ジチタイワークス

新潟県柏崎市

OCRを活用したシステム導入で異動届の手続きを迅速かつ正確に。

書かせない・迷わせない・待たせない窓口を目指して。

行政手続等のデジタル化推進の波を受け、“住民に書かせない窓口”の仕組み化が各自治体で検討されている。柏崎市では、令和2年1月にOCR(光学文字認識)を活用し、住民異動届の作成を支援するシステムの運用を開始。手続きに要する時間やコストの削減につながっているという同市に、導入の経緯や工夫点、効果について取材した。

※下記はジチタイワークスVol.10(2020年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]新潟県柏崎市

窓口業務の負担軽減、利便性の向上を目的に業務委託を検討。

柏崎市における「異動受付支援システム」の導入は、窓口業務の品質保持を目的とした“民間企業委託”がきっかけだった。同市では、職員の人事異動や定員削減に影響を受けることなく、安定した質の高い住民サービスを提供するため、窓口業務の見直しや民間委託等の検討を進めてきた。そこで、証明書発行や異動受付、印鑑登録など、窓口業務の一部を外部委託することを決定。令和元年7月にプロポーザルを行った。「その際、地元企業であるカシックスと、富士ゼロックスシステムサービスとの協業提案の中に含まれていたのが、異動受付支援システムでした」と語るのは、柏崎市の多田さん。システム導入は想定していなかった同市だが、予算内で導入できる上、住民の負担を軽減できるならばと、この提案を採用した。

業務委託の開始は令和2年1月から。「提案されたシステムをカスタマイズせずに導入することで、追加費用をかけることもなく、プロポーザルから約半年という短期間で運用が実現できました」。

また、委託前、人件費や教育、管理などで年間にかかっていた窓口業務のコストは、導入初年度で約100万円削減できたという。

 

システム運用で手続時間を短縮、繁忙期の対応もスムーズに。

従来、同市の転入手続きは、来庁者が窓口に転出証明書を持参し、世帯人数分の転入届を手書きで作成。時間がかかるだけでなく、書き間違いや、データ入力時の読み間違いによるミス発生も課題だった。しかし、システム運用後は、前住所地で発行された転出証明書を窓口に提出してもらい、それをOCRで読み取る。その後、不足情報のみを職員が聞き取りして入力する。最後に、間違いがないかを来庁者に確認してもらい、タブレット上で署名をもらえば完了する。「手書き書類がなくなり、ミスが減りました。また、手続き時に読み取ったデータを活用することで、併せて必要となる住民票や印鑑証明書の請求用紙の作成時間も短縮可能になりました。来庁者は出力された請求用紙に必要な通数を記入するだけで、書類を受け取ることができます」。従来、転入届の記入から住民票の発行まで47分かかっていた手続きは最大35分強で終了。12分ほど短縮でき、3月の繁忙期に多かった、待ち時間が長い、手続きが面倒といったクレームもほとんどなかったという。「外国人の在留カードも読み込めるので、アルファベットの書き間違いによるトラブルもなくなりました。確認作業が早くなり、想定以上の時間短縮を実感しています」。

住民異動受付支援システムを活用した手続きの流れ

国保や福祉介護の窓口など他課との連携も進めていきたい。

今回の取り組みについて「住民にとっても職員にとっても実施してよかった」と多田さんは振り返る。「柏崎市の業務を理解している地元企業と、全国的な事例や情報を豊富に持つ企業、双方の知見が活かされたことで、スムーズに運用できたのだと思います。私たちの考えや基準に、他の視点を入れて業務を改善しようという意識も大切ですね」。

同市では、令和3年に新庁舎を開設予定。「現在、市民課で活用しているシステムを、国民健康保険や福祉介護の窓口と連携したい」という。また、マイナンバーカードを活用した、各種証明書等の申請書作成支援システムも導入予定だ。

“書かせない・迷わせない・待たせない窓口”が、より拡がりをみせることに期待したい。

 

 

 

Solution[課題解決のヒント&アイデア]

1.手間と時間を要する窓口業務の一部を業務委託で効率化し、対応品質を保持

庁内で課題を解決しようとするのではなく、業務委託という選択で、民間企業のノウハウを活用。これにより業務改善をスムーズに進められた。

2.カスタマイズせず導入することで低コストかつ短期間の導入を実現

システム導入のメリットとデメリットを考慮。提案されたシステムをカスタマイズせず導入することでコストを抑え、かつ運用まで半年という短期間を実現した。

3.手書き書類をなくしたことでミスが減り、住民のストレスも軽減

異動届や、住民票の発行などに必要な申請書を手書きせずに済むことで、1人当たり約11.5分を短縮。書くこと、待つことのストレスが減り、住民からも好評を得ている。

Interview

自分たちだけではなかなか前に進まないことも、外部の知見を活かせば変化が見込める。行政にも住民にも良い方法を実現しようという意識も大切です。


柏崎市 市民生活部市民課 課長
多田 利行さん

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