼ね備えているので水がかかっても安心だ。

※1 MIL規格準拠の落下テストを実施 ※2 IP54規格準拠

2.通常はむき出しになっている端子類をすべてカバー内に収納して保護

意外と見過ごせないのが、野外授業で砂ぼこりや水が入ることによる故障。充電ケーブルやイヤホンなどの端子類を覆うカバーが付いているので、故障のリスクを下げることができる。

3.教師側から動作状況が確認できる背面のインジケーターランプ

背面には、インジケーターランプがついている。「電源が入っていない」「通信ネットワークに接続できていない」といったトラブル時には通常時と違う色に変わり、教師側からパソコンの動作状況が一目見て分かる仕組みだ。

4.マウスコンピューターのこだわり持ち運びに便利なスタンド兼用ハンドル

およそ1kgの重量とはいえ、子どもが片手で持つには大きく重いため、何かの拍子に落としてしまいかねない。スタンドがハンドルを兼ねているので持ち運びしやすく、取り外してパーツをなくすといった心配もない。

一度ご相談ください!

マウスコンピューターの製品は、多くの教育機関で導入されています。エリア担当が導入前から導入後まで、しっかりサポートします。実機に触れてみたい方も、まずは気軽にお声がけください。

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社マウスコンピューター

TEL:03-6833-1041
住所:〒103-6026 東京都中央区日本橋2-7-1東京日本橋タワー26F
Eメール:giga@mouse-jp.co.jp

メールで問い合わせる

※は必須項目です
記事タイトル
自治体名
部署・役職名
お名前
電話番号
メールアドレス
ご相談内容

ご入力いただきました個人情報は、ジチタイワークス事務局がお預かりし、サービス提供元企業へ共有いたします。
ジチタイワークス事務局は、プライバシー・ポリシーに則り、個人情報を利用いたします。

上記に同意しました

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 小中学校“1人1台端末”への道筋は?「GIGAスクール構想」の課題と解決のヒント。