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東京都豊島区

公開日:2020-09-25

既存の仕組みを活かし、テレワークを拡大する豊島区の取組み。

人事
読了まで:5分
既存の仕組みを活かし、テレワークを拡大する豊島区の取組み。

住民にも職員にも満足をもたらす方法を模索したい。

平成27年5月の新庁舎移転を機にテレワーク導入を開始した豊島区。ワークスタイルを変えることで、住民サービス向上と業務の効率化を図り、職員一人ひとりが充実感をもって働ける職場をつくることが目的だ。この取り組みは、平成28年に日本テレワーク協会「第16回テレワーク推進賞」の優秀賞を受賞するなど全国から注目された。先進的に動いてきた同区は、新型コロナウイルス感染症拡大にどう立ち向かったのか。

※下記はジチタイワークスVol.11(2020年9月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]東京都豊島区

“笑顔あふれる新庁舎”を目指すワークスタイル変革から着手。

新庁舎移転を翌年に控えた平成26年、日本創生会議が発表した「消滅可能性都市」に23区で唯一名前が挙がった豊島区。これに対し同区では、「消滅の可能性があるという指摘を区の取り組みで覆していくしかない」と緊急対策本部を設置。要因の分析とともに検討された取り組みの中に含まれたのが“職員のワークスタイル変革”だった。

「区が変わるためには、まず職員が変わること。働き方を見直すことで、職員に笑顔があふれ気持ちよく来庁者を迎えられる環境にしたい」。そんな区長の思いから労働環境整備が始まったという。

平成28年、“会議は原則1時間以内で”などの新ルール策定から始まった変革の中に、テレワークを想定した環境整備もあった。無線LANを活用したフリーアドレス制や、ペーパーレス化を目的とした管理職へのタブレット端末配布などを行った結果、場所を特定しない働き方が実現。“仕事は自席でするもの”という固定概念の払拭、労力削減などの効果は「第16回テレワーク推進賞」の優秀賞受賞にもつながった。平成30年には管理職に、平成31年には一部の一般職員を対象にテレワークを試行。令和元年の全職員対象のテレワーク試行では全職員の1割強が実践した。

「テレワークを進める中で、住民サービスの質と量をどう維持するかが課題でした」と当時を振り返るのは、同区の高井さんだ。「区役所として窓口の職員体制が薄くなってはいけない。テレワークは、あくまでも手段であって目的ではない。住民にも職員にも満足をもたらす方法を模索する必要があると感じました」。

コロナ発生!可能な限りのテレワーク実施に取り組む。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、同区では緊急事態宣言発令の数日前からテレワークについての検討を開始。全職員の2割以上のテレワーク実施を基本方針に、情報管理課と協議し、セキュリティポリシーに反しない形で全職員が可能な限り実施できる方法を考えたという。「テレワーク用端末以外でも在宅勤務ができるよう設定を変更したり、テレワーク先を自宅に限定して自宅への出張扱いにしたり、現状の制度と既存の資源内で取り組めることを考えました」。

テレワークの業務内容は各部署で独自に洗い出しを実施。そんな折、感染予防対策で休館した施設や保育園から「施設で使う教材やおもちゃの製作を在宅業務として認めてほしい」という声が上がったという。「これが、テレワーク下での業務内容を柔軟に考えるきっかけになりました。“テレワーク=パソコンを使った在宅勤務”というイメージが薄れ、幅広い業務を対象にできる働き方として捉えられるようになったのです」。結果、テレワークは全庁的に拡大し、4~5月の実施率は30%に達した。

部署を横断して議論しながらできることから始めれば取り組みの輪は広がっていく。

緊急事態下でのテレワークは半ば強引な部分もあったと語る高井さん。「実施後は『職場体制の維持が難しい』『みんなで行ったので気兼ねなく取得できた』など賛否両論でした。ですが、職員がテレワークを当たり前に選択するというマインドの変化は大きいですね。それまでは、やはりどこか“民間が行う別世界の取り組み”という気持ちがあったように思います」。コロナに立ち向かう働き方改革の取り組みを経て、テレワークで逆に非効率になる業務の切り分けや改善、勤怠管理や評価方法など、さらなる検討材料も明らかになったという。

「当区では、管理職全員を含め、すでに多くの部署にテレワーク経験者がいたことが功を奏しました。経験のない自治体に比べて取り組みがスムーズだったかもしれません。ただ、導入する上で大事なのは、今ある仕組みをどう活用するかだと思います。ICT整備ありきではなく、それができる制度をつくることから始めてみる。自治体特有の課題や障壁は多くあると思いますが、それを受け入れた上で、小さくてもできることから始めれば、その輪が大きく広がります。また、様々な部署の職員が自由に議論を行える環境をつくることも大切ですね」。

同区では、例えばサテライトオフィスの活用など、様々な可能性を否定せずに今後も制度づくりを進める予定だという。できる方法を考える、できることから始める。その積み重ねの先に、Withコロナ時代の理想の働き方が見えてくるはずだ。

 


豊島区 総務部 人事課 高井 淳(たかい じゅん)さん

課題解決のヒント&アイデア

1.既存資源の活用と、規則の範囲で可能な仕組みづくり

使わなくなって保管していた端末を設定変更で活用。テレワーク先を自宅に限定して「自宅出張」とするなど、機器購入や規則変更を避けた。

2.管理職の試行先行で全庁導入しやすい環境へ

端末準備の関係から管理職のテレワークを先行。結果、管理職がテレワークを前向きに捉えるようになり誰もが利用しやすい環境ができた。

3.テレワークに含まれる業務内容の考え方を柔軟に

PCを使った業務などに限定せず、業務の幅を広げることでテレワーク対象者や対象部門が広がり、誰もが制度を利用しやすくなった。

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